魔法使いの目玉焼き(短編小説)

魔法使いは目のように輝く目玉焼きを作り、食卓に運んだ。

そして、その目玉焼きをかじりはじめた。

「おいしい」と魔法使いはつぶやいた。「食べてみなよ」

「ボクが?」

「うん」

魔法使いはうなずき、そしてボクはそれを食べた。

その目のような目玉焼きは、ボクが今まで食べたどんなものよりもおいしかった。

魔法使いの作る料理はすべてこんなにもおいしいのかと思った。

「…………」

でも、魔法使いはなにも言わなかった。

ただ黙って食事を続けながら、ボクのことを見ていた。

だからボクもなにも言わずに食事をした。

やがて食事が終わった。

そんな夢から覚めたあと、いつの間にかボクは、ボクの目がなくなっていることに気がついたのだった。

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