看護師から薬膳スパイス家庭料理研究家になった訳。
三浦真理です。薬膳スパイス家庭料理研究家をしています。
朝は自分の舌を見て体調を判断し、体調に合わせたご飯を作り、庭で生薬を採取したり、育てたりする薬膳とスパイスに囲まれた生活を送っています。
1.「看護師」から「スパイス」の世界へ
1.1看護師になった訳
我が家の両親は小学校の先生でした。
小さい頃から、なんとなく自分も学校の先生になるのかな?とぼんやりと考えていたような記憶があります。
親は特に厳しいわけではなく、休みには色んな所に旅行に連れて行ってもらったり、やりたいことがあるとなんでもやらせてくれました。
そこそこ勉強して高校は進学校に入り、大学を選ぶときになりましたが特に何かになりたい!という好きなものがありませんでした。
親は公務員だったので、安定した職業について欲しかったようです。
ちょうど、県立の大学が設立されたばかりだったのでそこの看護学部を勧められました。
と、大学時代に海外一人旅に目覚めていた私は内心(看護師なら資格ありきの仕事だし海外旅行に行きやすそう)という何とも軽い気持ちで看護学部に入り東京で看護師として就職したのです。
1.2看護師として働くことへの疑問
東京の私立の大学病院で看護師として働き始めて、今まで挫折や辛いことなど自分の人生にはなかったんだと思い知らされました。
慣れない看護業務、寝れない夜勤、帰れない仕事の日々、よく夜中の12時くらいに同期の子とファミレスで夕食を食べて締めにパフェまで食べていたことを思い出します。
健康的な生活とは程遠い、ストレスと睡眠不足で自分の寿命を削って仕事をしていた時期です。
特に忙しい科でしたが、2年ちょっとで退職しカナダのワーホリへと出かけてしまいました。
と、同時にプライベートで付き合う友人たちがいわゆる好きなことを仕事にしている人が多く、羨ましく思うように。
自分はお金のためだけに看護師をしているのではないかと自分の人生に嘘をついているかのような何とも言えない感情を抱くようになりました。
カナダのワーホリ時代に何か看護師に変わるものが見つかればいいなぁと考えていましたが、現実はそんなに甘くなく、戻ってきてからもまた看護師として大学病院に再就職しました。
幸運にも二度目の病院は公立の病院でそこまで忙しくなく、夜勤も眠れる日があり、しかも1年に一回2週間まとめて休暇を取れるというラッキーな病院でした。
6年ほど働いてまた退職しました。
もともと外に出かけるのが好きな性格なので、その間にも色んな人と出会い、自分の好きなことを仕事にしたいという憧れはさらに強くなっていました。
1.3看護師を辞めてスパイス専門店へ
看護師を辞めた後は、とことん気になっているものを試してみようと、ヨガ、断食道場、ヴィパサナ、山伏修行、坐禅に通ったり、アメリカでのパッチアダムスの研修、オーガニック農家でのインターン、紅型染めのアシスタント、外国人向けのゲストハウスでの住み込みバイト、与那国島のカフェに住み込んだり、中東料理のアシスタントなどなど気の向くままに色々とやってみました。
もともと、色んなことに興味は持つけどそこまで好きにならない、のめり込まないという浅く広くの性格。小学校から将棋、釣り、野球、小説が大好きで大人になった今も趣味が全く変わっていない弟のことが羨ましかった。
色々やってみたけど看護師の次に何をしようと悩んでいると当時付き合っていた夫が「スパイスは!?」と提案してくれました。
そして私の人生を大きく変えてくれた西荻窪にあるスパイス専門店エヌ・ハーベストで働き始めたのです。
西荻窪にあるなんとも個性的なスパイス屋で、スパイスのイロハから料理、突き抜けた人々との出会い、お店のDIYなど普通のスパイス屋では経験出来ないような貴重な体験をたくさんさせてもらった場所です。
2.なぜスパイス!?
夫がスパイスを提案してくれたのには私の人生に訳がありました。
2.1婦人科系の病気と漢方
人からよく「真理ちゃんって健康そうだよね」と言われるのですが、18歳の頃から31歳までの13年間「脳下垂体不全症」「卵巣機能不全」と診断され、無月経状態が続いていたことがあります。
18歳の時にもともと不順だった月経が来なくなり、婦人科に行ったら診断されました。ただ、根本的な原因ははっきりとせずに毎月ピルを飲んで生理を無理やり起こさせて、それがきっかけとなって生理が自然に来るのを待つという治療方法でした。
しかし、長年この治療法を続けていましたが、一向に生理が自然にくることはありません。
就職で東京に引っ越してからはネットで有名な婦人科を探しては、夜勤明けの貴重な休みを使って治療に出かけていました。
ネットの口コミはいいのに実際の医師はこちらの顔も見ずにデータの説明をして終わりとか、治療効果が全く現れず落ち込んている時に追い打ちをかけるような態度の医師だったりといい思い出がありません。忙しいかもしれないけど、その態度はないでしょ…。
30歳近くになっても治療効果は全くなく、これではだめだと色んな治療を取り入れるようになりました。針を刺してそこに電流を流すものはめちゃんこ痛かった…。針治療にツボ押し、冷え性を治す生活、色んなものを試しましたが一番効果があったと思われたのが漢方薬でした。
今まで生理すらなかったのに、漢方薬を飲み始めてから自然に生理がきて、2,3回生理が来た後に排卵までしっかりと起こるようになりました。
横浜の中華街の外れにある漢方薬局でしたが、中国人の先生がとてもいい人柄で「大丈夫、治るよ、あと夜勤はやめようね。」とちゃんとアドバイスをしてくださって心強かったのを覚えています。
その時飲んでいた漢方の中身を見ると、生姜などスパイスが多く取り入れられていました。
今まで治らなかった病気があれよあれよと改善した驚き、スパイスの効能ってすごいんだなと強く興味を持ちました。
2.2インド、アラブ諸国への一人旅
もともとマクドナルドへ一人で入るのも緊張するような性格だったのですが、大学の時に一人旅に目覚めてからは一人で往復の飛行機チケットを片手に海外へ出かけるようになりました。
好きな地域はインドとアラブ諸国。
インドはトータル8か月ほど滞在してもまた行きたいと思う程好きな国。
アラブ諸国はイスラム教のアザーンが聞こえてくると何とも言えない異国情緒に包まれて、水タバコやモスク、アラビア文字などすべての雰囲気が好きな国。
梅雨の時期になると長期休暇をもらって中東に飛ぶというのがいつしか定番の過ごし方になっていました。
旅行している時は食事が美味しいと思って食べていただけだったけど、思い返せばインドもアラブ諸国も食事には必ずと言っていいほどスパイスが使われていたのです。
2.3私の人生をまとめてくれるのがスパイス!?
新しく何かに挑戦したいけど、今まで私がやってきたことを生かせたらなお良い、とも考えていました。
今までやってきたことを無駄なことにするのではなく、全て生かしたい。
そう考えた時にスパイスはまさにピッタリだったのです。
看護師として西洋医学の基礎知識を持ち健康に関わっていたこと、旅で現地のスパイス料理を実際に食べていること、農業にも興味がありスパイスを育ててみたいこと、振り返ってみると私の人生に常にスパイスがあったことに気が付きました。(気が付いたのは夫です。夫は自分よりも私の事を理解しています。)
3.田舎への移住とスパイス家庭料理
1年ほどスパイス専門店でものすごく充実した毎日を送っていましたが、妊娠出産のため退職。
その後、働き方や子育ての環境について考えるようになり、家族で私の実家に移住することになりました。
3.1スパイス家庭料理とは
有り難いことに家族が畑で野菜を育てているので、旬の時期には山ほど野菜が取れることがあります。
そんな時、マンネリ化を脱するためにインドやアラブで食べた料理をもとにスパイスを効かせた野菜の副菜を作るのです。
スパイス家庭料理とはインドカレー屋やネパール料理屋さんでよく食べるカレーやナンなどではなくもっと手軽に家庭でも作れるお料理のことです。
自分自身、野菜が好きで畑で採れた旬の野菜とスパイスを組み合わせた料理を作るのが得意です。
都会に住んでいた時よりもたくさんスパイス料理をするようになりました。
3.2移住定住コンシェルジュとしての活動
私の実家は宮城県栗原市という場所にありますが、過疎化が進んでいる田舎です。
移住直後から「変な経歴の夫婦が移住してきたぞ」(私:スパイス家庭料理研究家、夫:絵描き)ということで、ラジオ出演や地域の広報の取材、テレビ出演などのお話をよくいただきましたが、現在では数名いる栗原市移住定住コンシェルジュの一人とし活動をしています。
主な業務は地域の魅力の発信と移住希望者へのフォローなどです。
4.薬膳との出会い
スパイスと出会ってこれ以上面白いものはない!!と思っていたのに、あったんです。笑。
それが、薬膳です。正確に言うと、薬膳の考えのベースとなっている「中医学」という中国の医学に夢中になりました。
きっかけはスパイス料理ワークショップに参加してくださったお客様からの質問。
「これは何に効くスパイスですか?」「風邪に効くスパイスはありますか?」などなどスパイスの効能に興味を持って下さる方が多く、それなら薬膳を学んでみようかなと思い始めました。
どうせなら、スパイス料理を教えるだけでなくより健康的になれるような知識も織り交ぜて伝えていきたい、と思うようになりました。
美味しくてさらに食べて健康になれたら最高じゃないですか。
ちょうど間借りしていたカフェが改装中でワークショップをお休みしていたので、薬膳の勉強を本格的にスタートしました。
通信や自己学習では物足りなくて、北京中医大学の日本分校に入学し、中医学を本格的に勉強するようになるとますますその面白さに引き込まれました。
薬膳には私の好きが全部詰まっているんです。一生かけても学びきれない奥深さ。
5.最近の活動
スパイス薬膳料理
中医学の学校で勉強しながら、学びを生かしてスパイスを使った薬膳料理を作っています。
生薬の栽培にチャレンジ
金銀花、ドクダミ、枇杷の葉など庭には生薬となる植物がたくさんあります。
それに加えて食材としても使える生薬栽培にチャレンジしています。
今育てているのは、クコの実、ジャスミン、ケツメイシ、麻黄などです。
6.これからやっていきたいこと
地元には薬膳や中医学などの考えに触れる場所がまだ少ないと思います。
西洋医学も薬膳のような東洋医学もどちらも知識をして持っていれば、より健康に幸せに生きることが出来る気がします。
現に私は西洋医学の知識しか知らなかったために、自分の病気を10年以上も治すことが出来ませんでした。
地元の方々の健康不安に寄り添える活動をしていきたい。
薬膳の良さをもっと広めていきたい。
不調に悩む方に解決方法の一つとして薬膳というものもあるんだよ、と広めていきたいです。