梨をせっせと食べていたのに、咳が悪化した原因について中医学的に振り返ってみる
秋になると咳が出るなと薬膳を知る前からなんとなく感じていたのですが、薬膳を学んでからは、それが秋の乾燥によって肺がダメージを受けていることが原因だという事が分かりました。
ということで、今年は薬膳の知識を生かして咳対策するぞー‼とはりきって挑んだのですが、結局咳が長引いてしまいました。泣。
主に梨など肺を潤す食材をたくさん取っていたのに、なぜ咳が回復しなかったのか中医学的に振り返って来年の秋に向けての養生方法に生かしたいと思います。
潤す食材を食べていても、咳は止まらない?
薬膳で季節の養生を学んでいたので、肺が乾燥して咳が出ないように梨、白きくらげ、れんこんなど肺を潤してくれる食材を結構食べていました。
特に食べていたのが「梨」。秋の薬膳にはかならず登場する潤い食材。
皮を剥けば食べられる手軽さと、母親が梨農園から恐ろしくジューシーな梨をたくさん買ってくるものだから、空咳が出るようになる前から肺の乾燥対策として梨をたくさん食べていました。
大事なのはその人の体質に合っているかどうか
梨を食べていたのに、空咳が出始めてしまい、なかなか良くならない。
一瞬、薬膳意味ないじゃん…と毒づきそうになったけど、いやいやそんなはずはない。
ここで、おおきな落とし穴があったことにその時は気づきませんでした。
薬膳の大事な大事なポイントです。
そう、薬膳はその人の体質に合わせて作るオーダーメイドの食事だという事。
確かに乾燥する季節に「梨」はぴったりの食材かもしれませんが、なんせ私の体質は胃腸が冷え気味の「陽虚タイプ」。
生野菜も暑い夏場以外は食べないように注意していたのに、空咳を止めたい!肺を潤してあげたい!に盲目となり、梨は胃腸を冷やすと分かっていたのに梨を食べ過ぎてしまった。
いつも見ている食物性味表にもちゃんと「※注意:脾胃虚寒の者」と明記してあるのに。
胃で消化されなければ意味がない
梨や潤肺の食材を食べても効果が現れにくかったのは、梨の食べ過ぎで、もともと冷え気味だった胃腸がさらに冷えて弱り、食物をうまく消化出来なくなっていたのではないか?
見ると舌の中央の部分に白い苔がけっこうついていました。
明らかに胃腸が冷えて余分な湿気が溜まっている状態を示しています。
しかも、五行の図で見ると脾と肺は母と子の関係で、つまり肺が弱ければ脾を補うという原則があります。
私のようにもともと胃腸が弱い人は肺も弱りやすいという事です。
ふと、中医栄養学の時に習った李東垣が著した『脾胃論』を思い出しました。
李東垣は脾胃を補うことが健康の源、元気であるためにはまず脾胃を元気にするだと主張したのですが、、つまり胃腸が一番大事だよってことを言ったの人です。その訳が身に染みて理解出来ました。
肺を潤すことに集中しすぎて、秋の薬膳を鵜呑みにして冷たい梨を食べすぎたなと。
食べる量を少なめにするとか、温めて食べるとか、温性の食品と合わせて食べるとか体質にあった取り方をいくらでも工夫出来たのに。
脾胃が弱っていたせいか、潤す食事を食べても咳止めの漢方薬を飲んでも効きが悪かったです。
そうこうしているうちに咳が長引いて、気も消耗していって咳も悪化し最終的に咳き込むと胸が痛くなるようになってしまったので、病院に行くことに。
咳は悪化すると医者でも治すのが難しいと言われているので、ダメだなと思ったら悪化する前に病院に行こう。
そういえば、薬膳の先生も授業中に咳が止まらなくて麦門冬湯トローチ舐めていたことを思い出しました。
肺に対して食養生以外のことをしていない
咳を予防するためには薬膳はあくまで対策の中の一つ。
食以外にもいろいろと出来ることはあるのに、やっていませんでした。泣。
娘っ子が咳をしていたのに予防のマスクもせずに娘っ子の食べ残しも気にせず食べていたので感染対策が全くされていなかった。なんか、乾燥が原因の咳だったら移らないから大丈夫と決めつけていました。
咳の原因の邪気だって色んなものがあるから、感染対策も大事です。
肺を強くする習慣、例えば運動や深呼吸も全くしていなかった。
肺を強くするツボとか乾布摩擦とか食養生以外にも色々あります。
まとめ、来年に向けての養生
来年の秋にまた咳に苦しまないように、今から少しずつ養生していこうと思います。
・朝起きたら外の空気を吸いながら深呼吸する。暇になったら深呼吸する。
・肺を潤す食材は冷やす性質のものは量を少な目にしたり、温めた状態で食べる。なるべく平性の食材で肺を潤す。
・咳が1~2週間くらい続いたら早めに病院に行く。
・肺だけでなく、常に胃腸を整えておく。
本当は運動するのもとてもいいと思うのですが、なかなか運動する習慣がないので、せめて土日は子どもたちと公園を走り回りたいと思います。
薬膳って毎日の養生をこつこつと続けていくことが大事なんだなと、一年やってきて少しずつ分かってきたので、これからも自分の体調に合わせた養生を積み重ねていきます。
おまけ、秋の乾燥にお勧めの食材
秋の乾燥対策としてお勧めの食材です。
白きくらげ
白きくらげは潤す力がものすごく強い食材。食材だけど、中薬としても使われているものは、やっぱり力が強いと思います。
薬膳の先生が空咳が出ていたけど、白きくらげをたくさん食べたら咳が止まったと話していました。
身体を冷やさない平性なので使いやすいです。
次男坊が空咳出ていた時に夕食に白きくらげのデザートを食べさせたら、翌朝、顔がむくんでいました。笑
それくらい潤す力が強いです。
なので、痰が絡み始めたら白きくらげは逆に痰を増やしてしまうことがあるので、控えめにしましょう。
因みに白きくらげは乾燥した状態でも真っ白なものがありますが、あれは漂白されているので避けた方が無難です。うっすら黄色でも、水で戻すとちゃんと白くなるので無漂白のものをお勧めします。
クコの実
クコの実も平性で肺を潤してくれます。子どもたちはドライフルーツ感覚で美味しくつまんでくれるので、ちょっと空咳が出た時にすぐにあげることが出来て便利でした。
クコの実の品質もピンキリで、色々試しましたが⇓これ美味しかったです。
パッケージのデザインが可愛いのも◎
麦門冬湯トローチ
これは食品ではないけれど、薬膳の授業の時に薬膳の先生が咳き込みながらこのトローチを舐めていて、「この麦門冬湯トローチお勧めだよ。」と教えてくれたもの。
アマゾンの注文履歴をみたら5箱も買っていました。笑。
私の感覚だと、麦門冬湯は空咳が出始めたらすぐに内服するのが効果ありそうです。なので、空咳が出そうだなと思ったらすぐに使えるようにストックしてあります。
薬局には漢方薬の麦門冬湯は売っているのですが、
漢方薬は基本的に粉薬をお湯に溶かして飲まないといけないので、子どもに飲ませるのはなかなか難しいけど、トローチだと舐めてくれるのでお勧めです。
しかも、麦門冬湯は喉を潤してくれるので、漢方薬で飲むよりもトローチ状の方がゆっくりと喉に残ってくれます。