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温故知新(56)西大寺観音院 龍宮城 浦島太郎(山幸彦 椎根津彦) 高野山奥之院 キメラ山 津峯神社 龍宮総宮社 浦嶋神社 鵜戸神社(龍宮) 亀石神社 報恩大師
西大寺観音院(写真1)は、会陽(えよう 裸祭り)で知られる高野山真言宗別格本山の寺院で、本尊は千手観世音菩薩です。本堂の妻飾には大きな龍の彫刻(写真トップ)があり、石門(龍鐘楼)(写真2)は龍宮城を思わせる作りです。西大寺観音院は、レイラインから須佐之男命(孝霊天皇と推定)や崇神天皇と関係があると推定され、垢離取場の中央にある観音像(写真3)は、豊玉姫命(倭迹迹日百襲姫命と推定)ではないかと思われます。
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日向(宮崎県)には記紀以来、「海幸彦と山幸彦」の神話が伝わり、これが浦島太郎のモデルになっているといわれます。山幸彦(孝元天皇と推定)の陵墓と推定される備前車塚古墳は、トルコ共和国エフェソスにあるアルテミス神殿とレイラインでつながっていて、豊玉姫命(倭迹迹日百襲姫命と推定)はアレクサンドリアと関係付けられ、箸墓古墳はキプロス島のオリンポス山とつながっているので、浦島太郎の話は、元はエーゲ海が舞台だったのかもしれません。
オリンポス山とフェニキア人の聖地だったと考えられているバールベックを結ぶラインは、アルテミス神殿の近くを通り、アフロディーテ(ヴィーナス)が誕生したキプロス島にあるキレニア(ケリネイア)の近くを通ります(図1)。チャタル・ヒュユクともレイラインでつながっているキレニアには、フェニキア時代より商港があり、発掘調査により、紀元前7世紀にさかのぼるギリシャの痕跡が明らかになっています。
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バールベックとオリンポス山を結ぶラインの近くに古代都市ファセリス(Phaselis Ancient City)があります(図2)。トルコ南部沿岸のアンタルヤの地には考古学的発掘によって4万年前から人が住んでいたことが分かっています。アンタルヤより80㎞にあるチュラルビーチ(Çıralı Beach)は、海亀(カレッタカレッタ)の産卵場所としても有名です(図2)。また、ビーチから3㎞山奥に入った所にキメラ山(Mount Chimaera)という場所があります。「キメラ」は、合成獣(グリフィン)で龍の起源です。ここは、古代から信仰の対象となってきた地面から天然ガスが噴き出し何千年も前の古代から消えることのない「不滅の炎」が燃え続ける場所です。
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古代都市セリヌス(Selinus Ancient City)とナクソス島のアパリロス城(Apaliros Castle)を結ぶラインの近くにキメラ山(Mount Chimaera)があり、アパリロス城(Apaliros Castle)とキプロス島のキレニア城(Girne (Kyrenia)Castle)を結ぶラインの近くにロードス島のアクロポリスがあります(図3)。
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キメラ山(Mount Chimaera)は、ナクソス島とつながっているので、品陀真若王とも関係があると推定されます。伊吹山や神武天皇社と同じレイライン上にある高野山奥之院には、1,000年以上灯り続ける「不滅の聖灯」があります。高野山奥之院とキメラ(キマイラ)山にあるキマイラ教会跡(Chimaera church ruins)を結ぶラインは、チャタル・ヒュユクの近くを通ります(図4)。空海は景行天皇の後裔で丹生氏とも関係があると推定されるので、このラインは、丹生氏や古代天皇がチャタル・ヒュユクと関係があると推定されることと整合します。
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摩耶山は、チャタル・ヒュユクとレイラインでつながっていますが、このラインの延長線は、古代都市ファセリスの近くを通り、「キメラ山上部の火(Mount Chimaera upper fire)」に到達します(図5)。
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メンフィス博物館とブラウロン(Brauon)の遺跡を結ぶラインの近くには、サントリーニ島にある古代ティラ遺跡があります(図6)。アルゴリス(Argolis)とラト遺跡(Ancient City of Lato)を結ぶラインの延長線は、メンフィス博物館とブラウロンの遺跡を結ぶラインとアレクサンドリア沖で交差します(図6)。
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図6のラインの交点とブラウロンの遺跡ともレイラインでつながっているおのころ島神社(兵庫県南あわじ市)を結ぶラインはキレニア(ケリネイア)の近くを通り(図6)、出雲大社や五社大明神と呼ばれていた孝霊天皇を祀る高岡神社(岡山県真庭市)の近くを通ります(図7)。このラインは、船通山や阿字八幡宮の近くも通ることから、須佐之男命(孝霊天皇と推定)と関係があると推定されます。このラインは、伯耆国一ノ宮 倭文神社と大山祇神社を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図7)。
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ポセイドーンはアトランティスの人々に崇拝されましたが、海洋を支配する神であったので、海上交易が盛んなイオニア系ギリシア人に特に信仰されたようです。須佐之男命も海を支配する神なので、図5の交点付近の海底には、もしかすると、ポセイドーンの遺跡があるのかもしれません。ポセイドーンの象徴となる聖獣は馬、牡牛、イルカで、聖樹は松です。ポセイドーンの宮殿は大洋の中にあり、珊瑚と宝石で飾られているとされるので、龍宮城のことかもしれません。
クレタ島のラト遺跡と瓊瓊杵尊(饒速日命)や丹生都比売命(市杵島姫命 稚日女尊 瀬織津姫命 罔象売神 名草戸畔)の墓があると推定される天王山古墳群を結ぶラインの近くには、日御𥔎神社(鳥取県西伯郡大山町)、那岐山、牛頭天王の総本宮である廣峯神社(兵庫県姫路市)があります(図8)。那岐山は、ラト遺跡(北緯35度10分)と同緯度にあります。アポロンとアルテミスの父はゼウスで、アポロンとアルテミスは双子ですが、丹生都比売命が女神レトに例えられたか、あるいは、女神レトの生まれ変わりと見なされたとすると、瓊瓊杵尊(饒速日命)がゼウス、海幸彦(長髄彦 名草彦命)がアポロン、山幸彦(椎根津彦 孝元天皇)がアルテミスに相当します。これは、孝元天皇の陵墓と推定される備前車塚古墳が、アルテミス神殿とつながっていることと整合します。
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高倉下命(山幸彦 椎根津彦 孝元天皇と推定)をまつる高倉神社(新宮市高倉)と聖ミカエルの山を結ぶラインは、丹生都比売神社の近くを通り、このラインは、紀三井寺(和歌山市)と白龍大神(橋本市)を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図9)。紀三井寺では、龍宮乙姫龍灯献上行脚が行なわれています。紀三井寺と白龍大神を結ぶラインの近くには、貴志川八幡宮(紀の川市)、普賢寺(橋本市)があります(図9)。
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浦島太郎の龍宮伝説発祥の地のひとつに、香川県三豊市詫間町があります。賀志波比売命(天照大神)と大山祇大神(加具土命と推定)をまつる津峯神社(徳島県阿南市)と、須佐之男命と関係があると推定され、合成獣(グリフィン)が誕生したスサを結ぶラインの近くに、空海の生誕の地である善通寺市、詫間町、大麻山神社(島根県浜田市)、京都御所とジェッダを結ぶライン上にあり、徐福とも関係があると推定される天津があります(図10、11)。龍宮城が『丹後国風土記』では蓬莱山、『万葉集』の浦島子歌では「常世の国」となっているのは、神仙思想の影響と思われます。大麻山神社は、大麻比古神社(徳島県鳴門市)の祭神の天太玉命(伊弉諾尊と推定)(阿波忌部氏の祖)を勧請し建立された神社です。
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阿南市には龍宮総宮社があり(図11、13)、龍宮総宮社と、須佐之男命(孝霊天皇)と関係付けられているメンフィスを結ぶラインは、 香川県にある塩飽諸島(しわくしょとう)の粟島(三豊市詫間町)を通ります(図12、13)。粟島には、太郎と乙姫ゆかりの姫路の浜や、亀を祀った亀戎社(かめえびす)があります。また、このラインは、金刀比羅宮(香川県仲多度郡琴平町)や天ノ岩座神宮(広島県安芸高田市)の近くを通ります(図13)。大槌島の付近の海底には龍宮城があるともいわれます。
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チャタル・ヒュユクとレイラインでつながっている龍宮総宮社とオリンポス山を結ぶラインは、弘法大師空海が創建した四国八十八ヶ所霊場 第20番 鶴林寺(徳島県勝浦郡勝浦町)、鹽竈神社(岡山県倉敷市)、大呂神社(島根県出雲市)、須佐神社(須佐大宮)の近くを通ることから(図14)、龍宮と空海や須佐之男命とのつながりを示していると推定されます。このラインは、宮崎県日向市の鵜戸神社(龍宮)と京都府与謝郡伊根町の浦嶋神社(宇良神社)を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図14)。鵜戸神社(龍宮)と浦嶋神社(宇良神社)を結ぶラインは、粟島や西大寺観音院(岡山市東区)の近くを通ります(図14)。これらは、龍宮で関係付けられていると推定されます。
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珍彦命(椎根津彦 大国主命と推定)と海童神(わだつみのかみ 須佐之男命と推定)をまつった岡山市東区水門町にある亀石神社(かめいわじんじゃ)とスカラ・ブレイを結ぶラインは、西大寺観音院を通ります(図15)。
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西大寺観音院とチャタル・ヒュユクを結ぶラインは、空海の創建と伝えられる祇園寺(岡山県高梁市)や、奇稲田姫命を祀る稲田神社(島根県仁多郡奥出雲町)や、出雲大社(島根県出雲市)の近くを通ります(図16)。西大寺観音院の境内には、牛玉所大権現と金毘羅大権現を祀る牛玉所殿があります(写真4)。西大寺観音院には、もともと鎮守である牛玉所(ごうしょ)大権現が祀られていたので、須佐之男命(牛頭天王)と関係があると推定されます。西大寺観音院とチャタル・ヒュユクを結ぶラインは、楯築弥生墳丘墓(楯築遺跡)と石上布都魂神社(岡山県赤磐市)を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図16)。西大寺観音院と楯築遺跡を結ぶラインの近くには玉井宮東照宮(岡山市中区東山)があります(図16)。
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天平勝宝3年(751年)周防の国(山口県)玖珂庄に住む藤原皆足(ふじわらのみなたる)姫が観音菩薩の妙縁を感じて金岡の郷に草庵を開基し、千手観音を安置したのが創まりとされます。縁起にある藤原皆足は、別の記述では秦皆足となっているようです(吉備楽土)。西大寺の異なる創建説として、『備陽國誌』 によると、西大寺は備前四十八箇寺のひとつにして、報恩大師の開基に係るとあるようです(皆足媛の話)。また、西大寺観音院の創建説のある報恩大師の墓は、天台宗金山寺(岡山市北区)と高野山真言宗弘法寺(瀬戸内市牛窓町)にあるようです(皆足媛の話)。
弘法寺とオリンポス山を結ぶラインの近くに、報恩大師の開基として伝えられている瀬戸内市邑久町にある餘慶寺(よけいじ)、金山寺、熊野大社(松江市)があります(図17)。弘法寺と鬼ノ城跡を結ぶラインの近くには天照皇大神、豊受大神をまつる伊勢神社(岡山市北区)があります(図17)。鬼ノ城跡と鳥取県八頭郡若桜町の若桜弁天(江嶋神社)を結ぶラインは建部町建部を通り、このラインは、弘法寺とオリンポス山を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図17)。
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西大寺観音院とキレニア(ケリネイア)を結ぶラインの近くには、曹洞宗慈眼寺(岡山県新見市)、八束水臣津野命(須佐之男命 孝霊天皇と推定)をまつる長浜神社(島根県出雲市)があります(図18)。このラインは、明見宮と称した高木神社(広島県府中市木野山町)と倭文神社を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図18)。また、倭文神社と西大寺観音院を結ぶラインは、美作国二ノ宮 髙野神社や大廻小廻山城跡の近くを通ります(図18)。したがって、西大寺観音院は、豊玉姫命や開花天皇とも関係があると推定されます。大廻小廻山城は、備前国上道郡にあった神籠石系山城に運類される古代山城です。
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西大寺観音院と武当山を結ぶラインは、高木神社、竜神信仰の一種とされる藁蛇神事の残る大元神社(島根県益田市匹見町)、和多都美神社(長崎県対馬市豊玉町)の近くを通ります(図19、20)。和多都美神社には、彦火火出見尊(山幸彦)と豊玉姫命がまつられ、古くから龍宮伝説が残されています。武当山はロータル遺跡と幣立神宮を結ぶライン上にあり、武当山とおのころ島神社を結ぶライン上には、倭迹迹日百襲姫命(豊玉姫命と推定)をまつる讃岐国一宮田村神社があるので、龍宮伝説には、ロータル遺跡のミノア人やミタンニ王国のフルリ人が関係していると思われます。
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倉敷市の日差山(ひさしやま)(図21)の山頂にある日差寺には、報恩大師刻と伝承の毘沙門天の摩崖仏があり、報恩大師は日差山で修行後、藤戸に一寺、児島の瑜伽山(由加山)に一寺を建て、大和に登り子嶋寺を建てたとあります(宗教新聞 伝説の報恩大師)。西大寺観音院とキレニア(ケリネイア)を結ぶラインは、藤戸寺(倉敷市藤戸町)と金山寺を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図21)。もしかすると、西大寺観音院はエーゲ海の龍宮城(図6)とつながっているのかもしれません。
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眞名井神社(籠神社奥宮)と藤戸寺を結ぶラインは、大廻小廻山城跡の近くを通り、金山寺と西大寺観音院を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図22)。
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