Seventeen's Summer 17歳の最終楽章2 第2話
「今のテストのやり方に不満があるのか」とトゴウ。
「ああトゴウにはそう言ったっけ。それもあるけど、それだけじゃなくて、それが原因で色々考えたってこと。大学に行って何するんだろうって思ったら、何もないよなーって思い始めてさ。まあ、俺のことはいいから、まあみなさんはテストを頑張ってくださいな」
ユウキは本を閉じると、腰を上げた。怒ってはいない、ただこの話をこれ以上続けたくはないと思った。
「いくよ」
毎朝6時20分、ケンシとユウキはどちらからともなく誘って寮を出る。ジョギングをするためだ。
「おーい、待ってくれよー」
息を切らしながらケンシがユウキの背中を追っている。たいていはユウキが前を走った。
「早く来いよ、俺もゆっくり走ってんだから」
ユウキは振り向いてケンシの姿を確認した。いっしょに走りたいのに、ケンシはゆっくり過ぎる。
6月の太陽は少しずつ体温をあげる。日中は外にいると汗をかくが、朝の6時半は最高の空気だと思う。海沿いを走っていると、まだ暖まっていない海風が体に吹き付ける。その風が熱を持ち始めた肌を心地よく冷やしてくれる。
晴天の空のもと、海を見ながらのジョギングはこのうえない至福の時間だ。毎朝6時半から近くの海岸をジョギングするのがユウキとケンシ、2人だけの日課になっていた。
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