【本】「宿題ひきうけ株式会社」って、金融教育の最適テキストでは?
子どもの頃に読んだ本をふと思い出すことって、ある。
自分はお金や仕事について、どんなことを学んだか考えてみた時に、ふと「宿題ひきうけ株式会社」(古田足日)(理論社)を、思い出した。図書館で探してみると、初版はすでになかったが「新装版」があったので、借りてみた。
この本を最初に読んだのは、小学生の時。「友達の宿題をひきうけて金儲けをする会社を小学生が作る」という展開に衝撃を受けた。さらに、機械化が進んでリストラに合う人々の話など、小学生には新鮮だったのを覚えている。
改めて読んでみると、やっぱり導入部分が秀逸。グイグイ引き込まれる。が、途中の「花忍者」という話が記憶になかった。「忘れてしまうものだなぁ」と思ったが、あとがきを読むと、その話は新版になって差し替えられたらしい。が、それ以外は以前読んだ時のまま。機械化が進んでリストラに合う人々の話などは、時代は違っても似たようなことは起こるものだと思った。「そろばんができる」というだけで重宝されていた人達が電子計算機の普及でリストラに合う展開など、技術の進歩によって重宝される職業が変わっていくところは、現代にも通じる。歴史は繰り返す。
小学生の時、この話を読んで「勉強とは?」「働くとは?」と考えさせられた。考えさせられた、というか、頭からバケツ一杯の水を浴びせかけられたような衝撃を受けた。
そして、「機械に取って代わられないような仕事がしたい」と思ったのを覚えている。
今、「子どもの頃からの、お金の教育が大切」と言われてきている。それ用のテキストのような本もたくさん出回っている。が、「お金とは?」「仕事とは?」ということの本質をじっくり考えるのには、この本のような物語というのは、すごくいい教材になるのではないか?と思った。
「友達に宿題のやり方を教えるのはいいのか?」「解答まで教えるのは?」「家庭教師なら、お金を取っているのだから、勉強を教える対価としてお金を取るのは?」色々と考えていくもとになりそうだ。
「お金の教育」といっても、お金の価値も制度も変わっていくのだから、根幹としては、「お金について考える」ということだろう。この本は、お金について、仕事について、子ども目線で深く考えさせるきっかけとなる、いい本だと思う。