趣味と仕事の掛け算、ライターとしての「編集力の拡張」
思わぬところから、ボールが投げ込まれることがある。いい意味で、しかもタイミングよく。そんな時には、不思議な潮流を感じて、流れに乗ってみたりする。
先週末、沖縄は豪雨が続き、自宅でNetflixの韓国ドラマ「ザ・ファビュラス」を観ていた。ファッション × ブランドPRをテーマにファッションモデルや今風のSNSインフルエンサー、カメラマンも登場する。中でも著名なファッション雑誌の女性編集長役は、映画「プラダを着た悪魔」のモデルとなったVOGUEの編集長・アナ・ウィンターを彷彿とさせる。
あらゆる肩書きのスタッフが関わり、1点の服が出来上がる。表舞台で大手を振る人。裏方で奮闘する人。無駄な人などどこにもいない。表面だけを見ることの「つまらなさ」とバックボーンの「面白さ」を実感したドラマだった。
なぜこの話をするかといえば、このタイミングである執筆依頼が来たからだ。それは、Z世代向けファッションイベント。現場でライブレポートを書くというものだ。漠然とNetflix見ておいてよかったな… 繋がるなあ……と思いながら、「人生に無駄なことなどない(かもしれない?」と今後もエンタメ系、特に映画・ドラマ・漫画・アニメという趣味を邁進しようと決めた。
ライターに転身してから、今年の9月で丸9年。
その間に、編集者・カメラマン・ディレクターなどコンテンツ制作に関わる仕事を請け負い、たまにWebメディアの編集長や副編集長を担って、ライター講座を開催したりもした。現在は沖縄を拠点に活動して、月に一度は東京へ行く。いいのか悪いのか、企画・取材から細々した雑務まで、わりと何でも屋の域に達している「ひとり起業家」です。
【追記】9月24日に開催した「OKINAWA COLLECTION 2023」の総まとめレポートが、9月25日に公開されました。
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今から2週間前。9月6日(水)の夜、私は東京の四ツ谷にいた。
「編集力の拡張」をテーマに、カツセマサヒコさん × サカイエヒタさんのトークイベントがあり、noteが運営する「 note place 」へ向かった。イベント主催者の新R25副編集長・天野俊吉さんと、株式会社かくしごと代表・黄孟志さんがモデレーターを務めて、緩やかに進むトークとは裏腹に、メモを読み返すと際どく尖った金言だらけだ。
これっ… 真理突いてるな〜!と納得感が半端ない。切実だし意表を突く発想ばかり。写真・録音・録画NG、SNSの実況NG、レポートもNG…!! 参加者だけが拝聴できる極秘のトークライブでした。
【追記】
後日、公開できる範囲内でイベントレポートが掲載されました。
その中で「 #編集力の拡張 をテーマに何か書いてみてほしい」という宿題のような提案がなされた。2週間ほど出遅れたけど、自分の仕事と趣味を掛け算した自己紹介を「5つのポイント」にまとめてみました。
❶映画鑑賞の編集力
コロナ禍から映画を観るようになって、現在は週に一度、映画館で最新映画を観ている。映画の公開初日は金曜が多くて、沖縄のシネコンはどこも金曜が会員割引デー。だから公開初日に観ては、Instagramに感想を投稿しています。
ここ最近は、予めスケジュールに「映画鑑賞」を組み込む暴挙に出ていて、金曜は夕方でお仕事終了。観賞中に睡魔に襲われ、ストーリーの一部が記憶にないこともあって、ドライブ・マイ・カーでも経験済み。ああ、勿体ない… ほんと勿体ない。睡眠不足は大敵です。
予告編もとい、完成披露試写会やワールドプレミアムの「舞台挨拶」もYouTubeで観るようになり、この連鎖する一連の流れが面白かった。「SLAM DUNK」「BLUE GIANT」「キングダム」の大作は、隅から隅まで理解したくて漫画全巻を制覇してから映画に挑んだ。
たまにインタビュー記事を読み込んで、事前に知識を入れると理解が深まり、視野が広がって盲点に気づいたりする。映画の世界には綿密なこだわりが膨大に存在するのだろう。
聞き慣れない肩書き、エンディングに連なる膨大な名前。映像から読み取れる多くの情報。客観的に捉えたり、どのキャストの視点で見るかによって解釈が変わる。心に響く部分も、考察も感想も人の数だけあって、その解釈の違いが面白いし、皆で感想を言い合いたい。
キャストと制作陣の感性や情熱がたぎり、2時間に凝縮される映画は「エンタメの結晶」だと思っている。そんな作品を割引デー1,100円で観れるのだから、金曜の夜は軽やかな足取りでユナイテッド・シネマに向かってしまう。
監督の過去作品や主要キャストに詳しくなれば、濃密な疑問や関心が生まれて、映画業界の歴史を辿るのも最高だろう。ライター独自の感性や知識を活かして、作品の面白さや魅力を言語化する。映画に関わる取材・執筆をしたいと思ってから、最終目標に映画のパンフレット制作を掲げた。
映画に関わる取材や記事制作。人手が足りない、都内で開催する試写会後にレビューを書くなど、お手伝いできる仕事があれば、ぜひご連絡ください。(劇団☆新感線の記事、松竹様のオウンドメディアで執筆経験あり)
事前事後を問わず、インプットはいいぞ!と思っているので、せっかく映画を観たならアウトプットしていきたい。
❷ 完全に趣味の域「ドラマの面白さを考察」する編集力
映画と同じく、始まりはコロナ禍。Netflixの韓国ドラマ「愛の不時着」「梨泰院クラス」にハマり、国内ドラマに再び、半沢直樹がやってきた。
ドラマの原作とえいえば、漫画・アニメ・書籍。そしてオリジナル脚本。あまり脚本に注視しておらず、オリジナルの脚本で人気を博したドラマの凄さを理解してない視点が浅すぎて、自分アホかな?と思ったことがある。
ドラマの最終回を見て「面白かった。はい、終了!」で終わっていたのが、名言をメモるようになって脚本に興味を抱いた。このワードはどこから出てくるのか。この台詞の面白さは語呂感か、テンポか。それとも俳優の演技力か、役のキャラか。言葉が持つ表現力の偉大さに今さらながら痺れた。
面白いと思ったドラマの脚本家や監督、主要キャストの歩みに関連するづけて過去作品を観るようになって、不思議と浮かび上がってくる「この人、天才!」感。俳優陣の演技の幅広さ、10代からスター性を放ち、量で実力をつけて、ここぞという作品で実績をつくる。
奇想天外な展開の脚本と語彙力効いた言葉たち、そして軽快なオチ。
連続ドラマって…… 脚本が命!なんだな。その秀逸な脚本にキャストのお芝居をのせて、演出・映像・音楽と諸々の付加価値ついて面白さが爆発する。
似たような展開があっても、なぜ面白く感じるのか。日本のエンタメ、何気にスゴイなあ…… と現在、シーズンごとに5〜6つの国内ドラマを選んで視聴中。TVerさん、ほんとお世話になってます。
映像配信メディアによって、今やドラマは好きな時間に自由に視聴できるエンタメとして、日常を彩る暮らしの一部になってきたんじゃないかと思う。
そして、映画やドラマから派生する一連の流れが面白い。
例えば、お笑い芸人のヒューマンドラマ「だが、情熱はある」を観て、ドラマのモデルとなった南海キャンディーズ山ちゃん×オードリー若林さんの番組「たりないふたり」をTVerで視聴した。その後、ふたりの書籍を購入して読む。うおおお…… なんだか面白い。
そして、オードリーのラジオ番組「オールナイトニッポン」を視聴するようになり、2024年の「東京ドーム」のライブに行こうか迷い中。10月に沖縄でライブをする山ちゃんの「山里亮太の140」はチケット購入済みだ。時代を逆行する形で情報に追いついて急に"お笑い熱"に目覚めてしまった。
映画とは違い、連続ドラマゆえの依存性ってある。1週間後を楽しみに待ち、SNSにリアルタイムで感想を投稿する。ネット上でコミュニティが生まれ、プロモーション含めたドラマ特有の楽しみ方、もっと模索したい。
2023年のドラマも豊作だった。
バカリズムさん脚本の「ブラッシュアップライフ」、脚本家・大石静&吉高由里子×北村匠海W主演の「星降る夜に」から始まり、日曜夜のラッシュを起こした春シーズン。黒岩勉さん脚本&福山雅治×大泉洋の「ラストマン−全盲の捜査官−」、岡田惠和さん脚本の「日曜の夜ぐらいは…」、お笑い芸人の実話をモデルにした「だが、情熱はある」のもの憂げで切ない葛藤、情動的な共感と熱い感動、エンタメ性にも優れた作品だったと思う。
そして夏シーズン。トルネードのように爆発的威力で、日本のドラマ業界を席巻した日曜劇場「VIVANT」。映画のようなスケールとハイスピードな逆転劇、かなり意表を突くドラマだった。社会派ドラマ「最高の教師」が毎回泣けて、サスペンス的な「癒やしのお隣さんには秘密がある」が予想外に面白かった。
❸ 「写真の表現力」を生かした編集力
仕事で写真を撮る機会が多く、日頃から一眼レフカメラを持ち歩く習慣がある。ただ、仕事で撮影する写真と日常を切り取る写真って、少し視点が変わるよなあ…… と思い、最近はInstagramに写真を投稿してます。
最初はインスタの画像サイズ(特に縦長)に苦戦して、普段どおりに撮ると上下が見切れてしまい、未だに工夫しながら撮ってます。
・インスタ特有の写真の見せ方とインパクト
・フィードに並んだ時のスクエアの配置
・フィード全体を見た時、画像の順番や色合いと余白
・映画のチラシ画像は、投稿する間隔を決めている
個人アカウントでは、フォロワーを増やすことよりもフィードの美しさやバランスに重きを置いていて、あまり賢くない駄目なやり方だけど、なぜかそこだけは譲れない。
少しずつ作品を撮りためて、作品用のInstagtramアカウントを作ろう。
観光系やグルメ写真、インタビューの人物撮影、大規模イベントの撮影など、仕事で撮影してきた以外にも、いろんな写真撮影にチャレンジしたいので、お手伝いできる撮影があれば、ご依頼お待ちしてます。
❹ 「インタビュー」の編集力
日頃はライター・編集者、たまに統括的なディレクションなど、コンテンツ制作に関わる仕事であれば、わりと何でも屋です。
ボリュームがある記事を手掛けることが多く、最も多い依頼が「インタビュー取材」です。大手企業やIT企業、求人記事、一次産業、クリエイター、ものづくりに携わる取材、観光コンテンツなどジャンルを問わず、紙とWebのインタビュー取材・記事制作を担当しています。
つい最近ふと考えたのが、インタビュー記事の連動性や持続性についてです。
通常は企業や人物にインタビューして、1本から数本の記事を制作します。でもその企業や人物に再度取材に行くことは殆どなく、1回きりの取材で完結してしまう。この「一期一会」を何かしら連動できないかと思ったわけです。
まず大事なことは、掲載メディアや取材相手にとって「いい記事」をつくること。メディアから次の依頼が来たり、取材相手の口コミから別案件に繋がることもある。でも地方だと、横展開させるには需要と供給、相性というか、ある種のコツが必要です。
そこで、例えばです。
ライターだから、本を読む(書店に行く)
ライターだけど、よく映画を観る(映画館に行く)
ライターだけど、写真を撮る(あちこち出かける)
よく読書するライターであれば、個人書店や大手書店の方にインタビューしてみる。次回は書籍を買いに訪問して、何度か通ううちにリピーターになる。すると「沖縄の書店員が選ぶ、沖縄の歴史書」なんて企画をメディアに提案できたり、書籍関連のトークイベントに登壇いただいたり、趣味と実益を兼ねた継続的な繋がりが可能になるのではないか。
書籍に関わるメディアと繋がれたら、この流れはイケると思うのです。
同じく、私のように映画館によく行くライターであれば、シネコンの広報やミニシアターの館長にインタビューしてみる。あわよくば、試写会やイベントに呼んでくれたり、映画繋がりの仕事が舞い込む可能性もある。映画に関わるメディアと繋り、映画のレビューやコラムの企画を提案できたなら、この流れがループする仕組みが成立します。
インタビューの機会を次に繋げるため、取材相手に「役立つ情報」や「メリットを感じるご提案」を持参することも、キッカケのひとつになる。
そう考えると、インタビューが「相手を知り、自分を知ってもらう時間」にもなり得る。ライターに必要なのは傾聴力とも言われますが、邪魔にならない雑談の中で簡潔に自己PRする(=覚えてもらう)のはアリでしょう。
❺「地域に貢献する」編集力
地域に何か貢献できないかと考えて、実は今、無償でパン屋さんのSNS運用を手掛けてます。実際には「パンで還元」してもらい、週に一度は美味しいパンを頬張ってます。
絶対条件は、「自分の好きなこと」「好きなジャンル」であること。好きなことなら楽しく継続できる。興味が深まればそのジャンルに詳しくなり、アウトプットにも役立つからです。
理想としては個性や特徴を持ち、カルチャーがあると尚いいです。ヒアリング後にNGなことを決めて、あとは自由にトライさせてもらうこと。社内スタッフへの引継ぎを想定して再現性の高い投稿・運用を行っていきます。
そこで、もう1社。SNS運用の無償サポートを募集中です。
取材と撮影を兼ねて、宿泊や食事ができる「リゾートホテル」もいいなあ……と密かに狙ってます(笑)。ご興味あれば、お気軽にご相談ください。
【2023.10.15追記】
SNS運用の無償サポートは応募多数のため、締め切りました。ご相談やご応募いただき、誠にありがとうございました。
一つの行動が次に繋がり、循環していく流れをつくりたいので、迷ったときは「数年先に生きること」を考えながら動きたいと思います。
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