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コトリの詩集

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高校では文芸部。その頃に戻って心のままに自由詩を書いています。
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記事一覧

金木犀

‪うちの金木犀は遅咲き‬
‪あちらにも‬
‪こちらにも‬
‪評判の美しい娘が‬
‪良い匂いを響かせる‬
‪咲き誇る、秋の花‬

‪うちの金木犀は遅咲き‬
‪あちらでは‬
‪こちらでは‬
‪うちの娘はアヒルの子‬
‪世間からは振り向かれず‬
‪かたい蕾を、尖らせる‬

‪うちの金木犀は遅咲き‬
‪あちらから‬
‪こちらから‬
‪寒くて白い風が吹く頃‬
‪黄金色に精一杯の‬
‪待ち焦がれた、花盛り‬

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待つこと

待つこと

‪待っていた‬

‪鉄の匂いがするような‬
‪赤い体験‬
‪身体が熱くなって‬
‪生きていると感じること‬

‪待っていた‬

‪すると電車が近づいて‬
‪鉄の轟音と‬
‪ほこりっぽい風が‬
‪身体を吹き抜けていった

夜道

夜道

ヨーヨーマを聴きながら
雨上がりの夜道を歩く
夜の闇の中
白い花が光を放つ。

世界が洗われて
水滴と
水たまりに映る
もう一つの世界が美しい

スターオブベツレヘム

スターオブベツレヘム

わたしはスターオブベツレヘム
深くて暗い井戸の底
傷つく子どもを眠らせて
何も無かった事にした

でも忘れてはいけないと
それでは心が苦しいから
ありのままを受けとめて
せめて誠実に生きなさい。

細い茎の先につく
緑の大きな膨らみは
雪の花弁を用意して
光の中で花となる