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お盆休みになったので、「涼しいうちに」と手のひらサイズの缶ビールをふたつ持ち、近所の公園にやってきた。夫らはまだしばらく家で寝ているだろう。 父が亡くなった年を1とすると、10年経った今年は11にあたる。これまで2、3、5、7と現れてきたから、きっと会えるはずだ。世の中には13年や17年など、特定の周期で現れる「素数蝉」なるものがいるというが、ある意味こちらは「素数父さん」である。 最初、2の年のときは驚いた。父が好きだった銘柄を一緒に飲む「つもり」に過ぎなかったから。蝉
君が見せてくれたもの それは素敵な景色 そして 可能性があるか分からない未来 いくら手を伸ばしても 届くか分からない未来 夢だと 笑われてしまいそうな ふたりの願い 俯いても見上げても 答えはない 右も左も前も後も分からずに進む 最期には ふたり笑えるように Photo by junako