初めて「統一教会」と「参政党」の闇に切り込んだ「羽鳥慎一モーニングショー」
7月11日に行われた「統一教会」田中会長の会見内容は自己弁護や虚偽、論点逸らしに終始し、「宗教者」としては極めて誠実さに欠けるものだったが、会見翌日の「羽鳥慎一モーニングショー」がこの欺瞞に満ちた記者会見を取り上げた。
各局のニュース・ワイドショーが軒並み、日本を破壊し腐敗した三流後進国に落ちぶれさせた安倍晋三の美化と「旧統一教会」との密接なつながりを隠蔽するのに大わらわな中、唯一、両者の関係及び統一教会の闇に真正面から切り込んだ貴重な番組だった。
ゲストコメンテーターはマスコミに顔が知られている紀藤正樹弁護士。 出来ればここは、「統一教会」研究の第一人者鈴木エイト氏か藤倉善郎氏を出して欲しい所だが、紀藤氏はこれまで悪徳商法やカルト宗教被害救済に取り組んで来た弁護士なので次善の人選としては正解だろう。
番組のもうひとりのゲストは、政治問題を扱う時は必ずと言っていい程登場する自民党べったりの「スシロー」こと御用評論家田﨑史郎。田崎に政府自民党の肩を持たせて、「偏向番組」だと自民党からねじ込まれないようにするための保険的役回りとして重宝されている。
番組全体の印象は、「旧統一教会」に詳しい紀藤弁護士の独壇場。コメントにたっぷり時間を割き、普通なら忖度して話を途中で遮ったり、別の話題に振ったりするような「旧統一教会」の深い闇に切り込む際どい発言を最後まで続けさせたのも異例。
これに対して自民党から都合のよい情報を回してもらう事で食っている田崎は、「旧統一教会」についてはずぶの素人なので紀藤弁護士の前では全く顔色なし。
発言も少なく、いつもなら色を成して反論するはずの場面でも付け焼刃で仕入れた知識では歯が立たず、コメントを促されてもしどろもどろになってろくなコメントも出来ず終い。
御用評論家としての面目丸つぶれで、「あんたに官房機密費から金を回しているのは何のため?」と、後で官邸筋からお叱りを受けるかもしれない程の狼狽ぶりで、観ていて面白だった。
本来であればこのような番組は参院選の前に放送すべきものだが、しっかり裏を取るためには、如何せん犯行から選挙までの時間が短すぎた。まあ、裏が取れたとしても「旧統一教会」側の自爆同然の今回の「自白」がなければ、自民党への忖度から隠ぺいを続けていたのかもしれないが。
現にNHKの定時ニュースは未だに「旧統一教会」の名称を伏せて放送していて(7/13時点)、さすがは天下の政府広報TV局「犬HK」である。ただし、「クローズアップ現代+」など一部の番組は「記者会見」後に名前を出し始めてはいる。
だが、長期間に渡って大々的に放送し、国民の「戦争ヒステリー」と「国防意識高揚」を煽ってきた「ロシア・ウクライナ戦争」に比べて、扱いも小さくて地味。「ウ・ロ戦争」とは逆に、事件の矮小化と沈静化を図ろうとする下心が見え見えだ。
安倍政権下でのNHKの偏向した報道ぶりは「忖度」を通り越し、安倍晋三に気に入られようと必死で、自ら進んで隷従していると言っても過言ではないレベルに達している。
「安倍晋三殺人事件」がもっと早い時期に発生し、「モーニングショー」のような番組が選挙前に複数以上放送されていれば国民の安倍晋三に対する印象も少しは変わり、同情票が減った可能性がある。
反社会団体「旧統一教会」と安倍とのつながりが明るみに出る事は、明らかに自民党に不利に作用するからだ。だから、他局の「ワイドショー」「報道ステーション」などでは、アンカーやコメンテーターたちが必至でその隠蔽を図っている。
安倍と「旧統一教会」との関係が国民に広く知れ渡っていれば、新潟、岩手など立憲と自民との得票が僅差で自民党候補が辛勝したいくつかの一人区は選挙結果がひっくり返り、これほどの自民大勝にはならかったかもしれない。因みに投票率が上がった事による自民党への同情票は1割程度と推計されている。
このまま埋もれさせてしまうには惜しい優れた番組なので、以下に内容を紹介する。
「全てを統一する」という文鮮明の野望は、戦前日本の神がかり思想「八紘一宇」と酷似している。文鮮明は日本の植民地支配下で「皇民化教育」を受けた世代だから当然「八紘一宇」についても教えられていたはず。つまり「万物復帰思想」は「八紘一宇」のパクリなのだ。
また、若い頃、日本の警察に逮捕されてひどい拷問を受けた経験があり、日本を心底恨んでいた。
「モーニングショー」は安倍晋三が「勝共連合」機関誌の表紙を飾ったのは2回と放送したが、実際には遥かに多い。ここまで来ると、もう「統一教会」のアイドルどころか「組織内候補」と言ってもよいレベル。
以上のように当時の時点で「モーニングショー」かなり深い所まで「統一教会」の闇を洗い出し、白日の下にさらした良心的番組だったと言える。
その後の番組では、他局が無視している統一教会国会議員秘書の問題を取り上げる気骨を見せた。だが、議員秘書問題は統一教会問題の急所と言える核心部分であり、自民党としては絶対に触れられたくない問題だった。
番組の進行途中で不自然な動きがあり、まだ時間がありパネルも沢山残っているのにも関わらず強制終了のような形で中途半端に終わらせてしまったのだ。
この一件で官邸に目を付けられたのは確実で、その後の「モーニングショー」の「統一教会報道」には急ブレーキがかかり、質量ともに他局に後れを取る事になる。
参政党の役回り
この後、参院選で1議席を得て国政政党になった「参政党」に話題が移ったのだが、自身も「ネトウヨ」だった「ネトウヨ評論家」古谷経衡が、ネトウヨ・カルト政党である「参政党」の解説をするというカオス状態。
もっとも、古谷経衡はだいぶ前に「ネトウヨ」を卒業したらしいが。
「参政党」や「N党」がなぜあれほど大量の候補者を立てられるのか不思議だったのだが、今回の「安倍晋三殺人事件」でカルト政党の資金源がバックにいる「旧統一教会」や日本会議、「幸福の科学」などの極右カルト宗教団体である可能性が浮かび上がって来たのは怪我の功名か。
「旧統一教会」との繋がりだが、参政党の創立メンバーである渡瀬裕哉は参政党結党2か月前の2020年2月には「天宙平和連合(UPF)」のイベントでスピーチしている。更に「統一教会」のメディアである「ワシントン・タイムズ・ジャパン」のエグゼクティヴ・ディレクターという役職に就いているので、「統一教会」側の人間と見て間違いはないだろう。
共同代表の赤尾由美は、装甲車のような街宣車で有名な行動右翼「大日本愛国党」初代党首赤尾敏の姪。2014年に「国防女子が行く」という本を出しており、赤尾敏の極右思想をしっかり受け継いでいる。
今年の8月21日に幕張メッセで「国政政党誕生予祝パーティー」という名の政治資金パーティーが開かれた。一般席2万円からSS席10万円のパーティー券を購入した6500人が集ったが、そうした集会に「統一教会」や「幸福の科学」の信者が大量動員されていたとしてもおかしくはない。参加者の大半がノーマスクというのがいかにもカルト政党らしい。
「参政党」や「N党」など「カルト政党」の役回りは、明らかに山本太郎の「れいわ」対策。無党派層の人気が高い「れいわ」を脅威に感じていた政府自民党・財界などの支配層とその取巻きが新たな「カルト政党」を作らせ、潤沢に金を与えてその躍進阻止を狙ったものと考えられる。
民主党が脅威だった頃に、自民公明が過半数割れした時の保険として「維新」を作らせたのと全く同じ図式だ。
参院選で「参政党」は、無党派層を中心に大量得票。その煽りをまともに食らった「れいわ」の伸びは、今回明らかに頭打ちになっている(得票率0.18%減)。
同時に最近は支持者の高齢化で基礎票が減り、無党派層に頼る傾向が強くなっていた日本共産党も得票を減らしたので、まさに一石二鳥。 自民党など支配層の目論見は、成功したと言えるだろう。
支配層の見え透いた戦略(謀略)にやすやすと引っかかって投票してしまう愚かな国民性も問題なのだが。
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