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父からの贈り物。

歯科治療。
この4文字を入力してENTERキーを押しただけでもう、歯医者さんでの治療音
きーーーん が、聞こえてくるような気がして、思わずブルルッと鳥肌が立ちます。
私の歯医者さん嫌いは小学生の頃から始まり、2024年の春が来るまでの長い間続きました。

治療に行く手前の、
歯をきちんと磨いて、虫歯にならないようにする習慣」が身についていないから…
虫歯になって、
痛くなって、
いやいや歯医者さんへ
そして
きーーーん、きーーーん
と治療音が。
もう歯科治療なんて大嫌い! 

こんな風になってしまったのです。
あぁ、情けない。

キッカケは父の癌から。

今から4年前の夏。
認知症の父が末期の舌癌を宣告されました。
認知症を患っている父は、
総入れ歯でした。
歯磨きこそ必要は無いけれど、
口の中を清潔にすることは、
自発的には難しいから、
口内を清潔にするためのスポンジブラシを買って、口の中のお掃除を手伝う習慣がつきました。
その影響で、口の中を綺麗にする事はとても大切であることを知りました。
父のケアをするうちに、私も自宅に帰ると、歯磨きに時間をかけるようになりました。
その当時の私は、かなり前に治療した奥歯に痛みを感じておりましたが、
歯医者さん嫌いを理由に、長いこと歯医者さんから遠ざかっておりました。 


手術はしない方針で、
父の緩和ケアは続きました。

父に優しかった歯医者さん。

父が天国に旅立ち、
あのコロナも一段落して。
私は勇気を出して今年の春に歯科治療を受ける事を決めました。

癌だった父は、訪問診療で1度だけ歯科治療を受けたことがありました。
その時の歯科医師や歯科衛生士さんの印象がとても親切で優しかったことから、その歯科を予約する事にしました。

3Dで撮った私の歯の様子が、
座っている目の前の大画面に映し出されました。素人の私が見ても分かる、良くない歯並び。

親不知(おやしらず)2本が虫歯になっていて、となりの歯が悪い影響を受けそうだと説明を受けました。
歯科治療の初めは、その親不知を抜くことから始まりました。1回の治療で1本抜いて経過を見て、2本目を抜くスケジュール。
 
今から麻酔をします。 ちょっとチクっとします」と事前に何をするのかを説明していただける安心感。
そして麻酔が本当にチクっとする程度でした。2本目の麻酔の頃には、歯茎の麻酔が効いてきて鈍い感覚に変わって行きました。
これから親不知を抜きますね。」
強く押されている感覚になると思いますが、大丈夫ですよ
歯を抜かれるのだから引っ張られる感覚と思いきや、本当だ。
押されている感じがします。
 
常に治療について予告してくださるので、恐怖心は芽生えないのです。
なんだか安心。ぜんぜん怖くない

今から私は何をされるんだろう?
なんて思い描く時は、歯科治療に限らず不安がいっぱいになりますよね。
その心配が無いのが、この歯医者さんでした。
治療説明の丁寧さから、私は安心して身を委ねられるようになり、
苦手意識は少しずつ消えていきました。

歯磨きレッスン。

歯科治療を終えると、
歯科衛生士さんが登場。
歯磨きレッスンも経験しました。
いつも磨いているように、歯磨きを見せていただけますか?」と歯ブラシと手鏡を渡されました。
鉛筆を強く握って文字を書く私は、
歯磨きも力を入れすぎている事を知りました。
そして歯ブラシは硬さはいつも、「やわらかめ」を選んでいたのですが、「ふつう」を選ぶことをオススメされました。
力強く磨くことで歯ブラシの毛が寝てしまい、歯をきちんと磨けなくなってしまうそうです。なるほど。

歯医者さんを出ると、私は真っ先にドラッグストアに立ち寄り、歯ブラシ選びに夢中になりました。

歯科衛生士さんに教えていただいたように歯磨きをすると、歯と歯茎の間もキレイになったり、歯間ブラシの使い方を教えていただくと、歯と歯の間の汚れも取れてスッキリしました。
歯みがき粉もすすめていただいたフッ素入りのものを選ぶようになりました。これまで歯みがき粉にこだわりは一切無く、その時々で安いものを選んでいた私は、明らかに変わっていきました。

ついに虫歯がゼロに。

虫歯を1つ1つ治療していただき…
秋にはついに虫歯がなくなりました!

歯医者さんの定期的な通院


治療が終わると2ヶ月後を予約して、歯をチェックしていただく。それを繰り返す習慣が生まれました。
今度チェックしていただく際には、歯科衛生士さんに歯磨きを褒められたいナと思うようになりました。

○ジュウネン生きてきて、
歯科治療を継続して、歯の磨き方にもこだわるようになったのは、今回が初めてです。私の口の中は今、 毎食後の歯磨きで清潔に保たれています。

おわりに

父はとても厳しくて怖い人でした。
だから父と娘の距離感は永遠に縮まることはないだろうと考えていました。
そんな父から、(間接的ではありますが)最後に教わったのは口の中を清潔に保つことでした。
父の世話をしていくうちに、
口内へのこだわりが生まれて、
歯科治療をきちんと受けることようになりました。
こんなに大人になってようやく、
歯を1本でも多く残していけるようにと、考えられるようになりました。

パパ、ありがとうね。




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