小島秀夫 『メタルギア』から『デス・ストランディング』への本棚
はじめに
小島秀夫氏は、ゲーム『メタルギア』シリーズや『デス・ストランディング』を手掛けた世界的なゲームクリエイターである。
この記事では単行本『僕が愛したMEMEたち いま必要なのは、人にエネルギーを与える物語』(メディアファクトリー、2013)
と、その文庫版『創造する遺伝子 僕が愛したMEMEたち』(新潮社、2019)
を通して、小島秀夫氏のゲーム作品も含めて紹介していく。
「メタルギア」シリーズについて
1987年から始まり、2015年に完結した長寿シリーズ。
敵地に、時には丸腰で潜入し、核攻撃を防ぐなどの目的を達成するゲームである。
特徴は「できるだけ敵に見つからない・戦わない」というプレイスタイルを基本としていることだ。
これはシリーズで一貫している。
主人公は「スネーク」というコードネームで呼ばれる。
スピンオフ作品を除くメインのシリーズ内ゲームタイトルは以下だ。
( )内は日本での発売年
メタルギア(1987年)
メタルギア2 ソリッド・スネーク(1990年)
メタルギアソリッド(1998年)
メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ(2001年)
メタルギアソリッド3 スネークイーター(2004年)
メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・パトリオット(2008年)
メタルギアソリッド ピースウォーカー(2010年)
メタルギアソリッド5 グラウンド・ゼロズ(2014年)
メタルギアソリッド5 ファントムペイン(2015年)
PS3があればシリーズ全作品がプレイできる
結論を先に書くと、プレイステーション3があれば、上記の全作品をプレイできる。
『メタルギア』『メタルギア2 ソリッド・スネーク』
上記2作品は現在入手・プレイ困難だが、以下の方法などがある。
プレイステーション3『メタルギアソリッド HDエディション』
上記ゲームソフトは、タイトル名からは分かりにくいが、この1つのソフトで、シリーズ第4作『メタルギアソリッド2』と第5作『メタルギアソリッド3』だけでなく、第1作『メタルギア』、第2作『メタルギア2 ソリッド・スネーク』の4作品がプレイできる。
3作目にあたる『メタルギアソリッド』のみプレイできないので注意。
ただし次の通り、プレイステーション3で別途ダウンロードすることでプレイできる。
第3作『メタルギアソリッド』(ダウンロード版)
本来は初代プレイステーションの作品。
PS3またはPS Vitaにて、過去の名作をダウンロードできる「ゲームアーカイブズ」でプレイできる。
よって、プレイステーション3があれば、シリーズ第1作『メタルギア』から第5作『メタルギアソリッド3 スネーク・イーター』までプレイできる。
以降の作品もプレイステーション3または4で。
第6作『メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・パトリオット』はもともとPS3向けソフトなので、上記の通りPS3があればプレイできる。
『メタルギアソリッド ピースウォーカー』はタイトルにナンバリングがないが、最終作にあたる『メタルギアソリッド5 グラウンド・ゼロズ / ファントム・ペイン』にストーリーが直結しているので、ぜひプレイしていただきたい。
もともとはPSP向けソフトだが、『HDエディション』がPS3で発売されている。
シリーズ最終作『メタルギアソリッド5』は、前日譚の『グラウンド・ゼロズ』と『ファントム・ペイン』の2作品に分かれている。
以下のリンクはPS4向けソフトだが、PS3向けソフトもある。
そして、『メタルギアソリッド5 ファントムペイン』のラストシーンが、シリーズ第1作『メタルギア』に繋がる、というシリーズ構成になっている。
MEMEとは
遺伝子(GENE)では子孫に残すことのできない、文化等を伝達する素子についての概念で、『メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ』のテーマでもある。
なお、その前作『メタルギアソリッド』のテーマは遺伝子(GENE)だった。
ただし、小島秀夫氏はMEMEの意味について、厳密な定義をする必要はないとしている。
小島秀夫が愛したMEMEたち
前置きが長くなったが、今回の記事で紹介している書籍では、「小島秀夫作品」に伝播した文化的な素子、特に「本」について紹介されている。
単行本(2013年刊、中古のみ入手可)
第1章は、毎日書店に通うという小島氏が厳選した30冊の本の紹介(小島氏によれば「語り直し」)で構成されている。
これは雑誌『ダ・ヴィンチ』で連載されていたもので、時期的に東日本大震災と重なっている文章もある。
第2章は、本に加え、映画や音楽14作品について、比較的長く語られているエッセイ。
もともと小島氏が最も影響を受けたのは映画と公言しており、これについては別の書籍がある(絶版で相当のプレミアがついている)。
第3章は、万城目学、長崎尚志、花沢健吾、なばたとしたか、長谷敏司の5人のクリエイターとの対談である。
ただし刊行時期の関係もあり、『メタルギアソリッド ピースウォーカー』についての言及が多い。
これは後述するように文庫版ではカットされている。
第4章は小島秀夫氏のエッセイである。
世界的ゲームクリエイターとしての重要な文章であり、こちらも文庫版でカットされているのは非常に残念だ。
文庫版(2019年刊)
上述の通り、単行本から第3・4章がカットされ、一方で星野源との対談が加筆されている。
小島秀夫と星野源
対談相手が星野源なのは、唐突に思えるかもしれないが、実は2014年刊『星野源雑談集1』で2人は対談を経験している。
また、小島秀夫がコナミを退社、独立後の初作品『デス・ストランディング』内で、BGMとして星野源の楽曲が入手できるという仕掛けがある。
これは以下の記事が詳しい。
なお、2人はNHK番組『ゲームゲノム』でも共演している。
デス・ストランディング
ストーリー、世界観がコロナ禍と重なるとして話題になったので、ゲームに詳しくない人でも聞いたことがあるかもしれない。
舞台は未来のアメリカ大陸。
「デス・ストランディング」という謎の現象により、いくつかの環境変化が起こっている。
まず「時雨(ときう、Time fall)」という雨が降り、これに触れると時間が急速に進む。
人間であれば老化、物質であれば劣化し、植物であれば成長・開花・種子化・芽吹く、というサイクルが急速に起こる。
この時雨が降っている場所では「BT」という目に見えない謎の存在が出現する。
人間とBTが接触すると「対消滅(ヴォイド・アウト)」が発生する。
これは都市1つが消し飛ぶほどの規模である。
そして、人間が死亡し48時間経過すると、BTとなる。
そのため48時間以内に火葬(焼却処理)しなければならない。
概ね以上のような状況により、かつてのアメリカは残骸のみが残り、ほとんどの人々は地下で暮らしている。
この状況での問題は、都市間などの物質の輸送である。
主人公のサムは、これを担うフリーランスの「配達人(ポーター)」であるが、ある人物との再会と、ある「配達依頼」をきっかけに、「アメリカ大陸を東海岸から西海岸まで繋ぎなおす」任務の旅に出ることになる。
本作でも、基本的にはBTに「見つからない」「戦わない」というのが基本的なプレイスタイルになる。
『メタルギア』のMEMEも、『デス・ストランディング』に受け継がれている。
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