見出し画像

「頭の中で独り言、自分と会話している」この状況は幸福には害になる

通りを歩いている人が1000人いたら、そのうちの1000人全員が、いつでも頭の中で自分と会話している。   (中略)
でも、この状況は幸福にはとても害になる。心は主人ではなく、シモベであり、手段であるべきだ。私は自分のモンキーマインドに始終コントロールされ、突き動かされたくはない。
雑念に振り回されるような毎日から抜け出したいと思っているけれど、なかなか難しい。

「最重要思想家 ナヴァル・ラヴィカント」pp.261-262

このくだりを読んだときに「頭の中の独り言、頭の中の自分との会話」の害から抜け出すため、もがいているのは自分だけではなかった! ストンと腹に落ちて、なんだか軽くなったような気分になりました。

筆者が「頭の中の独り言、頭の中の自分との会話」を害だと明確に認識したのは15年ほど前です。その頃起きたあるコトに対する自分の「頭の中の独り言」を、自分自身が許せなくて自分を大嫌いになったときでした。あの頃は地下鉄の窓ガラスに映る自分の顔を見るのも嫌で、窓ガラスに顔が映らない場所を選んで立っていたものです。

あれからだいぶ年を経て還暦をすぎ、今度は床に入ってから「頭の中の独り言、頭の中の自分との会話」が暴走すると眠ることができなくなりました。若い頃は一晩くらい徹夜をしても平気でしたが、年を取るとそうはいきません。一睡もできなかった日には血圧がかなり上がって体調が悪くなります。毎日1時間程度のウォーキングを続けましたが効果はありませんでした。仕方なく病院で睡眠導入剤を処方して貰い、「頭の中の独り言、頭の中の自分との会話」が暴走しそうな夜には服用して寝ていました。しかし、この状態を放っておくことが良くないのは明らかなので、昨年、一計を案じて「坐禅」と「呼吸を意識した運動」を始めたのです。これが効き、今年に入ってからは一度も睡眠導入剤を服用せずに済んでいます。
 
「頭の中の独り言、頭の中の自分との会話」の解決策は、筆者は「坐禅」と「呼吸を意識した運動」でしたが、ナヴァルのは「瞑想」と「(主に)運動」でした。なんだか自分と問題認識や思考が似ていると感じました。これ以外にも、「100%のめり込めなければ大差で負ける」など「そうそう、そうなのよ」「だから私はダメだったのか」などと合いの手を(頭の中で)入れる部分が多かったからです。
 
つまり、モヤッとボンヤリとした自分の「感情」や「認識」や「問題意識」などを、自分よりもずっと適切に言語化してくれて理路整然と説明されていたということです。次回からはそれらを取り上げて連載していきたと考えています。

ナヴァル・ラヴィカントという人
1974年インド・デリー生まれの2024年現在50歳。キャピタル・ファンドを創業し活躍しており、44歳のときには「年間最優秀エンジェル投資家」に選出されている投資家・資本家・エンジニアです。
 
ナヴァルの生い立ちや育った環境は、ナヴァルという人となりを作った大きな要素なのでナヴァルの言葉を理解するために必要なことです。それはイントロダクション「私の背景」の先頭に書かれていました。

私の背景
私はひとり親家庭で育った。母は働きながら学校に通っていたから、兄と私は鍵っ子として育ったんだ。私たち兄弟はほんの幼い頃からちゃんと自立していた。
苦労は多かったが、誰にだって苦労はある。この経験はいろんな面で役に立ったね。
 
私たちは貧しい移民だった。父がアメリカに移住した-インドでは薬剤師だったけれど、アメリカではその資格が通用しなかったから、金物屋で働いていた。恵まれた育ちではないね。家族は離散してしまった。
 
母は苦しい中でも母なりの方法で、どんなときも無条件の愛情を注いでくれた。人生に何はなくとも、無条件に愛してくれる人が一人でもいれば、強い自尊心を保つことができるんだ。
(以下、省略)

「最重要思想家 ナヴァル・ラヴィカント」p.20

「シリコンバレー最重要思想家 ナヴァル・ラヴィカント」概要と目次
 
この本はナヴァルのツイートや講演などを集めて編集・構成した、いわゆる「ナヴァル語録集」です。以下に本の目次を引用しておきます。製本版もありますが、出版社サイトからは無料ダウンロードができます。筆者は無料PDF版を読みました。
 
本書のPDF版、mobile版、epub版は、Navalmanack.comから無料でダウンロードできます。日本語版は株式会社サンマーク出版社のサイトから:


「 第1部      富」 この世界で運に頼らず「リッチ」になるには
 
■ 富を生む「行動」と「思考」の特徴
「努力量」は勝負を決めない ― 「方向」を探り、定めよ
今得意で夢中になれるものが君の「特殊知識」

  100%のめり込めないなら「大差」で負ける
  「基礎」から始めて、深く精通せよ
すべてにおいて「複利」で考えよ
  努力のうち「1%」が実を結ぶ
自分の「名」のもとに取り組む
事業を小さくてもいいから「所有」する
「レバレッジ」を効かせてインパクトを最大化する

  「社会が求めているがどうやって手に入るか知られていないもの」という金脈
  一人で発揮できる「力」が高まっている
  時間の「切り売り」を断つ
  学び磨くべきは「セル」「ビルド」のスキル
  より高い利益は「上流」にある
  「特殊知識」×「説明責任」×「レバレッジ」で上昇する
「わずかな差」を増幅し桁違いになる
小さな積み重ねで「巨大」になる ―選択と集中―

  「時間」で考え、決断する
  「エネルギー」は分配せず全注力する
  長い目で見れば「楽観論者」が成功する
  「サル」だった頃のゲームを続ける?
  一生のうち3つの「大きな決定」
  「恩」はどんどん先に送る
「遊び」のように感じられれば最高の仕事
  「楽しいから創る」が一番強い
  「金銭欲」はカネで満たされない
  勤め人が最も考えるべきポイント
「運」に意図的に恵まれる方法
  人が欲しがる「おもしろいもの」を作る
辛抱強く、時間をかけて、たゆまず果敢に前進せよ
  「苦しみの目録」が自分の履歴書になる
 
「判断」がモノを言う。飯が食えるくらい磨け

「自分の行動の長期的影響は何か?」と考える
明晰に考える方法
  苦しいときに見えてくるのが「現実」
  「考え事」は時間を割いてする
人は無自覚に「エゴ」に縛られている
  自分で選んだ「習慣」で固める
徹底的に「正直」になる
「幅広い分野」に触れて自分を広げる
  進化論―人生の多くの側面を説明している
  反転―逆からものごとを眺め、考える
  複雑性理論―人間は「予測する力」がとんでもなく低い
  経済学―「ミクロ経済学」と「ゲーム理論」は資本主義の基本
  プリンシパル・エージェント問題―「当事者」だけが真剣に取り組む
  複利―1が数千になる魔法
  基礎数学―稼ぎたければ「算数、確率、統計」
  ブラックスワンー「極端な事象」を学ぶ
  微分積分―問題を解くより「原理」を理解せよ
  反証可能性―「科学的」の絶対条件
  迷ったら答えはノー
  まず「上り坂」から走る
好きになるまで「読書」する
  思いっきり「呼吸」し、精神に織り込む
  日に1,2時間の読書で世界0.00001%に入る
  ほとんどの本を貫く「構成」―伝えたいことは「1つ」だ
  苦しんだ分「頭」が鍛えられる
  原点・古典を読む
  現代では「読む力」は希少
  解決策は「昔」に書かれている
 
第2部      幸福 この世界で最高の人生を歩むには
 
自分に「平安」を取り戻すー長年学び、導いた結論

お金は「ほんの一部」にすぎない
 ポジティブだとネガティブになる-何事にもある「二面性」「両面性」
 現実は常に「ニュートラル」でしかない
 「自分の力」がおよばないなら手放す
「心」は体が変わるように変わる
「今この瞬間」はとてつもなく希少で価値が大きい
「不安」の元凶は先のことを考えること
欲望は「たちの悪い契約書」めいている
人は「手に入れたもの」に慣れてしまう
「べき」という社会的刷り込みをとっぱらう

  人生は常に「一人ゲーム」―一人で生れ、一人で死ぬ
「習慣」が人をつくり、人を変える
  「信じたら効果があるかもしれない」と思って試す
  先んじて「損」して、「得」を長く大きくする
  薬なしで「セロトニン」を増やす-日光、運動
  変えたい習慣を変える方法
欲を常に「1つ」にする
  どうせすべて「塵」になる
 
■ 自分を変える「思考」と「行動」

「君にしかできないこと」が必ずある-君の「理不尽なまでの執着」は何か?
すべては「体の健康」あってこそ
  食事-「糖」と「脂肪」の組み合わせを避ける
  「食べない」はシンプルで良戦略
  運動-なんでもいいから「毎日」やる
「心」を変える
  「冷水シャワー」も浴びればつらくなくなるー頭の声がする前に行動
  「瞑想」は歩きながらできる
  人格から「フジツボ」を取り払う方法
  瞑想は「超能力」ではない
  「一点集中」し100%没頭する
  「モンキー」を起こさず眠らせておく
自分で「自分」を変える
  君に「覚悟」はあるか?-ほとんどの人にはない覚悟が
  すぐ動く。待っていても若くなれない
自分で「自分」を成長させる
  「群れ」から出る
自分に「自由」を与え広げる
  「他人」から自由になる-他者の期待は「その人の問題」
  「怒り」から自由になる-おぼれながら人の頭を沈めるようなもの
  「雇われ」から自由になる-生活レベルは「上げない」が正解
  「雑念」から自由になる-「モンキーマインド」を消すには
 
■ 武器になる哲学-人生を豊かにする先人の知恵凝縮ルール
「意味」を生み出す人になる
立派な仲間を見つけたいなら「立派な自分」になれ
すべて「合理的」に向き合う
インスピレーションは「生もの」-ひらめいたら即動け

「最重要思想家 ナヴァル・ラヴィカント」目次