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【具体と抽象】 -ほぼ1,000字感想文

○タイトル:具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ
○著者  :細谷 功
○発行  :dZERO (2014/11/27)

■ざっくり要約

「あの人の指示は具体的で動きやすい」
「○○部長の話は抽象的すぎてわかりにくい」

日常生活で、当たり前のように使っている"具体"と"抽象"というワード。しかしその定義については、なんとなく雰囲気捉えている人が多いのでは?そして、なんとなく"具体性"が正義で、"抽象性"はネガティブに捉えられている。

本著では、この"具体"と"抽象"という概念についてそれぞれの特性を二項対立させながら整理をしてくれている。

つまるところ、二者間に優劣の差はなく、どちらに傾倒しても最適なコミュニケーションはとれない。相手のレベルを見極め、それに応じた"具体"⇔"抽象"の使い分けをすべきなのである。

特に、レイヤーの異なるビジネスマン同時のコミュニケーションにおいて有益な学びが詰まった一冊だと感じた。

■学びポイント

○"具体"と"抽象"は相対的なもの

例えば"魚"と"マグロ"を比較した時、"魚"の具体事例の一つが"マグロ"である。一方で"マグロ"を一段階抽象的な表現にしたものが"魚"である。

このように"具体"と"抽象"は二つ要素の比較によって生まれるもので、絶対的に"抽象"である概念は存在しない。上記の例では、更に"生物"というワードを並べると、"魚"は"生物"の具体事例となる。


○例え話の上手い人は、"具体"と"抽象"の往復運動をしている

例えをするプロセスは、①目の前の具体事象を捉え、②要点を抽出し、③抽象レベルで同じ構造を持つ具体事例を探すと考えることができる。この"具体"と"抽象"の往復運動を使いこなすことで、例え話の質はぐっと向上する。

特に、元のテーマと例えの「共通点と相違点」をいかに適切に掴んでいるのかが、抽象化の出来栄えを左右する。


○"二者択一"と"二項対立"は似て非なるもの

二者択一(どちらか一つを選ぶこと)と二項対立(二つの概念を比較する)は全く異なるものであり、二項対立の方が抽象レベルの高い視点である。

抽象レベルの高い二項対立の議論に、具体レベルの人が入ってしまうと、適切な議論ができない。

例えば、「乃木坂と欅坂どちらが可愛いか?」というテーマに対して、各々が独自の視点で二者を比較し意見を出すことがディスカッション。一方で「乃木坂が一番に決まっている!」「乃木坂をバカにする奴は敵だ!」という比較のない発言や、「乃木坂の●●はブサイクだ」という具体的な例外を並べ続ける発言は、何も生まない。

本当に議論を重ねたいのであれば、思考の抽象レベルを整頓する事前準備が必要。


↓出典元

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