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外部の人間だから否定できること。鋭さの中に『愛があるかどうか』 〜PR3.0 Conference を当日レポート

「アライアンスってどんな意味?」

アライアンス? コンプライアンス? あれ? 眉間にシワが寄りました。すぐにネットで調べて、雑な言い方をすると「協働すること」を意味するようです。企業同士、企業と個人、企業とクリエイター、企業と社会…。

ひとえにアライアンスといっても、その組み合わせは複雑に絡み合い、対象によっても定義が大きく変わります。


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初日のKenote Sessionでは、エール株式会社取締役・篠田 真貴子さんが、この資料を提示されていました。

次のSession.1では、ハフポスト日本版エディター 南 麻理江さんが、アライアンスを考える時は、「切り口」「人」「体験設計」を大切にしていると話されていました。

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アライアンスの重要性は今に始まったことではなく、しかし、Withコロナ時代においてその必要性が再認識されたのは、間違いないと思います。

「ALLIANCE(アライアンス)」をテーマにしたオンラインのトークセッション。1つだけレポートさせてもらいます。


PR3.0 Conference 初日のテーマは「ALLIANCE」

2020年5月21〜22日の2日間に渡り、PR3.0 Conferenceがオンラインで開催されます。登壇者同士をZoomで繋ぎ、YouTubeライブで動画を配信。初日13時50分の開始前、待機する視聴者数が600名超えという反響でした。

ライター・編集者を本業とする私は、Session.1の登壇者が気になり、爽快な1時間のトークをPCにかじりついて視聴しました。


Session.1「クリエイターとの同盟が、企業変革を加速させる」

[登壇者]
田中 陽樹さん(The Breakthrough Company GO ビジネスプロデューサー)
武井 史織さん(Adobe Creative Cloud コミュニティーマネジャー/ ソーシャルデザイナー)

[モデレーター]南 麻理江さん(ハフポスト日本版 エディター)

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登壇者には、ぶっ飛んだプロモーションを仕掛けて話題をさらう「GO」の田中さん。私が毎日作業に使っている「Adobe Creative Cloud」の武井さん。

モデレーターは、年々コンテンツに深みが増す「ハフポスト」の南さんが努め、3名の自己紹介後、6つのお題に沿ってトークが展開されました。

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1. 南さんより、「ハフポスト」とは?

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2013年5月ハフポスト日本版をリリース。世界の14〜15カ国で運用される、ダイバーシティを大切にするリベラル系のWebメディア。月間2,000万以上のユーザーに閲覧されている。

南さんが誇りに思っているのは、ハフポストがサブスクなどの課金を行わずに「メディア単体で収益化するモデルケース」を確立できたこと。


配信するコンテンツは主に、SDGs、多様性、働き方、ジェンダー、オピニオンなど。寄稿が多いのも特徴のひとつだそう。

HuffPostのLIVE配信を担当。5G時代になると、すべてのコミュニケーションがライブ動画化するだろうとの見立てを持って配信してきた。

[南さんの好きな言葉]
Conversation Start Here(ここから会話を始めよう) 

アライアンスを結ぶ出発点。誰が最初に(モヤモヤの)口火を切るかが大事だと感じていて、その最初の人でありたいと思っている。


[ハフポストのミッション]
争いではなく「会話」で社会を前に進めるコンテンツをつくる

これからのアライアンスには「鋭さ」と「チーム」が必要。


2. ブレイクスルーカンパニー「GO」とは?

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現在、設立4年目。代表は三浦崇宏さん。

広告以外に、商品開発や立ち上げ後の事業そのものをサポートしたり、芸能プロダクションとSNSに特化した会社を設立したり、事業やプロダクトをクライアントとゼロから一緒に作っている。

資金調達、制度改革…など企業の活動を世の中に提示していくのも、自分たちの仕事。大きくは2つの職種にわかれ、田中陽樹さんはビジネスプロデューサー。代表の三浦さんはクリエイティブ・ディレクター。それぞれ役割が違い、領域をわけている。

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ビジネスプロデューサーの仕事は、簡単に伝えると、クリエイターのアイデアを実装させて、パートナーである企業を成長させること。

GOは、派手なプロモーションを手掛けるイメージを持たれているが、クリエイターやクライアントなど、パートナーとのアライアンスを前提として展開しているため、リスクの共有や一緒に挑戦する合意形成がないと実現できない。


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1. 「領域」を交換してアライアンスを組んでいる
2. リスクも成果も共有する(サクセスシェア)
3. 企業同士でアセットを交換し、関係性を構築する

「とりあえず、3つあげてみる理論」


3. Adobe Creative Cloudについて

拠点も文化背景もさまざま。クリエイターとの距離感が近い所属チームなので多様性に飛んだ、クリエイトすることが好きな人たちが多い。

Adobe Creative Cloud コミュニティマネージャー武井 史織さんの仕事は、クリエイターのコミュニティを活性化させること。


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企画するプロジェクトは、3つの軸を起点に、出発地点を変えていく。

1. 自己表現できる話づくり(例:Creative Jam

2. 新たな挑戦ができるコミュニティの掛け算(例:Motion Plus Design

3. クリエイティビティを社会に活かす仕組み


クリエイター向けの場づくりだけでは、課題を解決できない。社会との接点が必要だと感じて、業界をクロスしてクリエイティビティを社会に生かす仕組みづくりが大切だと思った。

そこで「デザインの民主化(Design Democratization)」。

デザインやクリエイティビティに対するバリアを排除して、社会課題に切り込むには、利用者側も価値を理解できるものをつくる必要がある。


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それを形にしたプログラムが「DESIGN JIMOTO」。自分たちの地元を責任を持ってデザインし、社会課題にデザインを取り入れる。全国のコミュニティと実施して地元企業や学校、行政とも連携してきた。


後半30分のセッション!自他問わず、クリエイティブの事例紹介

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GO田中さん「アウトプットの意味でいうと、ユニクロがわかりやすい事例だと思う。僕が小学生の頃、流れていたCMは田舎の激安量販店的なイメージがあったのを、佐藤可士和さんが入って刷新した。決して派手ではないけど洗練された、暮らしが豊かになるようなテレビCMでイメージを大きく変えた。

デジタルトランスフォーメーションとか、クリエイティブ以外にも取り組 んでいたし、クリエイティブの見え方が変わったことで、パリやNYの一等地に店舗を構えても違和感のないデザインで世界進出した企業だと思う」

南さん「確かに。当時の社長・柳井さんが佐藤可士和さんに全権委任する同盟関係がフューチャーされていた。武井さんはどうでしょう?」

武井さん「Appleの、スティーブ・ジョブズの描いていたハードを売るのではなく体験を売る、新しい暮らしや生き方を売ろうとしたこと。クリエイティブが見事に社会変革したわかりやすい事例。クライアントとのアライアンスといった軸から考えると、クラウドファンディングの仕組みもまた社会変革を起こしたと思う」


企業同士で「アセット」を交換してアライアンスを組む?

田中さん「大事なのは『否定をすること』だと思っていて、企業側がどうクリエイターと向き合うか。あるパートナーさんに『本当に素晴らしい商品を世界中の同じ悩みを持つ人に届けたいから、自分たちが今やってることが間違っていたら、GOさんに全否定して欲しい』と言われて、外部の人間だから言えることだと感じた。僕らが持つ観点を共有することが、領域の交換だと思った」

南さん「自己紹介で私が話した鋭さやクールさ、距離感とか。はっきりと伝えるのと似ている。性格的には苦手だけど、いいアライアンスを組むには、厳しいことを言える人にならないと、次のフェースに行けないと課題として理解はしている」


クリエイターを惹きつける企業の特徴・要素について

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南さん「言語が合わなかったり、なだめすかすコミュニケーションになったり、上手くクリエイターとの信頼関係を築けないと悩んでる人が多い。どうしたら、クリエイターをモチベートできるのか」

田中さん「ひたすら壁打ちをして戦っていくしかないと思っていて、一つひとつの仕事を通して信頼関係を積み上げていくことが大切。社内に関しては、大前提としてプロダクトが優れていること。Adobeさんとか、いいプロダクトには、必ずいいビハインドストーリーや開発秘話がある。そういった裏側の背景にクリエイターは惹かれる」

武井さん「Adobeは、サブスクに移行したタイミングでクリエイターのコミュニティ連携を意識してきた。クリエイターの『なぜ』に寄り添えるかを大切にしている。寄り添える企業はアライアンスしやすくなる」

南さん「具体的に『なぜ』に寄り添うとは?」

武井さん「直接話をして、マーケティング視点だと何が課題で何が問題かとか、クリエイターと向き合うことを大切にしている」


多様性から起こる細分化。「なぜ」に寄り添う安全な場づくり

田中さん「オンラインを使って地方で仕事をする人。都心で活動する人や海外に拠点を置く人とか、生き方が多様化してきて、今後は細分化が進んでいく」

武井さん「どんな発言をしても間違ってるアイデアはない。そんな安全な場所を提供したい。正解を探しに行くことに意味がない時代だから、場づくりの中での会話から、アイデアとアイデアを掛け算していく」

南さん「シビアに接することで、あえて深い絆を作っていくのがテーマだと感じていたけど、話を聞いてもらえる心が安全な領域を作ってあげることが大事だとも感じるし、どう両立してどうブリッジしていくか、新たな課題を持ち帰ることに。笑」

武井さん「鋭さの中に『愛があるかどうか』だと思う」

田中さん「クリエイターとはアイデアを共有するが、僕は否定することもある。例えば、話題になるけど売上に直結しなければ、このアイデアは提案したくないと伝える。その理由も伝えてクリエイターと意見交換をして、別のアプローチなら解決できるとか、『なぜ』を積み重ねることに時間をかける」

南さん「社内外において領域を交換したり、一緒にリスクを取ることをしている?」

田中さん「細かいグループ分けを複数作るより、クライアントさんも巻き込んで、オープンソースで意見や情報交換するほうがスピードが速く、いい議論やいいクリエイティブが生まれやすい」


いい仕事には、クリエイターのクレジットを入れたい

武井さん「作り手の名前をクレジットとして表に出すことは大事。大企業側が制作したと伝えるよりは、クリエイター名をきちんと出すことで、大企業にとっても得られるメリットは大きい」

南さん「4月9日YouTubeで公開されて話題になったポカリスエットのプロモーション(ポカリNEO合唱)は、大塚製薬の公式ページにクリエイター名を掲載していた」

田中さん「いい仕事をした人の名前を企業はどんどん発信して、クリエイターの価値を上げることで、結果的に企業の価値も上げていく。ビジネスプロデューサーが黒子の時代はもう終わり。みんなが舞台に上がれる状況を作っていきたい」

南さん「PR Tableの菅原さんが同じこと話していて、全体を調整したり、エグゼキューションできる能力は、もっと評価されてもいいんじゃないかと」

田中さん「設計の段階からクリエイターがコミットする事例が、今後は増えていくのだと思う」


Session.1 のトークセッションまとめ

南さん「最後に、一言お願いします」

田中さん「コロナ以前の価値観はまた戻ってくると思っていて、でもコード様式は新しくなるからアンテナを張り巡らせておく必要がある。オンラインに移行して、多くのクリエイターと仕事をするチャンスが生まれた。その一方で、いつもオフィスにいた仲間たちとの距離が遠くのくから、密に連携を取って関係性を築いていく」

武井さん「会えないならオンラインを使えばいいし、物理的な概念の距離は縮まったと思う」


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面白いトークが展開されました。

仕事を依頼する側と依頼される側。両方の立場を経験する者として、クリエイターさんとのアライアンスも、企業さんとのアライアンスも、「誠実にリスペクト」していきたいと思います。

ザザッとまとめたので、誤字脱字あるかもですが、ご了承ください。明日のテーマは「TECHNOLOGY」です。「PR Table Community」公式Twitterをチェック。

運営の皆さん、登壇者の方々、ありがとうございました。


初日のグラレコが完成したそうです。


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