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時間単位の有給休暇取得が取りやすくなる?

こんにちは。みやび@社会保険労務士です。
2024年12月23日の日本経済新聞に下記の記事が掲載されました。

#日経COMEMO #NIKKEI

近年、働く人々のライフスタイルは多様化しています。通院や育児、介護など、まとまった休みではなく“数時間”の休みがほしい場面も増えてきました。こうしたニーズに応えるために、政府は年次有給休暇のうち、時間単位で取得できる日数の上限を緩和する方針を示しています。現在の年5日までという上限を、企業から与えられた日数の50%程度にまで拡大する案が検討されています。


1. 背景:年次有給休暇と時間単位年休

年次有給休暇(年休)は、労働基準法に基づいて、勤続年数に応じて企業から与えられる制度です。週5日勤務の場合、初年は10日、その後日数は増加し勤続6年半経過後には1年で20日もらえます。取得しても給与は減額されないため、働く人々にとって大切な権利です。
しかし現在は、多くの職場で1日または半日の単位での取得が中心で、時間単位での利用は労使協定がある場合に限り、年5日以内として制限されています。


2. なぜ上限緩和が必要なのか?

現行制度では、時間単位年休の制度を導入していても、5日分を使い切ると、たとえ「2時間だけ休みたい」というときでも、1日または半日の単位で休まざるを得ないのが実情です。これでは通院や子どもの学校行事、役所への手続きなど、“少しだけ時間がほしい”ケースで柔軟に対応しづらいという声が上がっています。

  • 2022年の年次有給休暇日数と取得日数

    • 厚労省によると、企業が1人あたりに与えた年休は平均17.6日。

    • そのうち取得されたのは10.9日、取得率は62.1%にとどまっています。

有休取得率自体は年々上昇しているものの、“短時間休み”のニーズが十分に満たされているとは言えません。


3. 具体的な緩和案

今回の方針では、時間単位年休の上限を「年5日」→「企業から付与される日数の50%程度」に広げる案が検討されています。
例えば、勤続年数6年半以上で年20日の有給休暇が付与されるケースでは、時間単位年休の上限が10日分に増えるイメージです。

  • 時間単位年休利用者は22.1%(厚労省アンケート)

    • 半数近くの人が通院・治療目的で利用

    • 育児・介護や自己啓発、行政手続きなどにも活用される

  • 利用経験者の4割超が「上限拡大すべき」と回答


4. 今後のスケジュール

  • 規制改革推進会議が近くまとめる中間答申に、この方針が盛り込まれる見通し。

  • 厚生労働省が労働政策審議会で議論を進め、2025年度中に結論を出す予定。


5. 働き方の多様化に合わせた制度改革

政府がこのような制度改革を打ち出すのは、働く人々のライフスタイルが大きく変化しているためです。テレワークの普及や男女共同参画の推進、介護・育児世代の増加などを背景に、「柔軟な休みの取り方」が今後ますます求められていきます。

今回の緩和案は、「短時間休みが取りにくい」という課題を解消するための一歩です。時間単位年休の上限拡大によって、少しの休みでも取得しやすい環境が整えば、有休取得率のさらなる向上だけでなく、仕事と私生活の両立にも寄与することが期待されます。


今回の制度改革案が実現すれば、短時間の休暇が取りやすくなり、仕事の生産性の向上や従業員のモチベーションアップにもつながるかもしれません。今後の議論の進展に注目が集まりますね。

そして従業員としてはメリットしかない時間単位年休の上限拡大ですが、会社側にとっては年次有給休暇の付与日数と取得日数の管理が煩雑になるというデメリットがあります。
ただ、給与だけでなく休みを重視する人が増えている昨今、時間単位年休を上限まで取得できるということは、求人の際にアピールになること間違いなしですね。

年次有給休暇の管理にお困りなら  下記までお問い合わせください(^^♪


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