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これからバリスタを目指す私の、コーヒーとの出会いについて

一般的に、コーヒーってどのような印象を持たれているのでしょうか。

苦い、大人の味、飲めるとなんかかっこいい、眠気覚まし…などが多いのではないかと思います。

私も、かつてはそのような印象を持っており、大学生になったくらいの頃に苦いのを我慢して飲めるようになったことを覚えています。

しかし、コーヒーには苦いものばかりではありません。フルーティーなものや紅茶みたいに軽やかなもの、甘さを感じられるものだってある。
そして産地や品種などによって、多くの個性を持っているんです。

そんな魅力を持ったコーヒーに出会い、私がバリスタを志すことになるまでのことをお話していきます。


1.はじめに(軽く自己紹介)

まず、私がどんな人間なのかを最初に述べておきます。

・2000年生まれの24歳男
・中学~大学まで箱根駅伝を目指して長距離走に打ち込む
・大学卒業後、新卒で一般企業に就職
・コーヒーの魅力に取りつかれ、会社を1年半で退職
・スペシャルティコーヒーショップに採用が決まり、バリスタを目指している

前回の投稿で私が退職するまでの経緯をお話ししていますので、ぜひ読んでみてください。

2.出会いは地方の小さなコーヒースタンド

大学卒業後、入社した会社の初任地は熊本県でした。住み始めて間もない頃、もともとカフェが好きだった私に知り合いがとあるコーヒースタンドを紹介してくれました。「あそこのコーヒーは間違いない」と。

場所は自宅から近かったこともあり、すぐにお店を訪れる機会がありました。

住宅街の一角に佇む小さなスタンドで、春の温かい気候もあって解放された入り口。とても入りやすい雰囲気だなというのが第一印象でした。

入ると店員さんが愛想よく迎えてくださり、注文へ移ります。メニューにはフードがなく、ドリップコーヒーとエスプレッソ系のドリンク(カフェラテなど)がメインのお店です。

また、ドリップコーヒーは3種類くらいの豆のラインナップから自分で選べる形式で、コーヒーに全然詳しくなかった当時の私にとっては新鮮だったことを覚えています。

その時は何となく「酸味があってほかのコーヒーとは違うな」くらいにしか感じませんでした。しかし、店員さんとのお話が楽しくて居心地が良く、気が付けば長時間しゃべり続けていました。

それからそのお店によく通うようになり、徐々にコーヒーに興味を持ち始めたのです。

3.もっと違いを知りたい

コーヒーを飲むことが増え、少しずつ違いが分かるようになってきました。これはオレンジみたいな酸味がある、こっちはナッツみたいな香りがする…といった具合です。そうなると今度はもっと違いを知りたくなり、いろんなお店を巡るようになりました。

その中で、どうやら私がハマったのは「シングルオリジンコーヒー」らしい、ということを知りました。

ちなみにシングルオリジンコーヒーとは、ブレンドされていない単一種類の豆を使用したコーヒーのことを指します。「A国B農園のCさんが作ったD品種」のようにロット分けされています(どこまで特定できるのかはものによります)。ほかの豆と混ぜられていないので、一つの豆の個性がダイレクトに感じられるところに、シングルオリジンの魅力があります。

その個性について、私が初めて感じた時のことをお話しします。
その時飲んだのは、ルワンダで生産されたナチュラルプロセス(とてもフルーティな味になる精製方法。ここでは説明を割愛します。)の豆でした。飲んだ瞬間にブドウやブルーベリーのような紫色の果実感が広がり、とても芳醇で甘さのある味わいでした。

こうした個性的な味は、生産地の特徴をはじめあらゆる要因によって生まれるということを実感し、さらに興味が高まった体験です。

多くのお店を巡る中で、共通してバリスタさんの接客が良いと満足度がかなり高いということにも気づきます。フレンドリーに話しかけてくれたり、コーヒーの質問に対して親切に答えてくださったり。そのようなコミュニケーションを通して、コーヒーそのものだけでなくお店で過ごす「時間」に価値が生まれます。結果として、その楽しい時間を求めてお店に通うお客さんが増えているという側面もあります。

こうした接客にも、お店の特徴や「違い」がよく表れるので、面白いポイントでした。

4,自分でドリップして試行錯誤

コーヒーについてどんどん詳しくなっていく中で、ある時友人から、「自分で淹れてみなよ?」と言われます。

何となく続かなそう、という理由でおうちコーヒーは避けていましたが、友人の一言をきっかけに道具一式を揃え、行きつけのお店で豆を買って始めてみることに。

思えばこのあたりから沼の始まりでした。
忘れもしない、最初に入れたコーヒーの味。

…薄っ!美味しくない!

軽くショックでした。お店ではあんなに美味しいのに、同じ豆でもこんなに違うのか…。素晴らしいコーヒーを台無しにしてしまった悔しさと、うまくいくまでやり続けたい私の性格がゆえにそれからは毎日のように淹れ続けました。

また、熊本ではいくつかのお店が「ドリップセミナー」を開催してくれていました。バリスタさんが教えてくれながら、参加者も実際にドリップをしてみるというイベントです。これらへの参加を通して、基本的なやり方を学ぶことができました。

さらに私が大きく影響を受けたのは、東京のLIGHT UP COFFEEのオーナーである川野優馬さんのYoutubeチャンネルです。彼のチャンネルでは、ハンドドリップの解説やコーヒー農園を訪れた話などの動画が投降されています。

動画を参考にしてドリップをしてみたり、コーヒーについての知識を得たりしました。

動画を通して、味を調整する方法を知り、それを実際にドリップで試してみる→味をチェックする→また調整する…という繰り返しで、徐々に自分のベースとなるドリップレシピが出来上がりました。結果として、ブレが少なく安定した味で淹れることができるようになったのです。

5,生産を体験したい!インドネシアのコーヒー農園へ

川野さんの動画やInstagramを見ていたある時、「バリ島コーヒー農園ツアー」の告知が目に留まりました。詳しく見てみると、LIGHT UP COFFEEが拠点を持つインドネシア・バリ島で、コーヒー豆の収穫からカップに至るまでの一連を体験できるというツアーでした。

コーヒーの仕事をしていなくても、参加費さえ払えば生産現場へ行くことができる。なんて魅力的なツアーだろう!そう思いました。

行きたいと思ったが最後、細かいことを考える前に応募のボタンを押していました。

現地への飛行機を手配し、ゴールデンウィークを利用して参加してきました。

ツアーの内容は、ざっくりと下記のとおりです。
Day1
・現地でほかの参加者と合流
・拠点のカフェへ向かう。(空港から車で2~3時間の山の中)
・農園訪問
・みんなでディナー
Day2
・朝、現地の市場を見学、フルーツを買う
・午前~昼まで農園でコーヒーチェリーの収穫
・午後はコーヒー豆の精製、乾燥、選別体験
Day3
・Day2朝に買ったフルーツで朝食
・コーヒー豆の焙煎見学
・カッピング
・昼食後、空港へ

現場で自分の肌で感じることが、何よりも学びになるのだと身をもって知ったツアーになりました。コーヒーチェリーを触った感触や、嗅いだにおい、目で見た光景に現地の人々の話。すべての体験に言葉では言い表せないほど感動し、こんな素晴らしいコーヒーを多くの人に伝えたいと思うようになったツアーでした。

6,次は、いろんな人に広めたい

農園ツアーを通して高まりすぎたコーヒー熱は、もはや自分の中だけで収まりきりませんでした。

ただ、どうにかして人に伝えていきたいけれどその方法がわからない、という漠然とした悩みを持ちながら過ごしました。

そんな中、夏のお盆休みを利用して名古屋、大阪へ旅行した際に転機が訪れます。

旅行中も多くのコーヒー屋さんを巡り、大阪で私の理想的なコーヒーの伝え方をしているお店と出会いました。

そのお店は、お客さん一人ひとりとのコミュニケーションを通して、豆の個性をお伝えし、15種類ほどある豆のラインナップからご提案するという接客をしていました。

注文後は、淹れているところを間近で見ながら豆のことや淹れ方のことなどを教えてもらうことができ、飲んでみたコーヒーは驚くほどフルーティ。

入店から退店までを通して素晴らしいコーヒー体験を提供していただきました。

こんな風に、一杯のコーヒーを通してお客様を感動させられるようなサービスをしたい、そう思った矢先、すぐにInstagram上でそのお店のスタッフ募集の投稿を目にしました。

迷わず履歴書を送り、書類選考を通過して面接を受けに再度大阪へ。そして晴れてスタッフとしての採用が決まりました。

7,働くお店が決まり、今後のこと

執筆している今、まだ働き始めてはいません。
しかし、今後どのような思いをもってコーヒーのお仕事をしていきたいのかは最後にお話ししていきたいと思います。

私が最も実現したいのは、自分たちのサービスを通してもっとコーヒーへの関心を高めてもらうということです。

具体的には、コーヒーが提供されるまでに辿ってきたストーリーを知ってもらい、その背景を思い浮かべながら飲んでもらいたいのです。

消費者へコーヒーが提供されるまでに、生産者をはじめ多くの方々の努力が積み重なり、その味が形作られています。そのことを知るのと知らないのとでは、コーヒーを飲んで生まれる感情にも大きな差が出ると思います。

お客様に美味しいと思ってもらえるようなコーヒーを提供できる技術を身に着け、そしてそれはどのようなストーリーの結果として美味しくなったのかをお伝えすること。

それを今後の自分の軸として、バリスタを目指していきたいと考えています。


読んでいただきありがとうございました。



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