原風景と根っこ②矢口高雄「夢の積立しませんかー僕の銀行員日誌」

作矢口高雄 刊中央公論新社
自分の原風景と根っこになった作品や物を書いていく記事の2回目。
自分が影響を受けた、自分の心の中の「原風景と根っこ」になった作品や物について書く記事の2回目。
今回は漫画「釣りキチ三平」で有名な漫画家矢口高雄先生の自伝。
自分は学生時代に、漫画のイベントで、この本を知りました。
矢口先生が十数年間の銀行員だった頃の回想を綴った本ですが、この本を読みながら、「夢の叶え方はひとつではない」と勉強になりました。
いろいろと矢口先生の銀行員時代のエピソードが書かれていますが、初めてスーツを買った話や学生時代の校長先生と再会した話、お客様の対応の話(やっぱり銀行のマッチの箱が欲しいお客様)等があります。
この頃から、矢口先生が釣り好きなのが伺えます。
ちょっと、ビックリしたのは、年に1回東京旅行(ちゃんと旅行用の予算の貯金している!!)をするエピソードがあり、結婚後も奥様の了承を得て続けていたと言う話があり、ここら辺が矢口先生の行動力の凄さだったりします。
いろいろと働きながら、自分の好きな事や夢を叶えていくには、どうしたら良いかが、矢口先生の文章で書かれています。
また、「カムイ外伝」の白土三平先生の登場で、手塚治虫先生のファンであった矢口先生が白土三平のファンになったエピソードも書かれており、日本の漫画と漫画家の歴史についても、少からずも分かる内容となっています。因みに、この本でも書かれていますが矢口先生と白土三平先生は会っています。そして、梶原一騎先生もまさかの形で登場する等昭和の漫画の歴史が少からずも伺いしれます。
そして、この本の後半で、遂に矢口先生がプロの漫画家の先生になり、銀行を退職するエピソードがありますが、その時のエピソードで、「自分の力を過信してはいけない」と矢口先生が文章で書いたのを見て、多くの社会人、プロ、フリーランスの方にも通ずる物があり、勉強になりました。
そして、矢口先生のプロの漫画家になったのと同時に「もし、漫画家を引退しても、もう銀行(金融関係)の仕事はしない」と誓ったのを読んで、矢口先生の一人の人間、社会人、そして、プロフェッショナルとしての信念やプライドが分かる文章でした。これが、矢口先生の考え方なんだなと実感しました。
改めて、働きながら、自分の好きな事や夢を叶えていくには、どうしたらよいかを教えてくれる本でした。