読書感想「やさしいため息」
「ノートを閉じている今、不思議と目に浮かぶのは、見知らぬ人々の生活を記した筆圧の弱い字より、その字を次の字へとつなぎあわせている余白の部分だった。」(本文114頁)
久しぶりに青山七恵さんの作品を読みました。
読んでみて思ったのは、やっぱり僕はこの人の小説が好きなんだなぁということでした。
独立した風景が淡々と連続するだけではあるものの、読み取るべきは登場人物の心情だけでなく、その風景と風景をつなげる余白にあると思いました。
書かれていない部分を読ませる、行間にある風景を連想させる文章づくりは、読んでいて引き込まれるものがあります。
一度読んですべてが理解できるのも素晴らしいですが、口あたりの良い余韻を残しつつ、ふと読み返したくなるような小説が、青山七恵さんの持ち味なのかなと感じました。
思わず、はぁ…となってしまいます。
やさしいため息って、もしかしてそういう意味…?
もう少し、青山七恵さんを掘り下げてみても面白いかもしれませんね。
それでは、またいつか。
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