2-6.社会人スキルを身につけるとは
引き続き「全体訓示」のメールの話から、社会人スキルを身につけることについて。
「全体訓示」をしても、学生はするっとそこを抜けてくることが結構な割合である。
私自身でいうと、メールや文章がくると、相手が何を必要としているのかを考えるし、必要な要件があると、必ず確認する質である。
なので、指示を無視する学生に出会った時には、正直なところ、めんくらった。
世代なのか性格故かはわからない。
だが、これが一定数居ると知り、訳はわからないが、どうにかしなくてはと思った。
以下は、課題1の時のT先生からの全体メールだ。
》日付 2008/02/04 10:16
》件名 シート記入(期限:水曜日)
》Tです。下記のサイトにアクセスしてファイルをDLした上で記入し、
》私とmiwwさんあてに送ってください
》(その際、1つのメールへの添付で送ってください。別々に送らずに)。
》バイト等で忙しいでしょうが、これくらい朝飯前で片づけてください。
》要は段取りと集中力です。
》http://・・・・・・・・
このメールの後に、私は先生にこう言った。
「先生のあのメール、”1つのメールへの添付で送ってください。別々に送らずに”という意味、わかってない人が多いと思いますよ。」
その前の一連のメールは、わざわざ先生宛、私宛と別々に来ているケースがいくつかあった。
こうなると、実際どちらにどう課題が上がってきているのかがわかりにくく、そのためのチェックの時間が結構かかっていた。
早速T先生から、学生宛てのメールが配信される。
》日付 2008/02/04 15:16
》件名 Re: シート記入(期限:水曜日)
》Tです。メールに関する一般的なルールですが、
》同じ内容のものを複数の関係者に送るときはCCなどを使って
》1つのメールで送ります。
》そうでしょう?同じ仕事の関係者だとして、Aさんに送るメールと
》Bさんに送るメールの内容は同じはずだからです。
》今回の私とmiwwさんに1つのメールで送ってくださいというのも
》同じです。私に送って(送ってなくて)miwwさんに送ってない
》(送っている)ということがあると、
》その調整だけで時間の無駄だからです。
》メールに名前を書く、題名を書くのも相手に無駄な時間をとらせない
》最低のルールです。期限を守る、速やかなレスポンスも然りです。
なんという丁寧な説明だろうか。
しかし、これが必要なのだ。
ここまで説明しないとわからない、と嘆くのは簡単だが、
「教えられていないからわからない」というのは当たり前なのだ。
社会人になった後にメールが出てきた私たちの世代は、新しいビジネスツールの仕組みやルールは仕事のうちだと思い、自力で学んできたが、
学生は違うのだ。そして私たち社会人や知っているものは、「知らないならば、教えないといけない」のだ。
さて、社会人スキルの際たるものとして「期限を守る」というのがある。
これがまた、学生は苦手だ。
一般的には、ここまで連絡しているのに、状況も知らせないというのは、普通社会ではありえない。
だがだが、これも学生時間。学生がこの「時間を守る必要がある」ということを、本人が本当に腑に落とさないと、身につかない。
何度かせっついて、できるだけ待つ。
その間、個人的にはあまり突っつかない。
必要なら、やんわり促す。
という作戦。
その甲斐あって、6日の夜中中に1人を除いてはどうにか課題が提出された。
提出できなかった一人はその前にレスポンスはあり、間に合わないとの連絡もあっていたため、まだ許容範囲とした。
学生さんにも学生さんなりの理由はあると思う。
プログラムの参加も、義務でも強制でもない。自由だ。
でも、ここで重要なのは、「自分が参加すると手を挙げた」ということなのだ。
大学生であっても、自分が起こした態度に対しての責任は、しっかり感じて欲しいと思っている。
自由参加だから、自分の好きなように動いていいというのではない。
何かに参加をするということは、プロジェクトでいうなら、プロジェクトの意図を理解し、なぜそれがそのスケジュールで動いているのか、なぜそのルールで動く必要があるのか、なんていうことも含めて考えて参加するという必要がある。それが主体的に参加するということだ。
そんなところまで考えられないよ、と学生は言うかもしれない。
大学生にそれを求めるのは厳しいことだろうとは思う。
でも、社会に出る前に、そのことを体感的に学んでほしいのだ。
口で何度言われるよりも、自分が実感したことのほうが理解できるものだから。
社会に出ていきなりバシンとやられるよりも、学生のうちに自分たちが関わるプロジェクトの中で経験できたほうが、社会へのステップになるのではないかと、私は思っている。
私がこと期限に対して厳しいのは、
私は、約束を破るのが嫌いだからという個人的な理由ではない。(それもないことはないが)
レスポンスがない学生は、
今回の小学生プログラムに、遅刻せずすっぽかさないという保障がないからだ。
小学生に教えるにはもしかしたらきついかな、でも頑張りたいという意欲のある学生と、
能力はある、でも当てに出来ない学生。
どっちを優先するか?
答えは明白だ。
癖は、そうそう治らない。
遅刻する学生は、何度も遅刻するし、
メールの期限に遅れる学生は、何度も同じことをする。
だが、意識をし行動を変えるチャレンジをする子は、変えられる。
そういう、自分を変えるチャレンジをする場としても、このプロジェクトは格好の場になった。