3つの好きな映画|戦争や紛争を別の側面から見てみる?篇
テレワーク、ロジスティクス、アウトソーシング、民営化、、
なんだかビジネスの話のようだけど、そうではない。
すべて紛争や戦争の話。
電子レンジもラップもティッシュも、掃除ロボットもカーナビもインターネットもPCも、もともとはすべて軍事用に開発されたもの。それが、一般社会にも応用されて、便利な世の中になっている。
では、現代の紛争や戦争は、どういった技術やしくみで成り立っているか。普通に暮らしている限り、全然知ることのできない側面を、映画を通して理解する。
ドローンとWEB会議|アイ・イン・ザ・スカイ
ケニアでの自爆テロを阻止するために、ナイロビ上空を飛行するドローンからのミサイルでテロリストを殺害する、という話。
ドローンのパイロットはアメリカにいるし、攻撃を指揮は司令部はイギリス。なので、ケニアのテロの話なのに、ドローンの映像を見ながらWEB会議が延々と続く会話劇。
鳥型ドローンの現地の様子や虫型ドローンでテロリストがいる家の中にまで侵入した映像をもとに、いつミサイルを発射するか決める。
戦場はケニアなのに、イギリスとアメリカですべてが決まる
ドローン映像の顔認証で犯人かどうか特定するし、街の映像からミサイルによる民間人の被害予測もできるので、被害を最小にする絶妙なタイミングでミサイル発射を決めることができる。
まさに、世界一安全な戦場
外注・民営化された戦争|ルート・アイリッシュ
ルート・アイリッシュはイラク戦争を舞台に、民間兵の死の真相を追いかける、と言う話。
国の軍人が死亡すれば「戦死」。政府から見舞金、補償金、遺族年金などが支払われる。しかし、民間兵の場合は、戦死ではない。軍人として国が雇用しているわけではなく、あくまでも外部委託先の社員の「労災」。
政府が死の補償をしなくてよく、反戦運動も起こりくい
軍人の死者数は国民の注目を集め、反戦運動につながる。さらに、国の軍人には国際法が適用されるが、民官兵には適用されない。拷問も許され、現地の民間人を射殺しても国際法で裁かれることがない。
国にとって、とてもリスクの低い民間委託
カルロス・ゴーンの国外逃亡を請け負ったのも、この民間軍事会社。通称PMC。そして今、ウクライナ紛争で需要も急増している、と。。
武器の流通が戦争を支配する|ロード・オブ・ウォー
武器貿易を扱うビジネスマンの話。
タイトルのロード・オブ・ウォーは、戦争は争う当事者側でなく、武器を供給する側が主導権をもっていることを暗に示している。
世界の大国は表立って武器を輸出するケースもあれば、政治的・経済的な事情で内密に紛争地帯に武器を供給することもある。その時に必要なのが武器商人となる。
“偏見なく”あらゆる軍に営業して注文をとってくる
そのため、各国の要人とパイプをもち、時には国家権力に身を守られる。仮に逮捕されても、すぐ釈放される。映画のラストで「最大の武器供給者は米・英・露・仏・中の5カ国で、この国々は国連の常任理事国でもある」と流れる。
つまり、この5カ国にとって、都合のいい場所に都合のいいタイミングで武器を供給する時に、必要なのがこの武器商人。
「お前が戦地に行くと、戦争が長引く」という映画のセリフがとても印象的。実在の武器商人をモデルとした映画。