フェムテックって

先日、何度目かの「フェムテック」をテーマとしたお話をしてきました。
フェムテックとは、Female+Technology。
女性が抱える様々な困難を、技術によって解決する商品やサービスのこと。

たとえば、生理、更年期、出産前後のマイナートラブルなど。
ちょっと前に話題になった吸水ショーツや、さまざまな体を管理するアプリなどもその事例ですね。2年ほど前からこのワードは注目を浴びて、投資の対象にもなっているそうです。

私は、モーハウスという会社で、どこででも1秒で授乳ができる、しかも他人に気づかれない服を作っています。
この服は、私自身が電車内で多くの人に見られながら母乳を与えざるを得なかった状況(前回書きました)から、この現実を変えたい、という思いで作りました。

当時はもちろん「フェムテック」なんて言葉はありませんでしたが、
日本の伝統服であるキモノをベースに、助産師や母親たちの声や、時には研究機関との開発で作ったこの服は、フェムテックの先駆けとも言っていただき、時にお話をする機会をいただいています。

今回は、子育て中の議員さん、ベテラの助産師さんもお呼びしてのトーク。
さまざまに話が盛り上がったのですが、私が毎回伝えたいと思っていることがあります。

というのも、モーハウスにいらしていただいて、実際に授乳していることに全く気付かない体験をしていただくと、多くの方がこうおっしゃるんです。
「授乳服ってすごいですね!」

でも、私は違うと思うのです。

本当にすごいのは、私たち女性の身体です。
お腹を空かせて泣く赤ちゃん、不安でぐずる赤ちゃんを
ぴたり、と落ち着かせる、すごいツールを生まれながらに持っている。
(母乳が出ない人もいるのでは?という議論もあると思うので、
それはまた別の機会に書きます。これも知っててほしいこと)

私たちが作る服は、その、女性が持っている力を
どこでも使えるようにする、松葉杖のようなものなんです。
なぜなら、このすごいツールは、皆が見ているところでは使いづらいですから。

だから、フェムテックというのは、単に女性を助けようとして、
女性の本来持っている力を弱めてしまうものではなく、
その力を生かすため、エンパワーするためにあるものだと思うのです。

そう考えると、いちばんのフェムテックは、女性の身体なのかもしれません。
自然の仕組み、ヒトの体を上手に使うこと。
例えば母乳は、自然の仕組みなので、飲ませば飲ませるほど出るようになるし、親にも子にも免疫的・感情的、さまざまな面でメリットが出てきます。
これはSDGsそのものではないでしょうか。



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