サブマリン / 伊坂 幸太郎
ベッドの下で集まる埃を見つけるときはいつも眠たいか、だるいか、動きたくないときか。
前見つけたときとなにも変わってないしな。増えたわけでもないし、今してもどうせ増えるだろうしなんて言い訳が次々と私の頭の中を通過していく。
ベッドの下の埃ってそういうものだよな。
そもそもベッドの下の埃のことを考える時間がもったいないよな。でちゃちゃっと掃除をすればいいものの、案の定知らんぷりを極める。
ベッドの下の埃に限らず、ほったらかしにしてしまうことなんて山ほどある。
少し動くだけで変わるはずなのに、分かっててもやらない。分かってるんだけど、。
そうしてそう思っている間にどんどん月日も流れていって、自己嫌悪になんかなっちゃったりして。
分かってるのになんで動けないんだろう。今眠たいもんな。いやもうこれが食べたくて我慢出来ない。今日ぐらいいいや。少ししたら動こう。ぐーたらぐーたら。
言いたいこと言えなかったり、したいことできなかったり、なんでもかんでも後回しにしちゃったり、。
どんなに胸を打つ本を読んだって、どんなに大きな事件があったって、どんなに刺激的な人に出会ったって、いつだって鏡の前にいる自分は変わらなくて。
やりたいことやって、言いたいこと言って、すんごくハッピーみたいな人をすぐ羨ましいなと思って。
その繰り返し。
そういう自分の中の嫌な部分が次々に溢れ出した本。
できればずっと寝てたいし、好きなものを好きなだけ食べたいし、まあ普段そんな生活してるけど。
そんなことやってたらそりゃどんどん惨めになっていくに決まってるんだけど、のところでいつも寝落ち。
あなたはちゃんと考えてるよね、よく言われる。
そんなのそう見せてるだけで中身空っぽのくそつまんない人間ですけど、よく心の中で呟く。
もっとこうしたらいいのに、あなたはこのままじゃダメだよ、なんて面と向かって言ってくれる人がいたらいいのに。とかいつも人のせいにばかりしちゃう。私が私に甘いだけなのに。
別に陣内に出会ったって、本の中の人達は別段変わったわけでもないし、でも私は、陣内と出会ったら変わる気がするなんて無理な願望を抱いちゃったりしてる。
いやあ、変わりたいんだけどねえ。
いつも欲求に従っちゃう。
なんかさ、みんなは私のことそんなに知らないし、私もみんなのこと全然知らないけど、みんなが知ってる私の範囲内でもいいからさ、なんかメッセージ欲しいなーなんて。
友達にお願いするみたいな言い方で笑っちゃうね。
サブマリンもすごく面白かったよ。
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