政府の累積債務を国民の借金にすり替える財務省の国民洗脳キャンペーン
すべてを疑え!
古くは万世一系の「天皇神話」、福島原発事故まで大手を振ってまかり通っていた「原発安全神話」、嘘と利権にまみれた金がすべての「オリンピック神話」など、世の中にはインチキ神話が掃いて捨てるほどありますが、財務省がでっち上げた「財政赤字の神話」(ステファニー・ケルトン)もそのひとつ。日本では「国の借金=国民の借金」という神話がいまだに大手を振ってまかり通っています。
「CO2犯人説に基づく地球温暖化」もひょっとしたらその類かもしれません。何と言っても「地球温暖化ビジネス」(排出権取引)は、巨額のマネーが動くので儲かりますからね。
通説どころか最近ではマスコミであたかも定説扱いされている「地球温暖化CO2犯人説」は果たして真実なのか? また、短期的には一見温暖化しているように見えますが、もっと長い時間的スパンで見たとき、そもそも地球は本当に温暖化しているのかなどの諸問題は科学者の間でもいまだに論争が続いており、決着がついていないのが現状です。
大キャンペーン真っ最中のSDGsも先進国の"やっているふり”パフォーマンスではないかと疑っています。
要するに「すべてを疑え!」(マルクス)、「お金の流れを追えば、真実が見える!」(堤未果)ということであります。
財務省の巧妙な国民洗脳キャンペーン
さて、日本政府は2021年6月18日、今年の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を閣議決定しました。その中で、2025年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の黒字化目標は堅持した上で、2021年度内にコロナの影響を検証し、目標年度を再確認することが盛り込まれた。
目標年度を再確認するとしていることからも2025年度の黒字化は実質的には先送りされたとも読み取れますが、財政健全化の旗は絶対に降ろしたくない財務省と新型コロナ対策のために、今後も大規模な国債発行(つまり財政赤字の更なる拡大)は必要とする各省庁との折衷案のように見えます。
未曽有のコロナ禍でも「〇〇の一つ覚え」のようにあくまで財政健全化に固執する財務省ですが、日本のプライマリーバランスを説明するとき、必ず一般家庭の家計に例えるというやり方をします。通俗的で分かりやすいので、納得した気にさせられてしまう国民が意外に多いようです。
財務省はHPで、次のような例えを使って説明しています。
「月収50万円の家計に例えると、月収は50万円ですが、ひと月の生活費として、80万円を使っていることになります。
そこで、不足分の30万円を、借金で補い家計を成り立たせています。
こうした借金が累積して、8,400万円のローン残高を抱えていることになります。」
これとは別に2021年2月、財務省は、「2020年の日本の財政赤字は1212兆円で、初めて1200兆円を超えました。単純計算すると国民一人当たりの借金は983万円です。」と、さも大変な事態です!と言わんばかりの表現を使って発表し、各マスコミも財務省の発表をそのまま大々的に報じました。
財政赤字が1000兆円を超えた時にも、マスコミが大騒ぎしましたのと同じ構図です。
これを耳にした一般国民は「国民一人あたり1000万円近い借金とは驚いた!」「これは大変だ。このままでは、国が潰れてしまう。」「何とかしなくては!」と危機感を募らせます。
こうして、財務省が言っていることを真に受ける国民が増えていくという寸法で、まさに財務省の思う壺です。
しかし、これは国民を洗脳するための意図的なデマで、「国の借金=国民の借金」と思い込ませるための巧妙なトリックによるすり替えです。
一種の「ショックドクトリン(惨事便乗型資本主義)」の手法で、わざと国民の不安や危機感を煽り、それに付け込んで世論を財務省が望む方向へ誘導しようとしているのです。
国は誰から借金しているのか?
財務省の狙い通りに、ここで思考停止してはいけません。
「いや、まてよ。」と少し立ち止まって考えてみれば、おかしな点がいくつもある事に気が付きます。
特にこの⑤の疑問が重要で、この点を少し追究すれば政府の言っていることが真っ赤な嘘である事は、すぐに見抜くことが出来ます。
日本政府にお金を貸しているのは一体誰なのか?という問題です。
日本は外国からは、ほんの僅かしか借金していません(約7%)。
とすれば、残るのは日本国民だけですね。
そう、日本政府にお金を貸しているのは、我々日本国民なのです。
つまり、日本政府は国民から借金している債務者、日本国民は政府にお金を貸している側の債権者という関係です。
借金の中で断トツに額が大きいのは日本国債で、特に昨年は、新型コロナ対策のために過去最多の新規国債を発行。そのため、借金の大半を占める国債残高は1年前から86兆5709億円増加して、1074兆1596億円に膨れ上がりました。(それでも何も起こりませんでしたが。)
この国債の大部分を買っているのは日本の民間で、政府が発行した国債を主に銀行や生保会社が買い取るという形で、政府にお金を貸しているのです。銀行・生保会社の国債購入原資は、国民や企業の銀行預金や保険の掛け金です。
国の借金の内、国債の次に多いのが「公的年金預かり金」。これは将来の年金給付のために国が国民から預かっているお金です。
国民は債務者ではなく債権者
お金の出所を辿れば何のことはない、日本国民が日本政府にお金を貸してやっているのです。財務省が宣伝している「 国民一人当たりの借金は983万円」はデマであり、逆に「 国民は政府に対して一人当たり983万円の債権(資産)を保有している」というのが正しい認識なのです。
(現在、日本銀行が「国債買いオペ」という形で国債の約半分を保有しているので実態はもう少し複雑です。また、日銀が「信用創造」によって市中銀行に「原資」を付与しているという考え方もありますが、これには別の考察が必要。)
ところが財務省はそうした事実を巧妙に隠ぺいして、上記のようにマスコミを使って生まれたばかりの赤ちゃんからお年寄りまで、国民一人一人がさも大金を借金しているように思わせる嘘を広めて来ました。
債権者が債務者に借りてもいない借金を返すなどあり得ない訳で、まさに話があべこべです。むしろ国民は、政府に対して「貸した金、早く返せよ!」と言える立場なのです。
他にも国民は納税という形で政府に巨額の税金を預けてもいるのですから、苦しい自粛生活を余儀なくされている緊急事態宣言下では、「政府に貸した金」や税金を給付金や休業補償金として国民に戻せ!と要求する権利があるのです。
政府は国民から「巻き上げた」(麻生財務大臣)税金を自分たちが自由に使える無尽蔵のポケットマネー(税金の私物化)と考えている節がありますが、政治家を含む公務員の給与と福利厚生費以外の税金は、社会保障、教育、公共事業などの公正な予算執行を通してすべて国民に還元されるべきものです。
実際には国民が汗水たらして収めた税金のかなりの部分が国民に還元されることなく自公政権やその取り巻き縁故企業、宗主国アメリカ(米国債の大量購入等)などに「合法的に」横流しされて消えています。「中抜き平蔵」こと竹中平蔵が率いるパソナグループや電通などがその代表的縁故企業です。
ここまで財務省が振りまいてきた「国の借金」デマについて書いてきましたが、後半は財務省が「目指している」累積債務の解消は果たして可能なのか、累積債務をこのままにしておいて日本は本当に大丈夫なのかという問題に焦点を当てます。
消費増税による累積債務解消は可能か?
テレビや新聞、雑誌などで、「このまま財政赤字が増え続ければ、そう遠くないうちに日本経済は破綻しますよ。」と実しやかに危機感を煽っているエコノミスト(アナリストも含む)をよく見かけます。
では、彼らの財政赤字に対する処方箋は何かと言うと、共通しているのが国民に対する増税で、その中心は消費税の大幅増税。
法人税の課税強化や富裕税、金融資産税、大企業の内部留保税などの創設なら大歓迎ですが、そんなことを主張する者は皆無であくまで消費増税一本鎗。
中には消費税を30%まで上げる必要があると主張するトンデモ論もありますが、そうなって一番喜ぶのは誰でしょう?
そう、財務省ですね。
財政危機を煽って消費税の値上げに誘導するエコノミストは、まず政府・財務省の回し者と見て間違いはないでしょう。
しかし、これ以上消費税を上げれば国民の消費マインドや民間投資が更に落ち込んみ、現在よりももっとひどい長期の大不況に陥ることは必至です。当然、税収も消費増税前より落ち込みますから、財政再建は更に遠のきます。
本末転倒とはこのことで、一体何のための消費増税なのかさっぱり分かりませんね。
消費税のこれ以上の増税に日本経済は耐えられず、「アホノミクス」(アベノミクス)という名のインチキ経済政策、二度に渡る消費税の値上げによる深刻な経済的ダメージ、新型コロナによる経済活動の落ち込みなどのため弱り切った日本経済を地獄の底に突き落とし、最後のとどめを刺すことになるでしょう。
消費減税すればかえって税収は増える
急がば回れで、単年度の財政赤字を少しでも減らす一番の早道は、増税とは真逆の消費税の廃止です。減税によって国民の消費意欲や企業の新規投資を喚起し、景気をよくして税収を増やす政策です。長期のデフレスパイラルによって弱り切った日本経済の回復のためには、消費税の廃止が最も効果的な治療方法なのは明らかです。
消費増税と反比例してどんどん減らしてきた法人税や高額所得者の累進課税率を見直し、元の税率に戻すことも必要です。これはアメリカのバイデン政権が進めようとしている財政政策と同じです。
しかし、消費増税に凝り固まり、一度手にした財源は絶対に手放したくない財務省は、消費税の廃止など論外で消費税半減にも大反対。財務省に洗脳されている与党議員も消費増税賛成派が大半というのが現状なので、自公が与党である限り、余程のことがなければ消費減税による景気回復の可能性はほぼゼロです。
現在はコロナ禍なので消費増税に向けた議論を控えているだけで、コロナ禍が収束すれば「コロナ復興」などの名目で、またぞろ消費増税を言い出すのは目に見えています。そもそも消費税を創設した真の目的は法人減税と高額所得者の所得減税にあるのですから、一般国民にとっては消費に対する懲罰でしかない消費税の存在自体が「百害あって一利なし」なのです。
超緊縮財政による累積債務解消は可能か?
増税も好景気による税の増収もままならないのなら、残る手段は超緊縮財政しか手はありません。
仮に100兆円の歳入があったとします。
社会保障費、地方交付税交付金、公共事業など(国債関係費を除く)すべての歳出を一律50%カットすれば、確かに単年度分の赤字国債、建設国債の新規発行は必要なくなり、単年度のプライマリーバランスは均衡します。
しかし、ここまでが限界で新しい借金はしなくてよくなるものの、肝心の累積赤字の返済に回す財源は最早1銭もありません。
また、国民生活に直結する社会保障費などを大幅カットすれば国民の不満が爆発すると同時に公共投資による国内需要が激減するので、政府発の大不況に陥ることは必至です。そんなことをした総理はすぐに退陣させられるでしょうから、こんなバカげたことは当然誰もやりたがりません。
積みあがった累積債務の解消は事実上不可能
結局のところ、ここまで積みあがった日本の累積債務を解消することは、今更どうあがこうと事実上不可能だということです。
また、世界の近代史を見渡しても、戦争、内乱、革命などを除く通常の方法で累積債務を解消した国はほとんどありません。
そもそも財政赤字によって国家が破綻するというのなら、世界一の超赤字国家日本はとっくに破綻していなければおかしいですよね。
現に累積債務が初めて1000兆円の大台を超えた2013年にもマスコミは「日本の国家財政破綻の危機!」と大騒ぎしましたが、結局何も起こりませんでした。累積債務が一体いくらになったら破綻するのでしょうか?
何も起こらなかったのは当たり前です。財務省自身が 外国格付け会社からの質問に答える意見書で、「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。」と回答しているのですから。
国民に対しては嘘を広めて盛んに危機を煽っておきながら、外国にだけ本音を伝えるとはとんだ二枚舌で、「政府は平気で嘘をつく」(堤未果)という見本です。
以上のように日本の財政再建は完全に詰んでいて、まさに八方塞がりのお手上げ状態。
日本がデフォルトする可能性はあるのか?
さて、ここで改めて国民の多くが心配している「このまま放置しておいて大丈夫なのか?」という問題について考えてみましょう。
結論を先に言えば、 累積財政債務によって日本が破綻 してデフォルト(債務不履行)に陥ること ほぼあり得ず、また、累積債務を解消すること自体がそもそも不可能であり、その必要もないということです。
《日本がデフォルトしない理由》
リーマン・ショックの余波でギリシャがほぼデフォルト状態になったのは、財政赤字を補うために外国政府や外国投資家から多額の借金をしていたのと、ギリシャが自国の通貨発行権を喪失していたためです。
共通通貨ユーロの発行権を持ち、欧州全体の金融政策を決めているのはドイツ・フランクフルトに本部がある欧州中央銀行だけなので、EU加盟国のギリシャは自国の通貨を勝手に発行することができません。
ギリシャがEUに加盟せず、通貨が元のドラクマのままであれば、どんどんドラクマを発行して債務支払いにあて、デフォルトを回避できたかもしれません。その場合の条件は債務がドルやユーロではなく、ドラクマ建てである事です。(ただし、国力が脆弱なギリシャではハイパーインフレの懸念があるため、通貨の大量追加発行はいつまでも続けられませんが。)
この点、イギリスの選択はさすがに賢明でした。イギリスはEUに加盟しても絶対にポンドの発行権だけは手放さなかったのですから。通貨発行権を手放すリスクをしっかり理解していたのでしょう。(イギリスは2020年1月31日、EUから離脱しています。}
通貨発行権のある日本は、ハイパーインフレを引き起こさない範囲でなら日銀がいくらでも1万円札を刷って通貨を発行できます。例えば、バブル崩壊後の平成大不況の原因になった巨額の不良債権も日銀が当時の簿価ですべて買い取れば一気に解決できたはずなのです。(日銀はそれが分かっていながら、ある思惑からわざと不良債権買取を発動しなかったのですが。)
現在、日銀は従来であれば禁じ手であったはずの巨額の国債買い入れを平然と続けているのですから、不良債権処理でも同じことをすれはよかったのです。この件については、こちらで触れています。
累積債務の増加はG7各国の「スタンダード」
話が少し脇道に逸れましたが、参考までについ先日、英国でサミットを開催したG7各国の財政事情はどうなっているのでしょうか。
上に示したのは、財務省によるG7各国のGDPに対する債務残高の統計です(対外純資産等は勘定に入っていません)。単純計算で日本の対GDP比250%超えというのは確かに突出していますが、150%を超えているイタリアをはじめ他の諸国も軒並み100%を超えています。
昨年からどの国も揃って累積債務残高が急上昇しているのは各国政府が大規模iに新規国債を発行して、新型コロナ対策のための財政支出を増やしているためなのは、皆様ご存じの通りです。
勿論、世界一の「借金大国」日本も例外ではありません。これによって、多額の累積債務を抱えた状態で史上最高額の新規国債(112.6兆円)を発行しても、何の問題も起きないことを証明してしまったのは、財務省にとっては大いなる皮肉です。
一番の優等生としてG7の中で唯一債務残高を減らしてきたドイツですが、未曽有のコロナ禍の中ではさすがに財政規律にこだわっているゆとりはなく、巨額の新型コロナ対策費を賄うために昨年から新規国債の大量発行に踏み切りました。
ドイツ以外の各国は2008年のリーマンショック以来、毎年着実に債務残高が積みあがって来ています。つまり程度の差はあれど、多かれ少なかれどの国も財政赤字は恒常的なものであり、国債発行によって歳入不足を補い経済を回すのが常態化しているのです。
ここまで来ると、国債発行によって政府の累積債務が年々増加していくのは最早異常でも何でもなく、既にG7各国の財政政策の「スタンダード」になっていると言っても過言ではないでしょう。累積債務の解消など夢のまた夢なのですから、財政赤字は当たり前という感覚で大騒ぎせずに、今後も静かに累積債務と付き合って行けばよいのです。
むしろ、自公政権のネポティズムによって「中抜き天国」(税金横領横流し政策)と化している日本の税金の不公正な支出の方こそ、国民がこぞって大騒ぎすべき大問題なのです。