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歩く人①

連休中はひたすら歩いていた。目的も意味もなく。
12万5630歩。5日間での歩数。およそ50km。
いずれ時期が来たら、このことはちゃんと書きたいと思う。

歩くことでしか見えてこないものがある。
ゆっくりと流れる一つ一つの景色を、道のりの手ごたえを、踏みしめた地面の硬さを、そして歩くことが僕たちに与える足の痛みを。

歩く速度は、そこにある当たり前の日常を見つけるのにちょうど良い速度でもある。
そして、今の僕たちの速度が、どれだけのことを見落としてきてしまったかということも、考える。それは歩く速度に比べると、あまりに速いから。

小さな日常を大切に出来る人はとても素敵だと思う。
歩くことは、ふとしたことで浮き上がりそうになっていた自分を、ゆっくりと地面に下ろすために必要なことだったのかもしれない。

背中に翼があって、滑るように空が飛べたらとても気持ちよいだろうけれども、きっと自分は、足の痛みを感じながら、どこまでもゆっくりと歩くほうが好きだ。

歩く人でありたい。
前を見たり、後ろを振り返ったり、空を見たり、地面を見たり、立ち止まったり、道端の樹に寄りかかって休んだり、寄り道したり、道草を食ってみたり。

目的もなく、ただ歩くことだけをする、歩く人でありたい。
そんな自分の声を聞いたような気がした。

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miuraZen
歩く人

描いたり書いたり弾いたり作ったり歌ったり読んだり呑んだりまったりして生きています。
趣味でサラリーマンやってます。

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