愛すべきクズたち「喜劇『おそ松さん』」~感想日記~
「喜劇『おそ松さん』」
あらすじ(ネタバレ)
六つ子の一人、おそ松は夢を見ていた。チョロ松に起こされていつも通りに居間へ向かうと、父と母は買い物に出かけていて留守であった。そこへ、他の兄弟たちが次々に表れる。トド松はカフェで朝ごはんを買い帰宅。カラ松は古着屋で個性的なジーンズを購入して帰宅。十四松はなぜか箪笥の引き出し部分だけを購入し、キャスターに乗り壁を突き破って帰宅。一松は家の奥で母が用意したパンを食べていた。そんなやりとりに「こんな会話前にもしなかった?」と驚くおそ松。現実が夢で見た出来事とリンクしていることを察知し、「このままでは父と母が離婚する!」と焦り出すのだった。買い物から帰った父と母はおそ松の言った通りに離婚を宣言。その後六つ子たちは父と母を仲直りさせるべく一芝居打つ作戦に出るも失敗に終わり、母とハタ坊が結婚したり一松がトト子と結婚したりと、どんどんとおそ松の予知夢が現実になっていく。おそ松はイヤミとチビ太がマシンガンを乱射する予知夢も見ており、大金を稼ぐ作戦が失敗したイヤミとおでん屋が上手くいかないチビ太がハタ坊の持ってきたマシンガンを手にして暴走したことで、その夢も現実となってしまう。「もし予知夢が見れるのであれば、自分の要望を察してみせろ」と言うイヤミ。おそ松はその場にいた皆が全滅してしまった夢の中で、イヤミが「注目を浴びてみたかったんだ」と呟くのを聞いた。現実に戻ったおそ松がイヤミに問いただすと「夢を追うトト子を見ていたら羨ましくなった。自分も主人公のように歌ってみたい」と打ち明ける。そこで、一同はイヤミをセンターに据え声を揃えて歌い彼の夢を叶えたのだった。ここぞという場面で息子たちを守ろうと自分の身を盾にした父を母は見直し、全ては元通り。おそ松の見た最悪の予知夢は現実にはならなかった。予知夢を見た原因と思われる風邪薬を捨て、おそ松は家族や仲間たちとまたいつも通りの暮らしへ戻るのだった。
感想
いや~~~~~~~~~~。ハマりました。6年前、友人がドハマりしていた時にはチラリとも見なかった舞台「おそ松さん」。今更すぎる。今更過ぎるが、良作は色あせないのである!!!これはハマらないわけがない。今日から私は松野家の六つ子を養うために働きます。養いたい!このどうしようもなくクズで下品で放っておけないかわいこちゃんたち(成人済みニート)を!!養わせてくれ!!!頼む!!!!!!
何がいいって、しっかりとしたイケメン舞台俳優さんたちがしっかりと全力の笑いを取りにいっているところ。いやいやいや、2.5次元俳優さんですよね?まさかお尻が6つ並ぶなんて思ってもみませんでした。舞台の醍醐味であるアドリブシーンも盛りだくさんで、見ているこちらは愉快ですが役者さんたちはヒリヒリするやり取りをしているんだろうなと、それを見るのもまた楽しみの一つです。それぞれが自由に舞台を飛び回っていて、チョロ松兄さんのツッコミが冴えわたっていました(個人的に一番狂気を感じたのはチョロ松兄さんの「固いジャムの瓶」ネタでしたが……)。
おそ松が地獄の淵に立たされているシーンで、おそ松が他の5人へ思いを絶叫する姿には思わず涙してしまいました。それはおそ松から他の5人の兄弟への言葉のようであり、高崎さんから他の演者さん5人への言葉のようでもあり。湿っぽい空気にならないようしっかり悪態をついて次の展開へ移っていたのも人柄が感じられてなんだかじーんとしました。こういう風になんでも言い合えて尊敬し合える仲間って憧れますし、舞台ってこんな風に「人間」「人生」を感じられるから観てると元気が出るんですよね。
たくさん笑って少し泣けて、元気をもらえる2時間でした。たぶんまた、元気出したい時に繰り返し見ると思います。私の明日からのモチベーションは
「松野家の六つ子はあたしが養う!!!」
です。
余談
2.5次元舞台については全くの素人で、「あんさんぶるスターズ」シリーズ、「ミュージカルヘタリア」シリーズに続いての観劇でした。他作品にも出演されていた俳優さんのまた違った表情を見られるのも楽しみの一つですよね。
「喜劇『おそ松さん』」の一部分で高崎さんに「一番尊敬している先輩は?」と聞かれ「緑(植田圭輔さん)だ」と答えた赤澤さん。植田さん、きっとめちゃくちゃ面倒見がいいんだろうなあ……というのがすごい伝わってくる。「ミュージカル『ヘタリア』『FINAL LIVE〜A World in the Universe〜』」のライブ中、歌唱する杉江大志さんの目線の先で微笑み佇む植田圭輔さんがスポットライトに照らされ、それを見た杉江さんの涙腺が崩壊する場面がありましたが。きっと、杉江さんも植田さんにたっくさん支えられてお世話になったなという記憶と感情で涙が溢れたんだろうなあと勝手に想像して泣けました(ええ、思い出し泣きです。「おそ松さん」を見ながら「ヘタリア」を思い出し泣きました)。
自らも全力で攻めつつ全力で後輩たちを支えている植田圭輔さんはまさに理想の先輩像で、私もあんな先輩、上司になれるよう精進したいなと思ってしまいました。LOVE。