場所は使う人によって役割が変わっていく。「アーティスト・イン・レジデンス」水戸滞在記@最終週
みなさんこんにちは。水戸宿泊交流場でアーティスト・イン・レジデンスをしている、東京藝大大学院生の鈴木真緒です。
ついにレジデンス3週目が終わりました。とてもあっという間のように感じますが、思い返してみるととても18日間の出来事とは思えないほど充実した毎日でした。
■透明度の高い海と穏やかな阿字ヶ浦の雰囲気
3週目の始めには、水戸宿泊交流場でお会いしたイバフォルニア・ベースの方々を訪ねに、阿字ヶ浦に行ってきました。勝田駅からワンマン電車の湊線に乗り換え、最終駅まで向かいます。
ちょうどこの5月は田んぼに水が張られていて、電車はその間を進んでいくのですが、その水田の景色がとても美しく新鮮でした。
阿字ヶ浦のイバフォルニア・ベースでは、スタッフの皆さんや滞在されていた方とお話ししたあと、お話に伺っていた「酒列磯前神社」や「浜ベーカリィー あじぱん」さんにも訪れることができ、充実した1日を過ごしました。
透明度の高い海と穏やかな阿字ヶ浦の雰囲気にはまた来たいと思える魅力があります。次回訪れた際はぜひぜひサイクリングや屋外制作を行いたいです。
■高さ15メートルの巨人像「ダイダラボウ」
翌日以降は水戸を訪れてくれた連れに水戸・那珂湊・大洗を案内しつつ、「大串貝塚ふれあい公園」に向かいました。文献に記された貝塚としては最も古いものとされる場所であり、そこにそびえる高さ15メートルの巨人像「ダイダラボウ」には圧倒されます。この地域の歴史を知れた貴重な機会でした。
■個展「五月の散歩道」を開催しました
ついに訪れた展示初日は、この滞在期間にお会いした皆さんに沢山お越しいただきました。水戸宿泊交流場の空間に施された数々の面白い工夫も見ていただきたくて、スペースを目一杯使わせていただいたのですが、滞在期間に過ごしたもはや自分の家のような場所を皆さんに探検してもらうという面白い機会でもありました。
描いた絵の中に阿字ヶ浦行きの湊線の電車の水彩画があるのですが、偶然にもその電車のラッピングをデザインされた作者さんに展示会場でお会いすることになり、びっくりしました。また、滞在中はお会いしなかった県北の方々ともお知り合いになれたりと、展示会場は様々な出会いの場所になりました。
■場所は使う人によって役割が変わっていく
アーティスト・イン・レジデンス中、場所は使う人によって役割が変わっていくということを身近に体験しました。今回油絵の制作で使った水戸宿泊交流場の倉庫は、もともとは物置として使われていた場所であり手付かずの家屋でしたが、私にとっては非常にアトリエにうってつけの適度に外気を感じられて周囲を気にしなくて良い、安心できる場所でした。
コワーキングスペースはダイニングスペースになり、居住空間がパブリックスペースになったり…。それは、水戸、茨城県でも同じことがいえて、来訪者の私たちの新しい視点と地元の方々の慣れ親しんだ視点の2つからこの場所に関わることができ、その結果を実感として得られ作品に活かせたのは本当に貴重な体験でした。
■地元の方ならではの視点で見る風景は新鮮なものでした
人と人の繋がりはとても強いもので、今回の滞在では様々な貴重なご縁をいただきましたが、まさにその繋がりなくしてレジデンス生活は送れませんでした。案内中も皆さんの茨城へのあたたかな思いが伝わってきて、地元の方ならではの視点で見る風景は新鮮なものでした。
描いたものは風景画ですが、そこには案内していただいたりそこで生活している方たちの気配があると思います。いつものように1人慣れた場所で行っている制作は、それはそれで良さがあると思いますが、きっと今回と同じようにはいきません。
■さよならという気持ちは全くしません
レジデンスは終わりましたが、教えていただいたり新しく見つけた行きたい場所がまだまだあります。知っている場所に誰か知り合いがいるというのは大きく、さよならという気持ちは全くしません。実家を訪れるような気持ちで、また水戸にお邪魔したいと思います。
皆さんのご協力なしにはとげることのできなかった企画です。
お世話になった方々には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございました!またお会いしましょうね!
鈴木 真緒
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