亡き母の口癖を愛犬が実証した話
母は、生前いろいろなことを諺で教えてくれる人でした。諺以外でもよく口にしていたのが
「悪いことはできない」
という言葉。
悪いことをすれば必ず知られてしまう、自分に返ってこない悪事はない、だから悪いことをするものではない、というのが母の教えだったのです。
そして、この母の教えを亡き愛犬ぷるが実証してくれることになったのでした🐕
あれは、ぷるがまだ1歳になる前だったと思います。
当時、夫はまだ会社員として働いていました。そのため、平日の日中は夫は不在。在宅ワークの私とぷるの2人で散歩に行くことも珍しくはなかったのです。
とはいえ、私は複数の仕事を抱えていて多忙でもあった時期。時間が取れず、仕事を終えた夫が1人でぷるを散歩に連れて行くという日もありました。
そんなある日のことです。
その日もぷると私の2人で散歩していたわけですが、近所のコンビニが見えてくると、ややテンションが変わって小走りになるぷる。私を引っ張り、真っ直ぐコンビニに向かって行きます。
「どうしたの?ぷる。コンビニには寄らないよ」
しかし、ぷるは、私の方を見ながら何処かへ誘導しようとしている様子。そして、お店のすぐ脇にある水道まで行くと、私の方を見ながら
「ウォッ!ウォッ!」
と何か訴えてきます。訴えてはいるのですが、何の変哲もないただの屋外水道です。何を言いたいのかさっぱりわかりません。
「ぷる、何もないよ。行くよ」
そう声をかけると、納得したのか再び歩き始めたぷる。その後は、特に何もなく散歩を続け、無事に帰宅しました。
散歩中のぷるの様子が不可解で、その日の夜、夫にも話してみました。すると、夫の顔色が変わっていくではありませんか!そして、ぷるの不可解な行動の原因は夫であることが判明したのです。
ぷると2人で散歩しているとき、タバコが買いたくなった夫。迷った末にコンビニに立ち寄ったそうです。しかも、外の水道にぷるのリードを掛けて。
つまり、ぷるは私に
「あのね、ここに置いていかれたんだよ!」
と訴えていたのでした。丁寧に、現場である水道まで誘導して教えていたわけですね。
この話を聞いた私は流石に怒りました。ものの数分とはいえ、あんな治安の悪かった場所でぷるを1人にするなんて、盗まれていたらと思うとゾッとします。
そのときのトラウマなのか、その後のぷるは、少しでも私たちから離れることはまったくありませんでした。
車で移動したときも、目的地に着いた途端、一緒に降りようと大騒ぎをする子に成長。置いて行かれたことが相当怖かったようです。
まさかぷるに告げ口されるとは、夫も思わなかったでしょうね(笑)。
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