左右どちらかだけケガをしてしまうときの対処法〜脳・脳幹を使った「偏った刺激」を活用する〜
歩いているときに必ず右足ばかりつまずく。普通に走っているだけなのになぜか左肘を壁や障害物にぶつけることが多い。スポーツ時に足首をひねるのは決まって右足……。などなど、日常生活や運動時にケガをするシーンは多々ありますが、よくよく思い出すと左右どちらかばかりケガをしてしまうなど、ケガの頻度に左右差がある人は少なくありません。
こうしたケースにおいて、普段の姿勢が左右どちらかに傾いている、運動時における重心・バランスが悪いなどの原因が考えられます。それを作り出しているのは人体の構造を支える骨格・筋・関節いずれかであることは間違いないでしょう。
そして、もうひとつ考慮すべきは私達の姿勢形成に欠かせない体性感覚や前庭感覚といった各種感覚と、それらの情報の知覚・伝達に関わる受容器や神経、脳です。
今回は、筋肉なの大きな構造に問題はないけれど、ケガの左右差が生まれている人がすべき、脳と脳幹にアプローチしたエクササイズの方法を解説します。
大脳皮質運動野(右脳と左脳)を利用する
まず、ケガの左右差がどこで特に起きているのかを確認していきましょう。今回は例として、日常動作や運動時に右股関節を動かすと痛みが起こりやすいと仮定します。関節痛として認識してはいますが、関連する筋群、関節、靭帯に目立った問題はみられません。
まずアプローチしていきたいのは、大脳皮質運動野、平たく言えば「脳みそ」です。理屈を説明する前に、まずは皆さんにやってほしい運動から話したいと思います。
右股関節が痛い場合、反対側にある「左肩関節」を動かします。例えば、右股関節の伸展時に痛みが生じるのであれば、左肩関節は屈曲させるという感じです。同様に、伸展なら屈曲、内転なら外転と、対になる動きを左肩関節で行いながら、右股関節を動かしてみてください。
すべての運動で「股関節が楽になった」といった反応が出てくるとは限りませんが、「左肩関節を屈曲・右股関節の伸展は痛みが出にくいな」といった傾向は見えてくるはずです。こうした発見が得られたら、その動作をメモしておいてください。今後、運動を始める前や日常にそのエクササイズを入れることで、徐々に右股関節の痛みが軽減されていくことでしょう。
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運動指導者の方へ向けて「脳」について理解し、パフォーマンスを高め機能改善などを行えるように学べるコンテンツです。
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