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[小説]陽光が月肌を撫でる。

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ショートショートショートです。 大学生のお話
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#休日のすごし方

[小説] 陽光が月肌を撫でる。 (6)

[小説] 陽光が月肌を撫でる。 (6)

前回までのお話は....

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 パンケーキの横にたっぷりと添えられた生クリームは、店員に運ばれながらふわふわと揺れる。

一様に小麦色に焼けたパンケーキの熱で、少しずつ溶け始めた生クリームはなんだか女の子のほっぺたみたいだった。

 少しの間溶けていく生クリームを眺めながら、フレンチトーストが給仕されるのを2人で待った。

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[小説] 陽光が月肌を撫でる。 (5)

[小説] 陽光が月肌を撫でる。 (5)

前回までのお話は....

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 改札へ向かう間、僕は今日いろんなことを考えすぎているなと懲りずに考えていた。

 街中の広告と画面の中の広告について、この街の空気とグリンデルワルトの空気における光の減衰度合いの差異に関して、そしてまた広告について考えて、ついさっきまで女の子に関して考えていた。

あまりに精神世界に浸ってし

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[小説] 陽光が月肌を撫でる。 (4)

[小説] 陽光が月肌を撫でる。 (4)

前回までのお話は....

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 夜の七時五分前、人々はどこか目的地を目指してひたすらに歩を進めている。

女の子を待つ間、特にこれと言ってやることがあるわけではないから、女の子を他人の行き交う交差点から見つけようと注視していた。

陽が落ちた交差点を行き交う人々の頬を照らすのは、信号機や過剰に装飾された広告(若手女優がハイ

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