義肢のヒルコ 第21話
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「……そんなの誰でもいいじゃないか」
「……えっ?」
俺は苦悩に満ちた顔で。
「……気づいているんだろ? 青花ちゃんの陰謀に」
「……うん」
青葉ちゃんは迷いなく言った。
「……わたしは、わたしの中にある力を知っている。でも、青花お姉ちゃんの能力で、そんなことを言われると、本当にそうなんじゃないか……と、思えてしまって……」
「……そうか。そうだよな。周りの人間に否定されると、本当にそうなんじゃないかと思えるときが……俺にもあった――」
――だから――。
「――俺も君が好きだよ。そんな君が大好きだ」
海の彼方へ飛ばされた悪神が……再度、俺と青葉ちゃんのもとへ近づいてくる。
「青葉ちゃん、俺のヘルメットを……」
「……うんっ!」
青葉ちゃんはゴーグル付きヘルメットを俺に渡す。
「ゴーグル……装着っ!」
俺はサメ型の悪神を見る。
「属性は……水。まあ、当たり前だよな。この海では、その属性の悪神がウジャウジャいる。……というわけで」
俺は彼女を安全な場所へ移動させて。
「来いっ! 改変式自転車っ!」
俺は彼女が見つけた自転車をボードの状態に変形させた。
「……俺は、あのサメ型の悪神をぶっ倒してくるから、そこでよーく見ておくんだぞっ!」
「……えっ?」
青葉ちゃんは困惑した。
「危険だよっ! 蛭子くんが死んじゃうよっ!」
あの悪神に普通の人間が立ち向かうのは無謀だ。
そう思った青葉ちゃんだが――。
「――どうして俺が、この海を漂っていたと思う?」
「それは……」
この海は危険領域だ。
だけど、どうして俺は生きているのか? ……いったい、どんな手段で……。
「……どういうこと?」
「まあ、見てなって」
俺は、へへっ……と、鼻を鳴らす。
「本気を見せてやる」
俺は、すぅ……と、息を吸って、はぁ……と、息を吐いて、落ち着いた声で。
「人化……解除っ!」
「……ああっ」
「これが俺の……本当の姿だ」
俺の腕は、鉄でつくられたような義手に変化した。
「その腕は、いったい……」
「腕だけじゃないぜ……脚もだ」
俺はズボンの裾をまくり上げた。
「……!」
青葉ちゃんは言葉を失った――。