苦しかったら、助けを求めろ
最初はバクゼンさんの記事だった。“究極の見栄っ張り”は、涼しい顔で全部自分でやりたい、と。でも一人でカッコつけるのは可愛げがないし、やめたいし、もっと周りに感謝しなくちゃという、ご自身をさらけ出したとてもカッコいい記事だった。
私もちょっとそういうところがあって、“頑張り屋”と言えば聞こえは良いが、要するに人に甘えるのが下手なのだ。他人には良い所だけ見せたいし、手伝ってもらったとしても自分が気に入るようにしたいし、他人から心配されたくない。何より、出来ない人と思われたくない。だから自分からは「助けてほしい」とは言いづらい。
前クールでお気に入りだったドラマの最終回。HDDを整理してたら録画を消し忘れていて、何となく途中から見返してしまった。弱視の主人公は頑張り屋さん。自分のやりたい事と、周りに迷惑をかけたくないという気持ちの板挟みで悩んでいた時、父親から言われる。「一人じゃ出来ないことを誰かに手伝ってもらったら出来ることが増えるし世界が変わるよ」世界が変わるなら「助けてもらう」のも悪くない。
月9ドラマを観ていたら、現場に不慣れな女性刑事が思いも寄らないピンチに立たされる。目の前で先輩刑事が殺されかけていても「どうしよう、どうしよう」と焦るばかりでどうするべきか分からない。ふと先輩刑事の言葉を思い出し、同僚刑事にSOSの電話をかけた。「助けてください」
刑事として立派な働きは何も出来ていない自分にずっと自信が持てなかったのが、「おかげで助かったよ。ありがとう」と言われた。出来ることはあった。助けを求めることが出来ることだった。
韓国ドラマを観ていたら「つらいと打ち明けるのは勇気がいること」なんてセリフが出てきた。どうしたことかここのとこ、つらかったら助けを求めよと繰り返し言われている気がする。別に今つらくなくたっていつかこの出来事を思い出す日があるのかも知れない。
夜が明ける/西加奈子
思春期から33歳になるまでの男同士の友情と成長、そして変わりゆく日々を生きる奇跡。まだ光は見えない。それでも僕たちは、夜明けを求めて歩き出す。どれだけ傷ついても、夜が深くても、必ず明日はやってくる。 (GoogleBooks)
読みながら『誰も知らない』という映画を思い出していた。
この世には誰にも知られない不幸がある。
不幸の原因は様々だ。貧困もあれば、生い立ちや容姿や、差別やハラスメントや。そして「助けて」を言えない理由も様々だ。誰かを守るため、自分を守るため。認められたい、ダメな奴と思われたくない、見返したい‥そして負けたくない。だから頑張る。その頑張りは頑張る方向が違う事にも気付かない。気付いていたとしてもやめられない。だってやめたら負けだ。自分にはそのやり方しか出来ないと思っている。諦めているのだ。自分に手を差し伸べてくれる人がいるなんて思ってもいない。見回したらそういう人が案外近くにいて、案外簡単に助けてくれるかも知れないのに。そのことを知らない。助けてもらう方向に行動してこなかったから、知らないまま。でも教えてくれる人がいた。嫌いな人だったけど、相手も自分を嫌っていたけど、それでも「それじゃダメだ」と、「もうやめましょう」と、教えてくれた。
苦しかったら、助けを求めろ。
と、何度も言ってくれた。
ほらね、手を差し伸べてくれる人、いたじゃん。
なんか、すごいモノを読んだと思った。読みながら苦しくて辛くなって一旦本を閉じては、でもやっぱり読みたくて、また本を開くを繰り返した。そして読み終えた時は、私も一緒に長いトンネルを抜けた気がした。
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