キミが存在しないラブコメ 第28話
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ここで、すべての決着をつけるべきなんだよな。
だけど、それでいいのか?
僕は彼女――筬屋真海奈を……自信を持って好きだと言えるのだろうか?
布佐良月子を好きであると自信を持って言うことができる……とは、思う。
こんな自信がないままで、なあなあで恋人関係を結んでいいのか?
「――ねえ、一緒に帰ろ?」
「……ああ、うん」
そういえば、帰り道、ほとんど一緒だったっけ。
一緒のバスに乗ったら、僕が先に降りることになるが。
その前に決着をつけなくてはいけない。
タイミングは今しかない。
――もう、バスに乗ってしまったのだから。
「あのさ、どうして僕がいいんだ?」
「うん?」
「どうして僕に付き合ってほしいんだ?」
「顔がいいからだよ」
「えっ?」
そんなクソみたいな理由……?
「その程度の想いしかないのに、こんな僕のことに対して、しつこくなれるの?」
「その程度じゃないよ、本気だよ。まあ、それが根源というわけじゃないけど」
「なら、その根源を言ってよ! 紛らわしい……」
「それは私のなかで処理したいから言いたくないのよ……それに前も言わなかったっけ?」
「なにを?」
「好きになるのに理由が必要かってこと」
「顔がいいからって今、言ったよね?」
「顔がいいとはいっても武尊くんのレベルの顔の人はよくいるけどね」
「だったら、余計に理由が欲しいくらいだな……ああ、なんか、がっかりした」
「がっかり? どうして?」
「本音が見えないことには、ちょっと付き合うのは無理かな……」
「えっ!? それなら言うけど」
「いや、もう、なんていうか、キミから発せられる言葉を信じるか、信じないか、なんてのは、まあアホらしく思えてきてだな……」
「アホらしく思える?」
「キミは小悪魔か、なんかか?」
「小悪魔ではないと思うけど」
「じゃあ、僕の憤りのある感情をどう処理すればいい?」
「なにが言いたいの?」
「外堀を埋めてたんだろ? 周囲の人たちが歓迎して僕と付き合えるようにするために」
「誰から聞いたの?」
「勘、といえば嘘になるが、そういうことがあったと聞いている」
「誰から? もしかして、月子ちゃん?」
「いや、彼女とは、もう疎遠だよ。関係ないね」
「なら、なにも問題ないじゃない。どうして私じゃ、ダメなの」
「今回のような遊びに行くことは、これっきりにしてくれ。なんだか、うんざりしてしまった」
「そんな……私、これから、どうしたらいいの?」
「今まで通り、変わらない生活をすればいいんじゃないかな? それか新しい彼氏候補を見つけたとき、同じように外堀を埋めてさ、彼氏を作ればいいじゃない」
「…………」
「じゃあね。その服は僕が勝手にあげたものだから、どんなふうに使ってくれてもいいよ。むしろ、捨ててもいいくらいだな」
僕はバスから降りていった。
そのあと、彼女がどうなったのかは明日、知ることになる。