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社内で葛藤発表会をやってみたよ。

まずは結論からマジでいいので、絶対にやったほうがいい

そもそも葛藤発表会とはなんなのか?
社員全員が半期を振り返り、感じた葛藤を思い出して、その葛藤とどう付き合ってきたかを発表し合う会です。

発表の内容としては、すごくザックリこんな感じです。

Aさん
葛藤:自分の専門性はなんだろう、、、、営業?カスタマーサービス?
これから:いったん目の前の仕事を全力でやろうと思います

Bさん
葛藤:システム開発において技術コンプレックスがある
これから:ヒアリングや業務理解が強みなのを再認識、技術は必要に応じて習得すればいいや

Cさん
葛藤:前職と比べて、業務の領域が広く、対応しきれていない自分がいる
これから:まずは体を健康に保って、対応しようとするファイティングポーズをとることからスタート

などなどです。

で、そもそもなぜこんな企画を考えたのかですが、、、

社員が持てる能力をいかんなく発揮する環境は、どんどん挑戦して、失敗しても、すみやかに切り替えて次に進める環境だと思っています。それには失敗が叱責されないとか、失敗が評価を下げることにならないとか、失敗がオープンに共有されているとかであろうと。んで、これもうちょい拡大解釈すると、失敗だけでなく、悩みや弱さや葛藤(愛しさとか切なさとか心強さとか)などをお互いに認識されているといいんじゃないか。悩みや弱みや葛藤が、明らかになったり、知られたとしても、今までとは、なんら変わらず仕事ができている状態がいいのでは。

こう思ったのは、経営者の集まりに月1回定期的に参加していて、そこは秘密厳守で悩みや葛藤を共有するんですが、イケてる経営者に思えても、下手な手をうったり、いろいろ悩みを抱えていて、それを聞いたからと言って、会社やその人の評価は下がることはなく、むしろ親しみが湧くというか、逆にオレも頑張ろうと思うようになるというか。そんな経験をしたからです。

たしかに悩みや弱みや葛藤は、成果をだすべき仕事上ではなくてもいいものです。ただ、その不要とも思える悩みや弱みや葛藤を共有することで互いがんばろうと思えるのではないか

弱みや悩みや葛藤の共有とは「存在の承認」なのではないか。いきなりで失礼しましたが、260万部売れている「嫌われる勇気」の著者、岸見さんが、書いたこの本を読んでいて、そんなことを思いました。

組織として力を発揮するには、能力の評価だけではなく存在の承認が必須なのでは??

当然、社員の存在を承認してないわけではないんですが、あえてそこを強調した会話で、社員に伝えていたわけではないですし、「存在を承認しているよ!」と伝えるのはそんなに簡単でもないかなと。で、伝え方の1つとして、特にスキルや能力が必要としている会社においては、弱みや悩みや葛藤を知ったとしても、今までと変わらない状態で会社にいられるというのが、わかりやすく「存在の承認」として受け取ってくれるのではないかと。(私の仮説です)

とした時に、どうしたら、社内でその人の悩みや弱みや葛藤がオープンになり共有されるのだろうか。

弱みや悩みや葛藤を明らかにすることにはそれほどメリットがないです。何をやっていいかもわからなかったので、とりあえず自分が悩みや弱みや葛藤を話すところから始めました。で、昨年度は私(経営者)がうまくいかなかったことを随時発表していました。狙った施策が全く当たらなかった申し訳ないとか、実は会社員時代こんな失敗をしたとか、ラップバトルの大会に出場したがボコボコに負けたとか、子どもが全然保育園に出発しようとしなくてイライラが最高潮に達したとか、実は決断が早いのではなくて保留状態が苦手なだけなのです、などなど。これがうまく機能しているかはわからないですが、話すようにしてきました。

この本がリーダーが弱みや悩みや葛藤をオープンにすることの重要性を説いています。

これにより私や会社への評価が下がるかもしれないですが、隠しても隠し切れるわけでもないし、そもそも、社員からしたら、「今さら何を、そんなのは百も承知ですが、、、」ってことかもしれないです。

そんなことを1年間ぐらいやってきて、効果が出ているかは正直わからないですが、状況が悪化しているわけでもないので、試しに葛藤発表会をやってみてもいいかなと。いい効果が見えなかったら1回でやめればいいわけですし、公表する葛藤や悩みにも制限を設けなかったので、その人にとって聞かれてもいいような葛藤や悩みになるはずですし。ってなことで、社員に説明して企画をスタートしました。開催の1ヶ月前ぐらいからですかね。

投資としては、事前準備30分×社員数、人事部の準備工数として数人日、当日3時間×社員数、外部への支払いはゼロ、なので、大きな投資金額ではありません。これも良いところ。当然、研修を外部講師やファシリテーターに依頼する場合もありますが、本企画に関しては、社内だけでも十分にできるかなぁという印象です。

発表は一人あたり3分。スライドは3枚(自己紹介/葛藤/これから スライドのフォーマットは事前に配布、デコレーションに凝らないように)。発表会当日までに業務時間30分を活用して、事前にプレゼンを完成させておきます。フォーマットを決めていたことで、聞く側の負荷は圧倒的に減ります。次にどんなスライドが来るかもわかりますし、構成もわかりますし、話の中身に集中できます。

午前中をまるまるつかいます。対外的な対応はストップし、会社全体でこの葛藤発表会に全集中です。リモート勤務のメンバーもこの日ばかりは出社して参加してもらいます。

んで、他人の発表を聞いた際に、想起されたこと、思い出したこと、を自分のためにメモします。事前にそれぞれにフォームを準備。また、発表者へのアドバイスは禁止です。「オレもあったよ、こう考えればいいんだよ!」みたいなのは不要です。

また、今回は、社外の方々にゲスト(聞き役)として招きました。社外の人がいることで、発表の背筋が伸びる効果と、社外の客観的な視点でコメントをもらうためです。今回は、地域の経営者、金融機関の方、大学のキャリアセンターの担当者にお越しいただきました。(ちなみに、社外ゲストがいなくても十分に成り立ちそうです。)

社外の人を招くのは、ある種、勝負的なものがありまして、自社の実力がわかってしまう可能性もあるわけです。金融機関は今後の付き合い方にも影響が出る可能性もありますし、キャリアセンターは学生に紹介しない結果にもなりうると。しかし、もちろん逆もあります。

各々の評価はどう転ぶかわからないですが、社外にもオープンであるスタンスは評価されるだろうとは思っていました。あと、そもそも弱さはさっさと公開したほうが、長い目で見れば近道になるだろうとも思っています。

で、企画して1ヶ月ぐらい経った2024年4月10日(水)の午前中にやってみました。葛藤発表会。

冒頭にお伝えした通り、めちゃめちゃ良かったです。。。。これは、マジですごい、、、

何が良かったのかというと、、、

  1. 誰が何を悩んでいるか、悩んでいたかがよくわかった。

  2. 経営者(特に創業者)はある程度、自分でやってきている分、なぜできないかがわからない場合があるわけですが、どこでつまづいているかがよくわかります。これは本当に学びになります。

  3. 例えば、ヒアリングが苦手なのではなく、そもそもコミュニケーション自体に苦手意識があるとか。

  4. 例えば、商材の知識は獲得したけど、この顧客には、どの商材を紹介すべきかで悩むとか。(発表者は、「数学の問題集はカテゴリー決まっているからできたけど、入試問題は、どのカテゴリーの問題かわからなくてできなかった」と秀逸な例えをしていました)

  5. 時間軸もさまざまでした。自分で結論を出すまでに必要な時間もそれぞれでした。(そりゃそうですよね、、、)

  6. 肩書きや専門性に対する悩みも多かったです。この肩書きや役職の仕事が満足にできているのか、そして、これから何を追求すればいいのか、専門性は必要なのかなどなど。逆に、肩書きがしっかりしたことで仕事をやりやすくなったともありました。(創業者は全部やるところからスタートしたので、この手の悩みを感じたことはなかった)

などなど書ききれないです。

  1. 社員からの感想としては

  2. 管理職の◯◯さんも悩んでいることを知れて良かったです

  3. 悩んでいるのは自分だけではなかった

  4. 他人の葛藤解消法を試してみようと思った

  5. 親近感が湧いた

  6. 他のチームの人の話が聞けて良かった

などなど他にもいっぱいでてきました。

ゲストのコメントとしては

  1. こういう悩みを共有できる会社であることが、すごい

  2. 社長(私のこと)としか話していなかったけど、社員さんのことが知れて良かった

  3. 採用では、売り手市場であり、若者が過保護になってしまう危惧があったけど、こういう悩みを聞けて少し安心した

と好意的なコメントをいただきました(否定的なコメントができる環境ではないですが、限りなく本音に近いのではと思っています)

もしかしたら、頻繁に飲み会をやっていると、弱みや悩みや葛藤は共有されているのかもとも思ったりしますが、時短勤務の社員も多く、全員が飲み会に参加するわけでもないし、飲み会だと忘れちゃうし、面倒なアドバイスも受けてしまうし、葛藤発表会の方がヘルシーだなぁと思いました。

ということで、葛藤発表会の共有でした〜。

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