バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則 柿内尚文
なんとも魅力的な題名に引き寄せられこの本を読んだ人も多いのではないでしょうか。その1人が私です。
キャッチーな題名にバナナ1本の絵。「バナナを100文字で伝えてください」と言う問いに本を読む前に自分で考えてみる。「美味しい、栄養価が高い、ダイエットに最適・・・」箇条書きでしか出てこない。どう100文字で伝えることができるのか、この本を読んで自分なりにまとめてみる。
まず、この本の著者は何者なのかと言うところから話す。著者、柿内尚文は長年雑誌と書籍の編集に携わりベストセラー本を50冊以上生み出す凄腕編集者だ。ベストセラーの中でも「空腹は最強のクスリ」と言う本は知っている人も多いのではないだろうか。この本の題名も柿内氏が考えたものである。
著者が相手に物事を伝えるとき、大切にしていることが相手ベースで考えるということだ。実は伝えると伝わるは違う。伝えるとは、自分が言いたいことを相手に伝える。しかし、伝わるとは、自分が言いたいことを相手ベースで考え、相手に伝わるように話すことである。その為、「伝わる」とは、相手が理解する、腑に落ちる、納得することである。つまり、この相手ベースで考えることこそが、著者がこの本で伝えたいことなのだ。
話上手より聞き上手になれ。よくこの言葉を聞く。なぜ聞き上手がいいのか?「楽しい!」と思う時って、自分がよく喋って相手がよく聞いてくれた時である事実があるからだ。話をして楽しくなっている人がいると言うことは、その人が楽しく話せるような聞き上手な人がいると言うことと同じである。聞き上手になるためには、親近感を沸かせる必要がある。人は心を開いた相手によく話をする傾向があるからだ。以下に、本書で書かれていた親近感を沸かすコツを載せる。
親近感を沸かすコツ
1、共通点を見つける
2、相手に興味を示す
3、自分のダメを曝け出す
4、笑顔
不満が生まれる元凶は「伝えない」こと。言わなくても伝わるだろうと言う考えは、一番お互いに不満が生まれる原因になる。しかし、相手ベースで考える伝え方を意識していると、「伝えない」ことはなくなるのではないだろうか。
近衛商人の「三方よし」の考え方は、売り手よし、買い手よし、世間よしと言う考え方であるが、相手ベースで考えることで、三方よしが上手く機能するようになる。相手の立場になって考えることで、自分の売りたい商品が相手にとってどういうメリットをもたらすのかを考えた時、相手に商品を使った時の想像を掻き立てる必要がある。例えば、よく街中で見るウォーターサーバの売り手である。ウォーターサーバーで購入する水は高い。そんな事購入者は100も承知だが、なぜ買うのか?ー疲れて仕事から帰ってきた時、何も食べたくない、でも食べないとお腹が空いている。でも疲れた・・・と考えていると、以前買ったカップラーメンが目に入る。疲れた体を起こし、カップラーメンにウォーターサーバーからお湯を注いで待つこと3分。あったかくて美味しいカップラーメンを頬張ることができる。この時、カップラーメンをよく食べる人は、魅力を感じるだろう。ただ、その人たちだけでなく、時間に余裕のない人、仕事で疲れて帰ってくる人などサラリーマンの人もすぐに熱いお湯を使っている自分を想像することができる。そうした想像を掻き立てることで、ウォーターサーバーを購入する意思決定に繋がる。この流れの場合、売り手=商品が売れる、買い手=購入したことで自分が想像したメリットが得られる、世間=経済が回るの三方よしが出来上がる。
「バナナの魅力を100文字で伝えてください」
題名で問われていることを再度考える。この本を読む前、私はバナナの魅力を美味しい・栄養価が高い・ダイエットに良いと箇条書きに伝えようとしたが、この本を読み終えて相手にバナナの魅力をイメージさせるように伝えることが大切だと思った。
バナナの魅力:疲れている時、何にも食べる気力が出ない時でもバナナの皮を剥いて食べることで口いっぱいに甘さが広がり一気に気力が回復して食欲も回復する私のエネルギーチャージ源になる。
バナナの魅力を伝えてくださいというのは「バナナ」を伝えるのではなく、いつも感じているバナナから得られるメリットや感情を伝えることだったのです。そこから話も広がるし、相手に話をした時、バナナのことをよく知っている人だとバナナの魅力を加えて教えてくれるかもしれない。
題名はキャッチーですが、中身は日常生活やビジネス場面で役に立つ意識しておくべきことがまとめられています。ぜひ読んでみてほしいです。