「あれもこれもできてない」焦りから抜け出せた、メンターからのシンプルなひとこと
やりたいことがいっぱい。
目の前の仕事もいっぱい。
思うようにやりたいことができてない。
1年ほど前、ちょうど今くらいの年が終わりに差し掛かった頃、私は自分のパーソナルな目標が書かれたマンダラチャートを眺めながら焦っていました。
※マンダラチャートとは?(ご存知の方は読み飛ばしてください)
大谷翔平選手も使っていたことで有名な目標設定のフレームワーク。時間はちょっとかかりますが、大きな目標を具体化する上で役立ちます。
やり方はこんな感じ。
1. ひとつ大きな目標を決めておき、その目標を達成するための要素を8つ書き出します。
2. さらにその8要素に関して具体的にどのようなことを行うべきか、目標を細分化していきます。
ちなみに細分化された外側の8マスに関しては、思いつかなければすべてを埋める必要はありません。あくまで自分の目標を達成するための管理シート。
そう、こんな感じで1年の初めにやりたいことを明確にして、立派に目標を掲げたまでは良かったのです。
が、結局引っ越しだの仕事だのストレスだの、色んな理由をつけて、思ったように物事が進んでいませんでした。
他人の芝は青くみえるばかりで、「あの人はこんなことまでやっている」なんて勝手に羨んで自己嫌悪。
メンタル面の消耗が激しい日々が続く中で、ポジティブなエネルギーを回復しきることができず、「あれもこれもできてない」「人生の貴重な1年を無駄にしてしまっているのでは」と、ただただ焦りを募らせていきました。
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メンターとの1:1
外資系企業にお勤めの方は似たようなカルチャーがあるかもしれませんが、私が勤務している会社では一対一のミーティングを1:1(ワンオンワン)と呼んでいます。
上司との1:1ももちろんありますし、私は社内にいるメンターの方々(メンタリングの目的に応じて3人います)とも定期的に1:1で話をする時間をもらっています。
そのうちひとり、私が主にキャリア面の相談をお願いしているアメリカ人のメンターの方に、この話をぶつけてみることにしました。
現在30人のチームを率いる事業部長さんなのですが、明晰でバランス感覚に優れている方。色々な会社規模・職種の経験があり、今の会社内でキャリアを積むという話に限らず、もっと広い視野で話をしてくれるのがすごくありがたいです。
マンダラチャートはパーソナルな部分の話も含むのですが、見られて恥ずかしいような内容もほとんどなかったので、英語にしてそのまま見せてみることに。
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「なるほど、Big goalsがあって、それを支えるSmall goalsがあるんだね。」
メンターはマンダラチャートを眺めながら、面白い目標設定方法だと言います。
そして穏やかに「まず、Smaller goalについてだけど」と話し始めました。
I wonder if they are helping or just consuming your time and energy.
Small goalを細かく具体的にすることは、自分の役に立ってるのかな。それともこういうSmall goalをたくさん持ちすぎることで、単に時間とエネルギーを消費してしまっているのかな。
さっそく鋭い指摘。
そう言われると、できていないアイテムがたくさんあることに焦りを感じるばかりで、余計なエネルギーを使っていた気がします。
自分で意気込んで作り込んだ目標を消化しきれず、モチベーションではなくプレッシャーを与えてしまっていることに気付かせられました。
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Small goalだけではなく、Big goalの中にも全く手を付けられていないものがありました。
私がそこも気になるという話をすると、彼はこう一言。
I think it's okay.
別に良いんじゃないかな。
You may also consider that it’s okay to have a couple of big goals that you will still miss. Life changes and we have to change accordingly.
Big goalを2・3個逃すことになっても、それで良いって考えることもできるんじゃないかな。人生には変化が付き物だし、私たちもそれに合わせて変化していかなきゃいけない。
「実際、働く国も変えたところだし、今は変化が大きい時じゃない?」と。
It’s okay.
できていないことがあったとしても、それで良い。
このシンプルな言葉が、消耗が激しかった私の心にストンと落ちてきました。
私は何を焦っていたのだろう。
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その後私とメンターは、「本当に今やるべき・やりたいこと」に集中すること、そして「やらないで良いこと」を決めることについても話しました。
全部できてなくても良いし、失敗しても大丈夫。
そう意気込む私に、彼が最後に付け足したのが、この一言。
Just be careful to give yourself room to fail. It’s a careful balance.
ただ(何でも失敗して良い訳じゃないから)自分に失敗を許す判断は慎重にね。微妙なバランスなんだ。
話し終わった後、なんだか肩の力が抜けて気が楽になりました。
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人生の変化とアクセプタンス(受容)
なぜあの時、この「It’s okay」がここまで響いたのか後から振り返ってみました。
感じたのは、この「It’s okay」が、状況をありのままに受け入れて「それで良い」と思わせてくれる、受容の言葉だったからなのかなと。
当時の私に足りなかったのは、「今の自分にできないことがある」ことを受容して、できることから落ち着いてやっていく気持ちだったのではと思います。
30代になって、私自身も、私の身近な友人たちも、それぞれ様々な形で人生の変化を経験しているんだなと感じることがあります。
結婚・子育てなどのライフステージの変化で、自分のやりたいことができない人もいれば、そのライフステージの変化自体が上手くいかない人もいる。
体調を崩してしまう時も、消耗して何もできない時もある。更に今、コロナウィルスの影響もあって、変化に適応するだけでも思った以上にエネルギーを使ってる。
そんな変化を経験している私たちには、それぞれ「やりたいのにできていないこと」がある。身体も心も色々頑張ってるのに、できていないことに目が行ってしまう。
人生いつでも何でも思い通りに進むわけじゃない。
だからこそ、私が尊敬するメンターからもらった、この言葉を届けたいなと思うのです。
It’s okay.
今できていないことがあったとしても、それでいい。
ちょっとくらい失敗しても、大丈夫。
今日も、明日も。目の前のことから、できることからやっていこう。
(みつはぶろぐより転載)