3つの好きな映画|ロシアの紛争[クリミア・ジョージア・チェチェン]篇
「ロシア、ウクライナ侵攻能力すでに整える」
ここ最近のニュースで何度も取り上げられる出来事が、いい方向ではないことくらいは、なんとなくわかる。
だけど、これからどうなるかは専門家でも完全に予測することはできない、と。
ネットで調べてみても話が込み入っていてよくわからない。本を読むにも、どの本を読めばいいかもよくわからない。
そういう時は、映画がおすすめ。
未来がわからなくても、過去はわかる。
ニュースでは取り上げることもない、そこで普通に暮らす人々に、耳を傾けることができる。
映画の醍醐味。
ソ連崩壊からちょうど30年。
政情不安や独立意識が高まった従属国に対し、旧ソ連は軍事介入を繰り返す。ソ連が崩壊し、ロシア連邦が成立した後もその流れは変わらず、チェチェン、クルジア、クリミアと 紛争が絶え間なく続いている。。
ロシア、東欧、中東、西アジアの境界に位置するため、もうそれだけで地政学的に複雑なのはなんとなくわかる。
さらに、コーカサスとカフカスのように同じものに2つの表記があったり、クルジアだと思っていた国がいつの間にかジョージアになっていたりするので、より複雑に。。
ちょこっとネットで調べたけど、あまりにも情報量が多くて捌き切れない。
そういう時は、やっぱり映画。
シリア、ユーゴスラビア、イスラエルとパレスチナ
ちなみに、同じように複雑な歴史や背景をもつ地域の映画をまとめたnoteはこちら。
国民の半分が難民となっているシリア
七つの国境、六つの共和国、五つの民族、四つの言語、三つの宗教、二つの文字、一つの国家のユーゴスラビア
歴史、宗教、人種、経済、政治、科学技術、環境が入り乱れているイスラエルとパレスチナ
ロシアの紛争[クリミア・ジョージア・チェチェン]篇
と、いうことで黒海周辺でロシアに起因する紛争を扱う映画を3つ。
いずれも自分が生まれてから起こっている出来事で、遠い昔の教科書の中の話ではない。
まさに、今起こっているウクライナの情勢にもつながる生きた世界史。
ウクライナ・クライシス/2019 クリミア紛争
2014年に起きたクリミア紛争を舞台にしたもの。
ウクライナの領土と見なされていたクリミアをロシアが併合したことによって両国が対立。
映画を見ていて、ウクライナ人とロシア人の見分けはつかないし、喋っている言葉がウクライナ語なのか、ロシア語なのかも聞き分けることはできない。
もうその事実が、現実の複雑さを表しているようで。。
「戦いはまだ終わっていない」
映画の中の言葉通り、今まさに起こっていることにつながる話。
とうもろこしの島/2014 クルジア・アブハジア紛争
ジョージアから独立を求めるアブハジアの紛争境界ラインに流れるエングリ川を舞台にした映画。
90年代の紛争中に、どちらの領地にも属さない中洲で、アブハジアの老いた農民と孫娘が黙々ととうもろこしをつくり生活する、とても穏やかな映画。
と、思いきや、そこへ傷ついたジョージア兵が流れ着く。。
紛争下における、普通の人々の人生のあり方とは?
映画に戦闘シーンがない。紛争はあくまでも背景で、日々の糧を得るために大自然を相手に奮闘を続ける農民の姿が、とてもうつくしい映画。
春の雪解けでつくられる中洲で暮らすって観光旅行では絶対に気づかない。
コーカサスの虜/1996 ロシア・チェチェン紛争
トルストイの小説「コーカサスの捕虜」を原作に、舞台を現代のチェチェン紛争に置き換えて描いた映画。
コーカサスのチェチェンの村に捕らえられたロシア人捕虜と、村人の対決と交流を描く。極限に置かれた人間を見据え、背景の美しい風景と対比せ、戦争の理不尽さを際立たせている。
石造りの家々、民族衣装、広大は山並みに荒涼の大地。
もう20年くらい前に見ただけなので、細かいところは覚えてないけど、コーカサス地方の美しさがとても印象深く、心に残っている映画。