「固定視」は現代人の「目の疲れ」の原因?簡単なアプローチで視覚機能を改善しよう
固定視(固視)は、視覚機能の中の一つです。呼称から推測できるように、一つの物体に視点を合わせ続ける能力のことを指します。「ピントを合わせる」とも表現される固定視は、現代人が特に活用している機能であり、同時に目の疲れにもつながる現象なのです。
今回は、この固定視について少しだけ解説し、簡単にできる評価方法・アプローチを紹介したいと思います。
固定視とサッケード
前回、視覚機能の強化ということで「サッケード」のトレーニングを紹介したと思います。
私達の眼(網膜)には、様々な物体の像が映し出されています。網膜の視力というのは、網膜全体で一律というわけではありません。網膜の中心部(網膜中心窩)が、もっとも視力が高い場所です。そのため、視野内の特定の像を、もっと鮮明に見たい場合は、その像を網膜中心窩内に収める必要があります。
この、「像を網膜中心窩内に収めるよう眼球を移動させる」という動作が、以前トレーニングした「サッケード」です。そして、サッケードによって中心窩で捉えた像を、固定して鮮明な視覚を得るのが固定視というわけですね。
固視微動
ちなみに、人間の眼は、固定視を実現したあとも細かく動いています。これを「固視微動」と呼びます。目が細かく動いたら、かえって視野が悪くなるのでは?と感じますが、実態は逆です。1950年代に行われた実験では、人為的に固視微動の効果を取り除くと、被験者は像が見えなくなってしまいました。
一説によれば、私達の眼が絶えず細かい動きを見せることによって、常に視覚に情報が入力されます。これによって、今凝視している像の情報が失われずに済む(見失わずに済む)というわけです。
固視微動のうち、比較的大きく早い眼球の動きを「マイクロサッケード」と呼びます。大きくゆったりとした動きは「ドリフト」、動きが小さく高周波数の動き(細かく揺れるような動き)は「トレモア」と呼びます。この3種類の固視微動によって、私達の固定視は維持されているのです。
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