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男子育児の最中にあの単語を叫ぶ

私は下ネタがとっても苦手だ。
「ちんちん」なんて単語、恥ずかしくて発したこともなかった。
方言noteにも書いたけど名古屋弁としての「ちんちん」は普通に言う。同音異義語は全く恥ずかしくない)

でも男の子二人育てていて、そんな羞恥心はどこかに行ってしまった。
ちんちんは、あまりにも身近。こめかみやふくらはぎ、なんなら腕よりも使用頻度が高い単語。

なんせ男子はちんちんが好きだ。風呂上がり、パンツも履かずににやにやと誇らしそうにしている。

まだ知ってる単語が30もないだろう一歳次男ですら、自分のそれを引っ張りながら「ちんちん」と発声し、嬉しそう。
自分の体の部位に偏愛を注いだことがないので、その感覚が分からない。何がそこまで?

とにかく母として言わざるを得ないことがたくさんある。


「ちんちんのまんま、ソファに座らないで!」
「ちんちんを引っ張るな!」
「ちんちんをしまえ!」
(「パンツを履け」だと長男はパンツを履いた後ちんちんだけ顔を出させてニヤニヤする)

そうしてちんちんは否応なく男子育児に欠かせない言葉になっていく……。

***

これは我が家だけではない。

うちと同い年の男子二人を育てているママ友と、フードコートで食事をした時のこと。
彼女の4歳の息子が、なんの拍子か「ちんちんちんちん」言ってケラケラ笑いだした。
それを止めようとする彼女。でも何度優しく注意してもうまくいかず。
イライラした彼女は
「ごはん中に、ちんちんって言うんじゃないっ!!」
と、フードコート中に響き渡る声で叫んだ。

わお!誰よりも大きな声で言っちゃったよ、この人……と面白くて面白くて、笑いを堪えるのがやっとだった。(ひとさまの躾中なので頑張って神妙な顔をしていた)

***

そして私も、叫んだ話。

4歳息子と二人でお風呂に入った時のこと。
息子が自分で身体を洗うと言うので、成長して楽になったなぁと私は湯船でのんびりしていた。

ぶしゅ、ぷしゅ、プシュ、ぶしゅ、ブシュ……

気づくと連打されているボディーソープ。押すとそのまま泡で出てくるやつ。
3プッシュあれば十分足りるはず。

それが10プッシュ……大量の泡は全てちんちんへ。

ミニウインナーより小さいちんちんは、もう泡に埋もれて姿が見えない。股間が季節外れのサンタのよう。

「くっけっけっけっけ、ふひっひっひひぃ」

息子は自分のやったことがおかしくて、息ができないほど笑い転げている。
おばか!

「ちょっとぉ!もったいないなぁ!もうその泡で全部洗いなよ」
イライラして注意する。

私はボディソープを詰め替えるのが大嫌いだ。こぼしたらもったいない、一滴残らず使い切りたい、緊張と欲望でストレスが高まる。
ギリギリまで詰め替えず、痺れを切らしただんなに替えさせたい。

買うのも嫌い。メーカーによって値段と分量がちょっとずつ違って、更に毎週変化する。どれがお得なのか計算しようとしてこんがらがって、結局いつもえいやぁと適当に買う。その結果、だんなに「え、これ?今週はあっちのがお得だったでしょ?」とか言われて敗北感。更に10回に1回は間違えて洗濯洗剤を買ってしまう…。

つまり、極力ボディソープとは関わらないで生きていきたい。永遠に切れないボディソープが欲しい!

よって!
ボディソープを無駄遣いされたくないっ!
もちろん環境的、経済的にも。


しかし調子に乗った息子はまた泡プッシュ!更にちんちんに泡を乗せる。もう乗り切らなくてそのまま足元に落下していく泡。ああああもったいないっ!

「やめて!早くちんちん以外も洗って!もうそこはいいから!落ちる前にその泡使って!」

「くひひひひ、は〜〜い!」

やっと言うことを聞く息子。しかしまた新しい泡をブシュブシュしはじめた。

「違うでしょ!
 ちんちんの泡で全部洗えって言ってんの!

カッとなって叫んでから、ハッと我にかえった。
お風呂という響く場所で、私、叫んじゃったよ、ちんちんって。
しかもちんちんの泡って一体……。

ああああ恥ずかしい恥ずかしいあああああ。

どうか誰も聞いていませんように。

***

息子らを生かして、自分も生きて、毎日をやり過ごすのに精一杯。
不本意な単語すら叫んでしまう日々は、自分では悲劇に感じる瞬間もあるけれど、多分ずいぶん喜劇だ。

どうせ喜劇なら、笑って過ごしたいものだけど、きっと今日も怒って叫んでしまうよ、ちんちんと。

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うめがき たね
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