諦めたはずのものや失ったものが眩しくてたまらなくなる時がある。
癌になってからどーしようもなく憂鬱な日がたまにくる。
そんな時は自分にはない他人の幸せが眩しくて。
癌じゃなかったら。
癌がもし治っていたら。
そんな感情で溢れて何もかもが嫌になる。
何も知らなかったあの頃に戻りたくなる。
まともに仕事も出来てない自分が嫌。
仕事をバリバリしてる人を見るのが嫌。
毎月病院に通うのが嫌。
一人で待合室で泣きそうになる。
家族連れを見るのも妊婦さんを見るのも嫌。
手に入らないものほど眩しく見える時がある。
高齢の夫婦を見るのも嫌。
私はこんな風に歳を重ねることができるのかと考える。
毎日じゃない。
毎週でもない。
毎月でもない。
ほとんどの日はこれらのことが何も感じなくて。
仕事があるだけ幸せだと思えて。
甥っ子や友人の子供たちが可愛くて。
これから生まれてくる姪っ子が待ち遠しくて。
高齢の夫婦を見たらこうなりたいって希望になる。
だけどたまにやってくる。
癌になったことも何もかも嫌。
治療が一生続くのも嫌。
癌の中でもなんでこんな強い癌なんやろう。
全部全部嫌になる。
そして色んなことを見るのが嫌になる。
そしてそんな自分が嫌になる。
幸せなことに傷付く自分が嫌になる。
仕事が違えばストレスためずに病気にならなかったのかな。
食生活がだめだったのかな。
これからどうなるんだろう。
今の薬が効かなくなったら?
日常生活に支障が出たら?
きっとこんな感情は誰にもわからない。
死ぬことよりも死ぬまでの過程が怖い。
たまにやってくるこの抜け出せない感情。
だけどちゃんと分かってる。
過去を後悔しても何も変わらない。
見えない未来を悲観しても仕方ない。
今を生きないと。
今を積み重ねて私の未来を作っていく。
だけどたまにやってくる。
こんな感情と付き合って5年。
初めて文字にしたこの感情。
綺麗事ばかりで病気と向き合うなんて出来ない。
綺麗な感情や前向きな考えだけ並べたってそれは嘘になる。
これも私のありのままの記録。
私が心が弱いだけかと思っていた。
癌サバイバーと呼ばれる同世代の人と交流するようになって、私だけじゃないって知った。
みんな生きるために、何かを天秤にかけて、大切な何かを諦めたり失ったりしてる。
それでも終わりのない治療が続いたり、余命を宣告されたり、再発という見えない不安と戦ったり。
そんな時自分たちとは全く違う世界で生きてる人が猛烈に眩しく見える時がある。
そんな中で何もかも嫌になる時がある。
そしてそんな自分が一番嫌になる。
癌になったことで、この感情を知った。
自分にとって幸せなことや楽しい話だとしても
時にそれが人を傷つけることを知った。
楽しい話や幸せな話は誰かと共有したくなる。
私も誰かに聞いて欲しくなる。
だけど立場や環境やその時の受け取る側の心境によってはその人が傷付くこともある。
親がいる人いない人。
子供がいる人いない人。
結婚してる人してない人。
仕事が好きな人そうでない人。
健康な人そうでない人。
ポジティブに考えられる人そうでない人。
今こうして普通に生活してる中でも災害の被害に遭ってる人もいる。
他人には見えない何かをみんな抱えてる。
自分と全く同じ立場の人なんか一人もいない。
自分の立場だけでモノを見ないようにしたい。
どうしても自分のいる立場で物事を考えてしまうけど。
自分を中心に置かずに、物事を広い目で見て考えられるように。
この感情を知ったことを無駄にしたくない。
そして毎回この嫌な感情から抜け出せたらまた一つ強くなれる。
最後まで読んでくださってありがとうございます!根拠のない自信で人生を楽しんでいます!! 私の経験が少しでも情報の一つになったら嬉しいです。 健康なのが一番!!検診は大事です!!