23.10.28 vs 鹿島アントラーズ
効果的なサイドチェンジとは
残り5試合となったJ1リーグ。浦和は優勝に向け、全勝を目標に据え、2戦目鹿島戦に臨んだ。
伝統の一戦らしく、試合開始前の両チームのビジュアルはとても素晴らしく、スタジアム全体が最高の雰囲気であったと思う。
結果は6月4日に行われた第16節と同様に0-0の引き分けとなった。
スタメン
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鹿島は前節神戸に1-3で敗戦。今節は左SHを藤井→仲間、鈴木優磨の相方を荒木→垣田に変更しました。また、6月の対戦時からは、右SHの名古がベンチ外へ行きました。それ以外は変わらず。
一方浦和は、前節柏に2-0で勝利。今節は2列目を、安居・高橋・小泉とし、1トップにカンテを置きました。6月の対戦時は、ボランチに、安居・敦樹。左SHにリンセンを置くという新しい起用法を試し始めた時でした。
浦和の狙い
前節同様相手は4-4-2なので、浦和の狙いとしては、2列目をSBが越えてボールを貰いたい。
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ただ、鹿島は柏のように4-4-2をキープし続けるのではなく、SHは積極的に1列降りて、疑似的に5バックを敷く形を取りました。
結果、右サイドでは荻原と小泉で崩していきたいところなのに、目の前に樋口と広瀬がいるので、時間を作りつつ、小泉が後ろに下がって作り直すか、荻原の1vs1の勝負に賭けるしかなくなってしまいました。
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また、右サイドでは、酒井の上がりに続いて、ショルツが持ち出す。そしてボールの上がりに合わせて、敦樹もあがり、酒井と安居と3人で崩す準備をする。
ですが、仲間が最終ラインに降りることでそれも防がれてしまう状況になってしまいました。
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前半は、鹿島の外側をボール回しせざるを得ない状況になってしまい、なかなか難しい展開に。
8:40には西川からショルツ、そこから高橋へと縦パスが入り、その落としを敦樹が拾い、小泉→荻原へと、前節柏戦のような攻撃ができました。が、前半に高橋・カンテの2トップを活かせたのはこのシーンぐらい。
外が無理なら中を使うのが定石な気がしますが、そもそも後ろの選手が勇気を持って使うことが無く、彼らが『消えていた』という評価になってしまいました。
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鹿島の狙い
一方鹿島は積極的に優磨を使って効果的なサイドチェンジを繰り返すことが出来ていました。
ビルドアップはSBを高い位置に上げ2CBと2ボランチで浦和の2列目の手前を支配。その2列目の手前から、降りてきた優磨を使って前向きのボランチを使う。そこから、SBの広瀬や安西へ展開。を狙ってきました。
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17:27では浦和のロングキックをカンテから仲間が奪い、垣田→樋口と落とし、外の優磨+安西vsショルツのスペースへ。
2トップのレイオフからサイドへ展開。数的有利を作ってフィニッシュまで。
という流れが出来ていました。
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効果的なサイドチェンジ
浦和も鹿島も、守備時は4-4-2を取るのに対し、攻撃時、浦和は3-1-6。鹿島は2-2-5+1のような形に。
形は違えど、お互いにゴール前まで良い形で行けたのは、サイドチェンジを使用した時でした。
浦和がサイドを変える時は、多くの時間で、『CB経由』で鹿島の4-4-2の外側を回すやり方。
一方鹿島は、縦パスを入れ、浦和の4-2の間で『ボランチが前向き』でボールを受けてサイドチェンジをしていました。
結果として鹿島の方が、浦和の4-4-2を再度構築される前にボールを逆サイドに届けられるので、酒井vs優磨+安西や、荻原vs広瀬+樋口と数的有利を作る事が多くなりました。
前半、浦和が相手の4-4-2を崩した状態でサイドチェンジ出来たのは、8:40と、26:10のシーン。
左サイドで小泉・荻原で崩す事を止め、サイドを変えようとしますが、CB経由ではなく、ボランチ経由することが出来ました。
それにより、ボールを貰った敦樹は左SHの仲間の方へドリブルで進み、仲間を釣る。釣ることで、酒井にスペースを与え、安居と崩す事が出来ます。
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後半52分。このサイドチェンジでチャンスを迎えました。
酒井→安居、CB経由せず、岩尾へ通して一気に荻原へ。広瀬に対し小泉と2vs1を作り小泉が良い状態でクロスを上げることが出来ました。
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4-4-2のブロックを敷く相手に対しては、いかにそのスライドよりも速くボールを回せるか。そもそも人が走るよりもボールを走らした方が速いので人を飛ばすパスは相手のスライドを間に合わせない手段として有効です。
最後に
伝統の一戦は2戦連続ドロー。
浦和が優勝するためには勝ち点3が必要でしたが、残念ながら1。ただ、神戸も湘南と引き分けたので、勝ち点差が8に。まだ優勝の可能性を残して残り3節。時節は神戸戦。
神戸が2週間オフの間、浦和はルヴァン杯決勝とACL。強いチームだからこその日程を乗り越えて、神戸に勝ちましょう。