サウンドデザイナーのこだわりに迫る!社内イベント「Designer's Meeting #15」
こんにちは。
MIXI デザイン本部 ブランドデザイン室 デザイナーリレーショングループの川上です。
以前のnoteでもご紹介をさせて頂きましたが、MIXIでは社内デザイン職の相互理解を目的にナレッジシェアイベント「Designer’s Meeting」を行っています。
毎回、社内にあるたくさんのデザインの知見や学び、気づきなど、生の声をシェアしています。
15回目の今回は、サウンド制作を専門とするデザイン職(以下、サウンド職)のメンバー7名をお呼びしました。
メンバーからの「もっとサウンド職を身近に思ってほしい」という思いもあり、どのような経験を経て今の仕事をするようになったのかという「音楽との出会い」から始まり、インハウスで制作することの強みとは何か、制作でこだわっているポイントなどをお聞きしました。
◾️今回のゲスト:
デザイン本部 動画クリエイティブ室 クリエイティブサウンドグループ
笠島 伸吾さん
中井 博規さん
池田 圭吾さん
共闘ことばRPG コトダマン(以下、コトダマン)
デザイン本部 ブランドデザイン室 コトダマン支援グループ サウンドチーム
S・Kさん
柳田 大樹さん
橋本 鍾愛さん
モンスターストライク(以下、モンスト)
デジタルエンターテインメントオペレーションズ本部 モンストIPクリエイション部 サウンドグループ
神谷 昌臣 さん
音楽との出会い
━━現在サウンド職として活躍されている皆さんですが、これまでどんな出会いや体験があったか教えてください。
柳田:
子どもの頃に買った、とあるゲームソフトの攻略本の巻末に楽譜が付いていて、それを見ながら家にあったピアノで弾いたのが音楽と出会った最初のきっかけですね。
そこから演奏する楽しさを知って、ゲーム音楽のピアノの楽譜を買っては独学で弾いていました。
高校では軽音楽部に入りバンド活動を始めました。
最初は鍵盤(キーボード)で入部したものの、ベースがいなかったので鍵盤でベースを担当することになり、やっているうちにベースの面白さに気づき、高校1年生の冬にベースを買って、バンドやミュージシャンのサポートなど、ベーシストとして活動を始めました。
途中で作編曲の面白さも知り、作家としてJ-POPやアニソンなどの楽曲提供を行ったり、ゲーム会社のサウンド職としても働いたりしていました。
中にはアイドルへの楽曲提供もあり、MIXIに入って最初に担当した仕事もアイドルポップスの作詞作曲だったので、色んな活動を経て今に至っているのかな、と思います。
笠島:
僕の音楽との出会いは高校生の頃ですね。
元々は野球部だったのですが怪我をして続けられなくなってしまい、軽音楽部の友達が「部活やっていないなら遊びにくれば?」と誘ってくれたことがきっかけでした。
その当時、流行っていたバンドのギタリストがすごくかっこ良くて、それを見て「ギターをやろう!」と思って楽器店に行きました。アーティストと同じ楽器は高価で手が届かず、ギターではなく同じデザインのベースを買いました。
でもやっぱり憧れたフレーズが弾きたくて、ベースでギターフレーズを弾いてたりしていました。
友達とバンドを組んで活動を続け、縁あって演奏家として色々なアーティストのバックバンドをして音楽をしていました。
その後、楽曲提供の他にも作詞などアーティスト制作の裏方の制作をしながらアニメのサウンド制作のアシスタントなども経験しました。
そのときに、サウンドデザイナーの仕事を色々とさせてもらい、音楽だけでなく音で体験を作る面白さに気づいて今に至ります。
神谷:
僕の原点は、小学生の頃に姉が聞いていたテクノの曲です。
世界観がかっこいいなと感じたのを覚えていて、今もテクノが好きです。
家にアコースティックギターとベースがあり、持って真似をしていたことを覚えています。
そこから、あるバンドの曲を聞いて影響を受け、自分でもバンドを始めたのが高校生の頃で、当時は3つぐらい掛け持ちしていました。
高校卒業後は進学のために上京し、卒業後は着メロブームの時代に制作の仕事に就きました。
その後、カラオケメーカーでは業務用カラオケの機械にギターをつなげられる機能を付けたり、ベンチャー企業ではサウンドクリエイター兼エンジニアをやってみたりと様々な経験をしたあと、ご縁があってMIXIに入社しました。
インハウスの強み
━━MIXIには多様な業界から来たサウンド職のメンバーがいます。
インハウスでサウンド職のメンバーがいる組織は多くはないと聞きましたが、組織で音作りすることの強みはなんでしょうか。
S:
コトダマンのサウンドチームでいうと、ゲームサウンドを制作する上で、
企画が上がってきた初期段階から関われるというのが大きな強みです。
私は以前、制作会社に在籍し依頼を受けて制作していましたが、契約内容や立場的にも初期段階から関わることは難しく、より上流の工程から関わることが出来たらお互いもっと熱量高くかつ柔軟に制作を行えるのに!と感じることがありました。
一方、インハウスのサウンド職ではそういった障壁なく制作を行えます。
また、ゲームにおいては制作して終わりではなく、実装してどうユーザーさんに届けるかまでを考慮する必要があります。
このような仕様検討などもエンジニアの方と二人三脚で行えることもインハウスならではだと思います。
神谷:
そうですね。
同じく案件の上流から関われるのはもちろん、開発や映像など、あらゆる面でリアルタイムでコミュニケーションを取りつつ、情報をキャッチアップしながら、すぐに要望やフィードバックを音に反映できることが強みだと思っています。
サウンドにも流行り廃りがありますし、よりよいサウンド演出を作るためにも「コミュニケーションの粒度」はクオリティに直結してきます。
中井:
MIXIの社内にはサウンドスタジオがあり、ボーカル、ナレーション、ボイスのレコーディング、またはポッドキャストの収録も行っています。
さまざまな事業部のメンバーと一緒にものづくりできることが、MIXIのインハウスの強みだと思います。
制作でのこだわりポイント
━━皆さんが工夫していることや苦労をされるポイントってどんなところなのでしょうか。
橋本:
私は作曲や編曲を行っていて、工夫は色々ありますが特にこだわっているポイントの1つとして、一度聞いたら口ずさめるメロディ作りを意識しています。
メロディの流れから、次はこう来ると聞いていて心地良いのではないかというような、曲の流れを意識して作ったのが、コトダマンの希望を紡ぐ闘いの歌です。
王道なメロディをいかにドラマチックに盛り上げるかなど、サビのフレーズにこだわっています。
コード進行や、この曲ならルートがサビの間ずっと一音か半音ずつ上昇し続けます。
神谷:
ちなみに、橋本さん。
メロディが思い浮かばない時って、どうやってアイデアを出してますか?
橋本:
そうですね。
アーティストの方だったら散歩したり夜空を見たりという方もいますが
自分はそうではなく、今は絞り出すような感じです。
ある時、音楽の中で、今鳴っている音が、前に鳴っていた音の”伏線回収”のように感じられるようになり、漫画のネーム描きに似ているのではないかと思うようになりました。
譜面を見ると、どこを変えたらいいのかが絞り出せるようになり、最近ではアイデアが浮かばないことがなくなりました。
※ネーム描き(漫画の台詞やコマ割りなど全体的な構成を描いた下描き)
神谷:
すごいですね。絞り出せるんですね。
━━ありがとうございます。私はAとBの案件があったら、交互にやってみたりします。柳田さんはいかがでしょうか。
柳田:
先ほど中井さんのお話にもありましたが、MIXIにはサウンドスタジオがあり、よく声優さんのボイス収録を行っています。
私はコトダマンの声優さんのボイス収録を担当しています。
この業務を担当するのがMIXIに入って初めてだったので、
とある音楽プロデューサーに、収録で立ち会う時の心構えを教えてもらいました。
演者さんがリラックスして最大限のパフォーマンスを出してもらうためには、こちら(立ち会う側)が世界一機嫌のよい人になることが大事だと言われ、なるほどと思いました。
たしかに、ピリピリした現場だと実力を出せないこともあるかと思います。
新人さんや大御所の方など様々な方が来られますが、表情と声色はにこやかになるようにしています。
━━機嫌がいい人になるためのコツってありますか?
柳田:
特に声色が大事だと感じています。
演者さんは収録するブースは壁に囲まれていて、スタッフの表情が見えないので、心配をさせないためにも、元気よく、明るい声色を意識しています。
昔、電話のオペレーターをしたことがあり、そうした経験も活きているように感じますね。
━━ここでも様々な経験が活きているんですね。池田さんはいかがでしょうか。
池田:
いくつかありますが、まずは「キャッチーである」ということを意識しています。その中で、条件がある中でいかにコンテンツに落とし込めるかを特に意識してます。
例えば、女子競輪キャラクターコンテンツプロジェクト「リンカイ!」の場合、爽やかさとスポーツの熱量とスピード感がある楽曲という条件の中で、キャラクターのイメージにあうような女子競輪感をいかに出すかにこだわりました。
そのキャラクターPVがありますので、ご覧ください!
ぱっと聞くと普通のロックサウンドなんですが、よく聞いてもらうと、後ろにキラキラした音色を小さくいれていて、ロックの力強さや骨太感を緩和してキャラの可愛さや華やかさが引き立つよう工夫しています。
あと、ギターは自分で弾いているのですが、普通に弾くと少し強い印象になってしまったので、キーを半音あげて(カポタストという器具を使用)明るくなるよう工夫しました。
その分、ドラムの音を少し今っぽい、重ためな音色にして迫力は損なわないようにしています。
神谷:
僕は、ゲームやシチュエーションに合わせて「自然に聞こえる」ことを意識しています。
例えば悲しいシーンで明るい曲が流れるというような皆さんの想像を180度裏切るのはよくないのですが、想像している幅の中で、SE(Sound Effect)を足したりしながら、自然でありながら少し想像を超えるものになるように意識しています。
以前担当したコラボ案件では、元々の音源をいただくことができなかったため、工夫をして再現したこともあります。
ちなみに鐘の音だったのですが、家の中のありとあらゆる鉄板を叩いて
最終的に行き着いたのが一番大きなフライパンでした。
非常に細かな部分まで作り込んだ結果、なかなかリアルな音が作れたのではないかと思っていますし、ユーザーさんにもとても好評でした。
(※イベントでは実際の音を聞いて頂きました。)
━━ありがとうございます。皆さんの細部へのこだわりを伺ったうえで、改めて音楽を聞いてみると、今まで以上に深く楽しめるようになりますね。
伝えたいこと
━━サウンド職の皆さんから、MIXI社内の皆さんに伝えたいことをお願いします!
橋本:
共通しているのが、私たちは細部までこだわりを持って、良い曲を作っているということです。
なので、もし家でゲームをするとき、動画を見るときは、ぜひイヤホンやスピーカーで聞いてほしいです。
神谷:
橋本さんが仰っていることと同様に、MA周りは細かい描写までこだわって音をつけています。
例えば、先ほど紹介したコラボもキャラクターの仕草に合わせてSEをつけるなどしています。
モンストはサービス開始前の開発段階から「携帯ゲームでも壮大なBGM」を意識しています。
クオリティに対する意識、生音での収録、壮大さやゴージャスさは、モンストらしさだと思っているので、ぜひ音をミュートにせずONにして、橋本さんに同じくできればヘッドホンで聴いてほしいです。
笠島:
様々な事業部のメンバーとお話していて「サウンドを作ってもらいたい」と考えた時に何をお願いしていいのか分からない、というお声をいただきます。
サウンドっていうと、BGMや歌といった曲や、ナレーションなどがありますが、全ての鳴る音、鳴らない音も含めトータルでコントロールしてコンセプトをデザインするのが僕たちの仕事です。
いいものをユーザーに届けるために、「ユーザーサプライズファースト」を大事にして作っていますので、社内の皆さんは気軽に相談したり声をかけたりして欲しいなと思います。
最後に
イベントのキックオフの際に、サウンド職の皆さんから「どういうことが聞きたいですか?」と質問をもらったのですが、
私は「サウンド職のメンバーは”音”を作っている」ということしか知らず
「何を聞いたらいいか分からない」と感じたところから準備が始まりました。
何のツールを使ってどう作っているかということよりも
どんなメンバーがどんな思いを持って、日々の制作に取り組んでいるのかという社内イベントならではの質問や、
冒頭にあったように「もっとサウンド職を身近に思ってほしい」という想いから、人柄も伝わるような内容になればと準備をし、
当日は1時間の枠を目一杯使ってお送りしました。
今回触れたモンスト、コトダマン、リンカイ!を始め
MIXIのサービスやコンテンツの随所にサウンド職こだわりの音楽があります。
お家などでサウンドをONにしてお楽しみいただけたら嬉しいです。