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EPSON R-D1
世界初、デジタルレンジファインダーカメラ。
それを作ったのはセイコーエプソンでした。
!?!?!?!?!?!?!?!
2004年発売、ライカに先んじて、発売されたR-D1。
20年前て。え、すご。
マウントはLeica M、等倍ファインダーでの距離計連動機構搭載。
ライカからしたら、たまったもんじゃなかったでしょうね。
現在、幸運なことにR-D1を貸していただいているので、書こう書こうと思っていました、久々のカメラ記事でございます。
610万画素CCD
さて、そんな20年前の素敵カメラ、センサーは610万画素CCD。CCDだから発色がすごく濃厚で〜っていう言説は数ヶ月前にTwitter(現X)で流行り、少々CCDセンサーのカメラが見直されたというか、そんな感じがありましたね。個人的にはそこまでCCDがどう、というのはわからないのですが、やはり20年前その時の色作りのセンスとか、画像処理があるのだろうなと思います。JPGは今のカメラと結構違う雰囲気。RAWで撮っても、同じ現象設定を当てたとして、これまた普段とはちょっと違った感じになるのが興味深いですね。
全く同じスタイル(プリセット)を当てたもの⇩
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さてR-D1、610万画素CCDというのは、まあ20年前だから良くわかる。しかし注目すべきはそんなカタログスペックじゃない、ということはわざわざこの記事に辿り着いてしまっている人たちなら、すでによくわかっているはずです。
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フィルムそのままの撮影体験
・見えのいい等倍ファインダー
・巻き上げレバーによるシャッターチャージ
・反転させ、隠すことができる液晶
・フィルム感そのままの露出操作。
・巻き戻しノブを思わせる操作ダイヤル
あたりが、効きまくっています。しゅごく、いい...
エー、まずですね、今これある機構っていう点で見ると、あの液晶レスのM10-DやHidden LCDのX-Pro3が惜しい、って感じで、と思うとその二機種の異質さが際立ちますね。それはさておき。
ファインダー
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等倍ファインダー、これはまぁ、向き不向きがあると思います。フレーム目一杯で約35mmの画角になるのが等倍ファインダーですが、まあおかげで約50mmの時に三重が大きくて嬉しい。個人的には0.72よりかは等倍派です。うれC。初めてめちゃくちゃ欲しくなって、何とかして手に入れたレンジファインダー機はCanon-Pでしたからね。思い出深し。
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等倍ファインダーの場合、本当に普段の視点そのままにブライトフレームが浮かんでいる、くらいの感じなので、マジに自然に両目で見ることができます。これ最高に気持ちがいい。特に何も意識することなくフレーミング、測距ができるわけですから、心なしかプレーンな状態に近い視点で写真撮れるんじゃね、とか思っちゃいます。どうだか。
巻き上げレバー
巻き上げレバーによるシャッターチャージは、ユニークすぎる。M10-Dですらサムレストとしてしまっていますからね。
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フランケンカメラとかに手を伸ばしてしまっている人を除いては、本当にR-D1シリーズでしか味わうことのできない体験ですね。やほんとすごいよ。
一枚撮るごとにチャージする、その体験が使うほどにフィルム感を掻き立ててくれるというか、静かにテンションを上げていってくれます。音で言っても、普通のデジタルカメラは次の撮影のために機械が頑張って幕を上げるので、その時の音がどうしてもしてしまう。2回音がする、みたいな。ところがどっこい、このR-D1は幕を一度落としたらそのまま。なので本当にフィルム機とおんなじような音の感じになるわけなのです。スゲー。
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巻き上げのフィーリングはお世辞にもいいとは言い難いですが、まぁついているのが最高。ホント、最高です。
液晶
液晶が隠せる。これが元祖Hidden LCD...!
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21万ドット?の2型低温ポリシリコン液晶が搭載されていて、ハイ。レトロですごくいいですw
21万ドットというと、例えばLeica M10なんかは103万ドット、M11だと230万ドット。いやすごいな。
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というわけなので、まあ元々仕様としてライブビューもできないですし、液晶で見直してもピントあってるかなんて全然確認できない。(だからまぁ、使わなくても全く問題ないので自然と隠しちゃいますw)
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レトロな発色は最高ですね。小さい液晶サイズ、透過光、みたいなところで、ポジフィルムをのぞいている様な感覚を覚えます。左肩の巻き戻しダイヤルみたいなのをクルクル回して画像を送るのもまたいい。フィルムを巻き戻しながら写真を見ているみたいで、初めてこれを触った時はここに心底感動しました。これがUX、体験を設計する、ってことか...!!!
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液晶が載っているプレートに、わかりやすくボタンなんかもあるわけなので、液晶フリップさせるとボタンたちも消えることになります。そうなると、ホント残るはフィルム時代からある露出ダイヤルとかのみになるというわけ...!いやー開発の人のこだわりが透けて見える...気がする。
操作
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操作性に関しても、Mマウントなのでピント、絞りはもちろんマニュアル、そして大型で操作のしやすいシャッタースピードダイヤルと、そのダイヤルに同軸で組み込まれたISOダイヤル…
X-Pro2がドヤ顔で載せたこれを、20年前からEPSONはやっちゃってた…っていうのが最高。まあボディのベースとなったであろうBessa-Rもこのスタイルだったので、行けたら載せよう、っていうのは企画段階であったのかもしれないですね。ISOはマニュアルですが、SSはオートにすることも可能。AEは別に普通に使える印象で、M10と同じ方式だとは思うのですが、妙にハイライトに引っ張られることなく、プレーンな画になりますね。
いやしかしこの辺りもFujifilmのX100シリーズ、X-Proシリーズが現行(…?)でやってくれている、というのはなんか、エモを感じるというか。いいっすね。今後もシリーズが続いてくれたらなぁと思います。
指針式表示
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あとは趣味性丸出しな、セイコーのクロノグラフムーブメントを使った指針式の情報表示、これまた痺れる。
電源をつけるたびに、まるで車のエンジンを入れたかのような感じで針が設定位置に動いていくわけですよ。これ見るたびにテンション爆上がりしちゃいますね。ホント。
どうしても指針式にこだわりたかったためか、WBの表示は天気記号とか、地図記号とか使ってます。執念だわ...
ちなみにどうしてもずれちゃったりはするみたいで、EPSONもそれをわかっていたのか、針表示微調整とかいう設定項目がありますw
慎重に調整してください、ってなんや…とか思いながらチマチマ調整するのも結構楽しかったり。
これら全ての体験の相乗効果が、他のデジタルカメラでは絶対に成し得ない部類の楽しさを引き出してくれるわけです。
とにかく撮るのが楽しい!!!
写真を撮る、が結構好きなので、ド刺さりしてます。ドドドド。
そして、写真
写真はなんでしょう。とりあえず大きく印刷しない限り、610万画素って全く問題なし。
なんか、発色は現行のカメラとどこか違って面白いです。
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なんかまあ、いい感じです。発色云々はセンサー、キレとかはレンズ由来でしょうか。JPGのくせも結構強いらしく、今後はその辺も触れていきたいな〜とか思っています。
POVスナップ動画とかも載せてみてるんで、よければぜひ。
使う雰囲気、巻き上げの音とかは感じられると思います。
とりあえず撮るのが楽しい。
いつ壊れるかわかんない&もう公式は直せない、距離計はズレまくる、というところでリスクしかないカメラですが、とにかく楽しい。触って楽しい、撮って楽しい。
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限りなくフィルムに近い撮影体験と、20年前のセンサーとかいうロマン。
日本製、世界初のデジタルレンジファインダー。
おすすめです!というのはもはや無責任な気がしてくるのですが、ホント最高に楽しいカメラです。
残念ながら、なんだか日本のカメラの没個性化が甚だしい昨今ですが、K-3 mk.III monochromeとか、X-Pro3とか、おもしろカメラが今後もポツポツと出てくれたらいいなーと思うばかりです。
それではまた。
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