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映画ノート④ アートアニメ映画『ファンタスティック・プラネット 』(1973)
小さな人類オム族が巨大なドラーグ族にペットとして飼われている世界を描いたルネ・ラルー監督のSFファンタジー・アートアニメ。
昔、 一日だけの特別上映会があり、事前情報なしで観て、その奇想天外でシュールな世界にびっくり仰天した作品。
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逃げ出したオム族の母子がドラーグ族の子どもの巨大な青い手で弄ばれる冒頭場面のシチュエーションは、『ミステリーゾーン』の傑作エピソード「連れて来たのは誰?」にちょっと似ています。
宮崎駿は「ヒエロニムス・ボスの絵のようだ。」と言ったそうですが、沢山出てくる異形の生物や植物たちの造形は、ブリューゲルの絵からも影響を受けているように思えます。
作画には、フランス人の画家ローラン・トポールが協力しています。
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発想、主題、ストーリー、画、世界観などが、非常に独特でユニーク。 日本やアメリカのアニメとは立脚点が全く異なるため、逆立ちしても絶対に真似ができない思弁的かつ哲学的な芸術アニメ映画です。
主題は、簡単に言えば「レジスタンス」及び「革命」。 これもまた、昔のフランス映画らしいです。
終盤は、発想の飛躍が大きくてやや難解ですが、アニメファンならずとも一度は見ておくべき傑作だと思います。
ルネ・ラルーはこの作品の後、『時の支配者』(1982)『ガンダーラ』(1988)と2本の長編アニメを発表していますが、画は相変わらず素晴らしいものの作品内容はやや通俗的で、芸術性の高さという点では『ファンタスティック・プラネット 』に及びませんでした。