小さな旅・思い立つ旅|映画のような写真を撮りたい[朝を迎える京都夏景]
映画のような写真を撮りたい
「映画風の色味にしたい」ということではない。静止画なのに、時が流れ、物語のある写真。情景が目に浮かぶ写真。撮りたいのはそんな写真。
水墨画では、自然の風景だけでなく、その中に旅人や、山道を歩くきこりなど、自然のなかで暮らす“人”を描く。人と自然の関わりを叙情的に表現することで、鑑賞者は絵の中の人物に乗り移って、風景を旅することができる。
人を描くことで物語が生まれる。
ということで、情緒的な夏をもとめて早朝の京都へ。叙情的に物語る写真を目指して、カメラ片手に。せっかく撮るなら映画のような写真を撮りたい、という話。
映画のような写真 と 『こち亀』
『こち亀』の作者秋元治さんは、漫画の表紙について、水墨画の特徴とまったく同じことを言っている。
表紙に東京下町の風景を描く。ただの風景だとつまらない。風景の中に登場人物を描くことで、ストーリーが生まれ時間が流れる、と。
表紙1ページで物語をつくり、本編でもうひとつ物語をつくる。一度で二度美味しい漫画が生み出せると。4コマ漫画ならぬ1コマ漫画。
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写真を撮ることは好きだけど、ポストカードのような写真には興味がない。綺麗な風景写真なら、ネットでもどこでも手に入る。一緒に旅する人が映る情景を撮って、世界にひとつのワンシーンにしてみたい。
水墨画も、漫画の表紙も、人を描く
人のいる情景が、物語を生み出す
−情景を写し、映画と映る−
朝5時|鴨川デルタ
朝4時に家を出て、家族みんなで京都旅。日の出前の鴨川に到着。ネットで調べた日の出の時間は、地平線から太陽が出る時間だということを思い知らされる。東山が太陽の邪魔をする、、、
朝6時|南禅寺
駐車場に車はゼロ。歩いているのは散歩している人と、Youtuber?と思しき人が謎のダンスを撮影しているだけ。のどかな朝。いつもは観光客でごったがえす有名観光地が、嘘のよう。
朝6時半|東山からの日の出
日の出時間の1時間後、ようやく東山から太陽が顔を出す。
朝7時|伏見稲荷大社
外国人観光客に大人気のところ。さすがに7時になると人は増えてくる。それでも日中に比べれば、とても静か。
朝9時|バーミリオンカフェで朝食
伏見稲荷の池の畔にあるカフェ。店名の「Vermillion」は日本語で朱色。鳥居だけに。9時にオープンするので朝食に最適。10時には店を出て家路につく。
朝の5時から10時までの5時間の旅。
昼11時から16時の5時間とはまったく別の世界。
最高の夏旅。
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