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【映画】「見える幸福度」と「見えない幸福度」~渋谷佐世保TANPEN映画祭「幸福指数」等感想(ネタバレあり)

 渋谷佐世保TANPEN映画祭は、渋谷と佐世保で開催される短編映画のイベント。私は、ここ数年、開催日のうち都合がつく日には観に行っている。無料とは思えないほど見ごたえのある作品ぞろいで、短編映画とはいえ、それぞれの世界にひたるのが面白い。なかなか全部は観ることができないのは残念だけれど。
 今年は今日と明日、2日間にわたって上映される。今日は観に行くことができた。上映されたもののうち一部の作品だけど、FirstSelect(一次選考通過作品)を鑑賞することができた♪
 覚え書きのように、特に印象に残った作品について一言ずつ感想などを書いておきたい。

会場は渋谷KINOHAUS2階のユーロライブ

【一般部門】

「クジラの背中で話すコト」(監督:門田樹)

 なんか、いい。さわやかで、じんわりとよい映画。
 実写だけれど、どこかアニメのような寓話のような不思議な感覚になる。 
 実写だけれど、主役の少年少女が大きなシロナガスクジラの背中に乗りながら話している映像が頭に思い浮かぶ。また、そんな妄想を少年少女がそれぞれにしながら砂浜で話している感じ。同じ妄想をしていたら、もうその妄想は2人にとっては現実なのではないか?「2人の世界」って、「恋人の世界」とも通じる感じがする。
 門田樹監督は、登壇した時の雰囲気が、この映画の主人公のクジラマニア少年とピッタリで、ビックリした。絶妙なバランスで、いい意味でマニアなオタクな感じが漂っている。心地よい感じで漂っているのが逆にスゴイと思う。ホントに他の人が真似しようとしてもなかなか真似できないような絶妙な感じでイイ。
 9割くらいはマニアックなクジラの話なのに、全体的にすがすがしくてさわやかな恋愛ものになっているし、繰り返し観てみたくなるような心地よい空気感がある。
 この映画の門田監督は、なんと「幸福指数」の主演をしているというのも驚いた。しかも、今日してきた格好が、自分が監督した映画に合わせたファッションではなく、自分は一俳優として主演した西井舞監督の映画に出演した時のファッション、というのも面白い。なんというか、「欲のなさ」みたいなものを感じる。門田監督の映画はYouTubeで観ることができるものも多いようなのでチェックしたいと思った。

「探偵は映画を見ない」(監督:渡邉高章)

 八王子Short Film映画祭グランプリ「最後の生活」の監督。「最後の生活」は、会場で観て、じんわりととてもよかったので投票した作品(八王子映画祭は、会場の観客が投票して決まる賞もある)。なので、「最後の生活」の監督ということで期待値高く鑑賞した。
 「最後の生活」とはまた違ったテイストで、引き出しが多い監督なんだなぁ~と思った。全体的に横浜感が漂う。レトロなムードも心地よい。映画が好きな気持ちがあふれている映画。
 「そうきたか」と展開させておいて、「これから」というところで終わってしまうのが残念。続編も撮影していて現在編集中ということなので、観ることができる日を楽しみにしたい。

ピンボケになってしまったけれど…UP☆

「幸福指数」(監督:西井舞)

 すごくよかった!
 携帯の画面が割れたり財布を落としたり…と、不幸続きの主人公が、「お祓いした方がいいのかも?」と思いながら通りかかった神社にお参りすると…自分を含めて、色々な人々の頭の上に数字が見えるようになる。主人公の頭の上の数字は「マイナス3」。見かけた中での最低数値は「マイナス20」で、最高は「100」。その数値は、人それぞれの幸福度を表す「幸福指数」のようだけど…偶然、「マイナス20」の人や「100」の人と何回も関わっていくと、パッと見ではわからなかったこともみえてくる。「幸福指数」とは?幸福とは?という、導入&テイストはコメディだけど、色々と考えさせられる深い味わいのある作品。
 おばあさんの指輪を探すシーン、ウルっとしてしまうくらい感動した。
 「幸福指数」が100もある人が、その人自身は自殺したいと思うくらいに自分の人生「もういいかな」と考えている反面、「幸福指数」がいつもだいたいマイナス20(主人公が見かけた人の中ではダントツに低い幸福指数)の中年男性が銭湯の湯船につかるだけで最高に幸せそうで湯上りに牛乳を飲むだけで「幸福指数」が上がるのが面白かった。「幸福指数」が低いのに幸せそうな中年男性に主人公が幸福について聞くと、「幸福かどうかなんて考えたことない」と幸せそうに言う。それが一番幸せなのかも?と思う。
 最終的に、主人公は「幸福指数は目に見える幸福でしかない」と気づく。「目に見える幸福度」が高くても「目に見えない幸福度」が低くて死にたくなる人もいるということか…なんか、深いし、考えさせられた。でも、すごくわかるような気がした。「目に見えない幸福」をどのくらい感じられるか、という方が「幸福感」につながるのかもしれない。とはいえ「目に見える幸福」も少しは必要かも?一言で言うなら「幸せは心の持ち方次第」ということなのだろうけれど…色々と考えさせられた。
 監督は来場されていなくて残念だったけれど、主演の門田樹さんが本当にいい味を出していてよかった。私に「主演俳優賞」というものを決める権限があるのなら差し上げたいくらいだった。

ピンボケで申し訳ないですが、せっかく撮ったのでUP☆
ボカシのようにピンボケですが…手を上げているのが主演の門田樹さん☆

【学生部門】

「Dandelion」(監督:Ling Zhao, Zhengwu Gu)

 怖い感じだし残酷な感じでもあるし…でも、最後に無数のタンポポの綿毛が舞い上がる美しさが素晴らしくて、描きたいシーンも、撮りたい気持ちも伝わって来て、すごく印象に残った作品☆

【SSTFF 8th Original】お茶の子、歳々。(監督:廣田耕平)

 この監督も八王子Short Film映画祭で受賞している監督だった!渡邉高章監督とは違う年に準グランプリを受賞していた。八王子Short Film映画祭で受賞した監督が他の映画祭でも受賞しているのは、なんか嬉しい。
 私は、この監督の作品で以前観た「ラの♯に恋をして」よりも、今回の作品の方が好きだと思った。個人的好みでしかないけど。
 何より、おじいさんがお茶をいれるしぐさが、よい。茶葉が開いていく映像もステキで、お茶の香りが立ち昇ってくるようだった。渋谷で若者とプリクラを撮るのも、ありそうな展開で面白い。「松濤」の家が本当に松濤らしい豪邸なのも、「よくぞこんな家を見つけた」というロケ地で素晴らしいと思った。
 「松濤」でお茶を作っていた時代があるなんて、ビックリした。渋谷の街の描き方も、リアルでありつつ、いい感じに描いていてよかった。

明日は2日目~だけれど、私はまた来年☆

 明日は2日目☆~私は明日は都合がつかないので、また来年行きたいなぁ…

また来年☆

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