Seventeen's Summer 17歳の最終楽章2 第3話
しばらくしてケンシが止まったのでなんとか自転車に追いついた。このまま近付ければ自転車に手が届く。
「わかった、明日から一緒に合わせるからさ、なーんて言うと思うか」
自転車の直前でユウキがそう言って自転車をつかもうとすると、ケンシが一気に加速し、またユウキを置き去りにした。
「はははは、そんな手に引っかかると思ったか」
逃げ切ったケンシが大声で笑った。そう言いながら自転車でぐるぐる円を描くように回っている。
「わかったよ、明日からケンシのスピードに合わせるからさ、な、その自転車を置いて来いよ」
ユウキが手を合わせてお願いのポーズを作った。なんとかケンシを走らせたい。ここで一人だけ楽をさせたらいけない、悪い癖をつくってしまう。なぜか親視線でケンシのことを見てしまう。
「マジで明日から俺のスピードに合わせてくれるなら自転車を置いてくるよ」
自転車をスイスイこいでケンシは一人楽しそうだ。
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