自律神経(1)交感神経・副交感神経
クライアントへの指導や健康管理において、必ずと言っていいほど「自律神経」という言葉を使う。とはいえ、意外とその中身を理解できていないことも多い。11月は、そんな自律神経を基礎から理解していく記事を連載していきたい。
(1)神経の種類
そもそも、神経とは脊髄と末端の器官とをつなぎ、末端が受けた刺激を中枢に、または中枢に起こった興奮を末端に伝える働きをする糸状の器官である。神経は中枢神経・末梢神経の2種類に分けられ、中枢神経は脳と脊髄が該当し中核的な機能を満たす。ここで受け取り発せられた指令が、脊髄から分かれた末梢神経へと伝わっていくのである。
末梢神経は、さらに体性神経と自律神経に分けられる。体性神経は感覚神経・運動神経の2つがあり、体表でキャッチした知覚を脳に伝え、身体の各部位を動かすといった働きを持つ。
(2)自律神経
ここまでで説明したとおり、自律神経は末梢神経系の一つである。その最大の特徴は、身体の働きを調整する神経で24時間無意識的に活動しているという点だ。呼吸し、心臓が拍動し、光に合わせ瞳孔が調整される…。これらはすべて、自律神経の働きによって行われている。
自律神経が無意識的に行っているのは、人体の「恒常性の保持」だ。例えば、全力ダッシュを行うと心臓が激しく拍動するが、時間が経過すると徐々に落ち着いてくるだろう。このように、普段の生活からかけ離れた状態にある身体を、元に戻すのが自律神経の持つ大きな働きなのだ。
(3)交感神経・副交感神経
自律神経は、交感神経と副交感神経の2種類があることもよく知られている。ちなみに、近年は「第3の自律神経」として※腸神経系が挙げられることもあるが、今回は前者の2種類について解説していきたい。
腸神経系と蠕動運動
腸には蠕動運動が起きているが、従来は交感神経・副交感神経のバランスが、その動きをコントロールしていたと考えられていた。しかし、交感神経・副交感神経が関連部位と切断されても、腸内では蠕動運動が問題なく起きていたという。自律神経とは独立して作用することから、腸神経系を「第3の自律神経」として考えるケースが多い。
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Brain Special Magazine
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