【詩】星クズ
「あなたの存在感の確認をいたします」
喫茶店で聞こえたアナウンスに
どきりと足を止めた
きっと聞き違いなのに
途端に
手がどろっと溶け出していく感覚に
飲み込まれる
大事にされていても
少しのことで拗ねて歪む
このままでは
いつか破滅するのに
「クズな大人になってきちゃった私」
「クズな大人が大半だよ。みんな星屑」
と妹から返ってくる
下り専用階段から上っていたようなもの
迷惑そうな顔を
なんでされなきゃいけないんだろうと
不思議に思って
ずっと進んでいたのだ
戒めのように自販機で買った炭酸水は
無重力の味がした
目を閉じた瞬間
痛みを伴わず消えてしまいそう
文月悠光さんの「今夜は詩人」の講座の提出作品
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