3Dプリンターを導入。アイデアを投稿したところ想像以上の反響と共感をいただき2日後に製品をリリースしました。
noteでは報告できていなかったですが、先月3Dプリンターを導入しました。
(noteのプリセット売上金やサポートで購入させて頂きました。いつも読んでくださり本当にありがとうございます🙇♂️)
工学部出身ということもあり、3Dプリンターの制御やCADには知識があるということもあり何不自由なくすんなり導入できました。
もともとは家に必要な小物や入手困難な車パーツの出力のために購入したのですが、実際に届いてみると結構楽しい。何か不自由を感じたら即設計したくなります。
もはや紙用プリンターよりも稼働率が高い状態です。
早速アイデアを形にして発信してみたら大きな反響をいただきました。
アイデアの発端
アイデアはふと思いつくもので、先週バックに入れていたカメラを取り出した時にこんな出来事がありました。
ほとんどの人が経験したことがあるであろうカメラのアイカップの紛失です。
どのメーカーもかなり取れやすい。しかも地味に高額商品。取れすぎてテープでぐるっと固定したこともありますし、E-M5mk2を使っていた時は両面テープで半固定しました。
こんな声を何件も聞きました。
うん。もうここ取れなくていいんですよ…
結局は紛失したと思われたα7IIIのアイカップはバックの中から発見されたのですが、もう2度と買い戻したくないし、アウトドアでも安心して使いたい。
よく考えたらファインダーの上にはホットシューという拡張できるような場所があって、X100やライカなどのレンジファインダー機はホットシューにサムレストを装着したりするし…
「ホットシューを使ってファインダーを半固定にしちゃおう」って考えついてアイデアから1時間で形が出来上がり、数時間後には3Dプリンターで出力してみました。
デザインは下記のことを意識してデザインしました。
・なるべくシンプルでカメラよりも主張しないこと
・軽量であること
・ホットシューから取れにくいこと
・爪で引っ掛けて取れやすくすること
Twitterへ報告すると想像を超える反響をいただき、販売して欲しいと言う声も沢山いただきました。
自然の写真を撮っている横田さんから連絡来た時は本当に嬉しかったです。
こんなにも集まる声に応えない訳にもいかないので腹をくくり、このあとは製品化に向けてプリント→テスト→図面を修正の工程を10回ほど繰り返して満足行く使い心地にたどり着きました。ここまでで丁度24時間ほど。
上の写真はテストしたサンプルや見た目が汚い製品です。
もったいないですが、クオリティを高めるためにはどうしてもロスが発生してしまいます。
破壊テストもしています。
特に測定基準もありませんし、何かをぶら下げるものでもないのですが、抜き差しだけで壊れてしまうのは実使用できません。
作ったものを折り曲げたり、捻ったり、切ったりしました。
結果としては右上の位置では人間の手で折り曲げて破壊できますが破壊しようとしない限り壊れない耐久性です。
左側は壁の強度を確かめた破壊です。この方向は破壊することができず、ニッパーで断面を切ったり、ペンチで掴んで折ってみたりしました。
オーバースペックだったので肉を薄くして樹脂の量を減らしたり微修正をしました。
どれも私の感覚で設定している強度なのですが日常使いでは壊れないはずです。
行ける!と感じた時点で量産のためにプリンターに配置してプリントを開始しました。
この量産用のプリント設定がなかなか大変で一番時間がかかったかと思います。この材質の特徴でもあるのですがなかなかプラットフォームに定着しません。
ここがプリントに失敗する一番の原因でもあります。
今回使用している工業用樹脂はデリケートな素材で失敗率も高く…メンテナンスをしながら慎重に作業を進めております。
失敗するとこんな状態が出来上がり、最悪だと3Dプリンターが壊れます。
プリントの失敗が一番怖い。
安定してプリントができるようになり、オンラインショップを開設して9月2日にリリースしました。
2日も前には姿形も無かったものが、わずか2日で販売開始できました。
SNS内で「販売して欲しい」と需要が把握できたこと、オンラインショップサービスを使って簡単に出店できたことが背中を押してくれました。
↑ショップはこちらへ
まさか自分だけでいいやと思っていたシンプルな商品がこれほどにも反響と共感をいただけるとは思ってもおらずとても嬉しかったです。
それほどアイカップの紛失の経験がある方が多いのかと思います…
「もしかして簡単に3Dプリンターって使える?」と思われかねないのでお伝えしますが、私には3Dプリンターの知識と整備経験、3DCADでの設計の経験、比較的難易度の高い工業用樹脂の経験がありました。
にしても展開が早いですし、販売の経験も少ないので少々不安です。
それに1stロットは問題点が浮き彫りになるとも多々あります。
ベータ版という意味も含めて400円というなるべく価格を下げた値段設定にしました。(今考えるとベータ版として考えても安くしすぎかも…)
今後の展開
現在は別機種へのサンプル作製もしておりプリンターはほぼフル稼働中です。
現在はα9 II,α9,α7 III,α7R IV,α7R IIIにしか対応できていませんが、今後はオリンパスやニコンなどの機種にも対応していきます。
(E-M5mk2,E-M5mk3,E-M1mk2,E-M1mk3は近々リリースします)
SNSでサイズ確認と装着時の写真を協力をしていただける方に無償でサンプルを発送しています。
今後気温が下がればプリント環境を整える必要もあります。さらにサポートのバリ取りや梱包発送作業…
想像を超えた忙しさに嬉しい悲鳴をあげてます🙇♂️
あまりにも時間がかかるのでまり子にも手伝ってもらっています。(黒字になったらちょっと贅沢な旅行でも行こう…)
ただこのままでは作業時間も多くかかってしまっているので、大変申し訳ないですが、持続可能な価格設定へ値上げを検討してます。ご理解とご協力をよろしくお願いします🙇♂️
横田さんにも早速購入していただき、更にはnoteにまでまとめてくださりました!僕よりも更新が早い!笑
「早速プロトタイプを造り出す行動力の化身 Miyachi」
パワフルなキャッチをいただきましたw
noteにまで書いていただき本当にありがとうございます!
最後に
まさかまさか、3Dプリンターで作る商品がこのように購入して頂けるとは思いもよりませんでした。
本当にありがとうございます。
(もし金型を起こしたいというメーカー様がいらっしゃったら連絡してくださいw)
話は変わりますが実はそれ以外の商品も…
実はX100のフジツボフードが好きすぎてこんなフィルターも作りました。
ペンタックスよりも小さくて、フッ素コーティングや透過率が高い高性能な37mmフィルターが装着できる設計です。
この形はアルミ削り出しで検討しているので現在近隣工場へ協力依頼中です。(カメラのネジはJIS規格外なので断られ続けています…)
リリースするとしたら高額になってしまうと思いますし、完全に自己満なのですがX100好きとしては何としても製品化したいと考えています。
こちらも情報が整い次第公開していきます。
速報はすべてTwitterから公開しますのでよろしければフォローお願い致します。
最近は3Dプリンターの話題ばかりですが、普段は写真ばっかり撮ってますからね!
とにかく、この様に何となく形にしたアイデアに多大な共感と反響を頂き大変嬉しく感じています。
それに3Dプリンターを導入してから湧いてくるアイデアや生活の思考の変化をきっかけに活力が湧き出てきます。家に居てもできること、新しいアイデアを発信できればと思います。
今後とも良い商品を提案できる様に努力していきますのでよろしくお願い致します。(もちろん写真もどんどん発信していきます)
これから3Dプリンターを使って色々作ってみたいという方はちょっと気合を入れてCADと3Dプリンターを勉強してみてください。
今はYouTubeでいくらでも勉強できます。
CADだけならフリーソフトが色々ありますので調べてみてください。
2020/10/01 追記
復数の方からのご協力があって下記の4機種のカバーが追加されました!
・OLYMPUS E-M1mk2
・OLYMPUS E-M1mk3
・OLYMPUS E-M5mk2
・OLYMPUS E-M5mk3
Twitterにも報告させていただきました。
これでやっと9機種のカメラへ対応できたことになります。
設計も製造も楽しいので着実に対応機種を増やしていきます!
さらにさらに、先行販売していたα7III-α9シリーズのカバーもメジャーアップデートをしました。フィット感の向上とカバー自体の脱落を防ぐバネを装着しました。
しかし発送作業と製造効率の分を値上げをしております。それでも手に入りやすいように抑えた価格帯になるように努力しました。
今回復数の人にサンプルを渡して採寸情報や使用感をいただいたのですが、それぞれの着眼点が面白かったです。
特に製造関係に携わっていた方は細かな寸法まで指示をいただいたり、
現状のカメラの問題点を教えていただいたりしました。
ヨドバシカメラへ行ってコソコソとカバーを装着テストしたり…そんな状況からは得られない情報を教えていただきながら設計することができました。
特にOKPさんはブログの経験もあり段違いに的確なご意見をいただきました。本当にありがとうございます。
特に今回大きな機能が加わったのがカバーの脱落や緩みを防ぐ機構です。
この構造は「E-M1mk2のカバーがそもそも外れやすい」というOKPさんからの意見から緩み止め構造を検討することにしました。
アイカップに若干当てて抵抗を出すか、なにかでロックするか、バネを搭載するか…様々な検証をしてバネ機構が適切だと思い設計をしました。
しかし、この抵抗感はかなり絶妙な設計となり0.10mm単位で調節する必要があります。強すぎても弱すぎてもいけませんし、カメラもカバーも壊れてもいけません。
上記のバネの形状では断面形状が弱くグッと力を加えると折れ曲がってしまうことが判明しました…
通常このような力はめったに加わらないのですが、初めて手にとった方がどのように力を加えるのか想像ができません。
なので別の形を検証を続け、改善を重ねて現在の形にたどり着きました。
肉抜きも応力を計算しながら設計して簡単には折れないようにしてます。
はじめはE-M1mk2-3専用で考えていたのですが、バネの力の方向がサイドなのでどのカメラにも対応できます。
他のカメラにも搭載してみると結構いい調子だったので全部機種のカバーに搭載することにしました。
作ってテストを繰り返し、良さげなものをOKPさんに試していただいたり…濃厚な1ヶ月でした。
設計に協力してくださったOKPさん本当にありがとうございます。
(商品説明に使用している写真もOKPさんです!)
3Dプリンターだからできるこまめなアップデートと金型では苦手な構造ができるのがいいですね。
これからもカメラマンやカメラを愛する方々のアイカップが紛失されることが無いように、開発を続けていきますのでよろしくお願いします!
ご購入して頂いた方、開発のための情報をくださった方、本当にありがとうございました!
ストア情報
アイカップ紛失防止カバーの販売はこちらのURLから↓
2020/10/01現在対応機種一覧
・SONY
α9 II
α9
α7 III
α7R IV
α7R III
・OLYMPUS
E-M1mk2
E-M1mk3
E-M5mk2
E-M5mk3
・Nikon
近日中に拡充予定
■商品についての注意事項
本商品は3Dプリンターで一品毎に生産しており、同じ風合いのものは存在しません。
3Dプリンター特有の積層痕や積層乱れが製造工程上必ず発生してしまいますので予めご了承ください。
バリや引っ掛かり等が発生するため一つずつ手で取り除いておりますが、気なるバリが残っておりましたらご自身でカッターやヤスリを使用して慎重に取り除いて使用してください。
本商品は3Dプリンターで製造しております。3Dプリンターの故障や受注数により発送まで1-2週間の時間を頂く場合がございます。
■使用時の注意事項
本部品は装着テストしていますが、本部品が破損しないことを保証するものではありません。
ホットシューから緩みにくいサイズを検証して設計しておりますが、緩みを確認した際は必ず押し戻してください。
ホットシューには電子端子が埋め込まれている場合がございますので、必ず真っ直ぐに挿入し、引き抜く際も真っ直ぐに引き抜いてください。
お客様の自己責任での使用の元、過度な負荷が掛からないようお気を付けください。
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